どのような離婚方法でも、必ず役所に届け出なければならないのが離婚届です。何度も離婚届を書いたことがある人は少ないので、入手方法から知りたい人は多いのもしれません。
離婚届は、役所の戸籍担当窓口(戸籍課、戸籍住民課、市民課、市民窓口課など名称は自治体で異なります)に置いてあります。平日の昼間は役所へ行けない人向けに、夜間・土日・祝日の窓口にも置いてあります。
役所に行くと、届出用紙や申請用紙を書くためにテーブルとボールペン、朱肉などが用意されており、様々な用紙も自由に使えるようになっていないでしょうか。
その中に離婚届もあれば自由に持って来られるのですが、役所によって扱いは異なり、窓口で言わないと貰えない役所もあるようです。今の時代、離婚は珍しいことでもないのに、窓口で貰うのは何となくためらいますよね。
そこで、離婚届をダウンロードしてから記入して提出するまでを取り上げてみました。また、離婚届をコンビニで印刷する方法にも触れています。
協議離婚では、離婚届が受理された時点で離婚成立となるため、離婚届を出すタイミングは夫婦の任意です。しかし、裁判離婚(調停離婚、審判離婚、判決離婚、和解離婚、認諾離婚)になると、10日以内の提出期限があるので気を付けましょう。
離婚届の用紙はダウンロードで入手可能
まず、離婚届は身近な役所でもらってくればそれでOKです。なぜなら、全国どの役所に置かれている離婚届でも、他の役所へ届け出ることが可能だからです。
今どき、ホームページで離婚届をダウンロードできない役所は少ないと思いますし、どの市区町村も令和版をダウンロードできるはずなので、ダウンロードして印刷すれば役所に取りに行く必要すらありません。
ただ、白紙の離婚届が欲しい人向けに、一部を紹介しておきます。
北海道札幌市:離婚届(PDF)(令和版)
東京都足立区:離婚届(PDF)(令和版)
※リンク先の離婚届が変更されて白紙ではない場合もあります。
離婚届の大きさはA3
届出としては記載事項さえ守れば問題ないはずですが、離婚届はA3に限定している役所もあり、A3で用意するのが確実です。実際、A4に印刷しても記入欄が小さすぎてうまく書けないことがわかります。
離婚届は全国共通?
離婚届は全国共通に使えます。しかし、全国共通の用紙ではありません。全国共通で使えるなら、用紙も全国共通にすれば税金の無駄遣いが減りそうですが、きっと効率化したくない事情があるのでしょう。
離婚届をダウンロードしてコンビニで印刷
役所に行く時間がない場合や、自宅のプリンタがA3対応していない場合は、コンビニを利用する方法もいくつか考えられます。白黒ならA3でも10円か20円ですし、コピーしても10円です。
セブンイレブン:マルチコピー機
ローソン・ファミリーマート:ネットワークプリントサービス
自宅で印刷して拡大コピー
家庭用に販売されているプリンタはA4サイズまでが多く、離婚届はA3用紙にしている役所が多いため、A4で印刷してから、コンビニでA3に拡大コピーします。
記録メディア持ち込み
ダウンロードした離婚届を、USBメモリやSDカード、CDやDVDなどの記録メディアに保存して、コンビニのマルチコピー機で印刷します。
スマホで専用アプリ使用
記録メディアを持っていないなら、スマホに離婚届をダウンロード後、コンビニのマルチコピー機にWiFi接続して専用アプリから印刷します。
アップロードして登録番号を利用
パソコンやスマホにダウンロード後、利用したいコンビニに対応したネットプリントサービスにログインして、ダウンロードした離婚届をアップロードします。
アップロードすると番号が発行されるので、コンビニのマルチコピー機では番号を打ち込んで印刷します(番号には有効期限があります)。
番号さえあれば良く、他の人に頼んで番号を教えてもらっても問題ありません。
必要なのはインターネット環境とプリンタ
ほとんどの役所では、離婚届をPDFデータで提供しています。
PDFデータのダウンロード(Webブラウザでの閲覧を含む)ができて、なおかつ印刷できる環境さえあれば、離婚届の入手は難しくありません。
ネットカフェ
ネットカフェというくらいですからパソコンが当然あるとして、プリンタの設置は店舗によります。印刷料金は1枚数十円です。
図書館
公立図書館は、インターネット接続できるパソコンがあっても印刷を禁止していることが多いです。大学の図書館など民間運営のほうが可能性はあるでしょう。
他にも、インターネット環境+プリンタは色々考えられるわけですが、あれこれ悩むくらいならコンビニのほうが簡単ですよね。
離婚届の書き方
令和3年9月1日以降、戸籍の届書に押印は必要なくなります(押印しても構いません)。随時修正する予定ですが、令和3年9月1日以降は押印についての記載を読み飛ばしてください。
離婚届の書き方は、離婚方法による違いと未成年の子の有無、離婚によって戸籍から抜ける側の対応で何パターンもあります。難しい届出ではないとはいえ、戸籍の仕組みや氏(名字)を理解していないと難しいかもしれません。
届出日/届出先(欄外)
持参して提出するなら提出日を、郵送するなら投函日を記入します。届出先は「離婚届を提出する役所」の首長(市区町村長)です。
入手した離婚届が、令和以前の元号になっている場合、〇〇市区町村長と印刷やゴム印で記載されている場合は、いずれも二重線で消して書き直せば大丈夫です。
(1):氏名/生年月日/住所/世帯主の氏名
氏名は婚姻中の氏名、住所は離婚届を出す時点における「住民登録上」の住所です。住民登録上の住所とは、いわゆる住民票に記載の住所になります。
離婚届提出時に別居しているとき、既に住民異動届の提出(住民票を移す手続)をしていれば夫婦の住所は異なりますし、そうでなければ同じ住所です。夫婦で住民登録上の住所が異なると、当然に世帯主も異なるためそれぞれを記入します。
(2):本籍/父母及び養父母の氏名/父母との続き柄
夫婦の戸籍がある本籍を記入しますが、住所と違って普段使わないだけに、わからなくなってしまうケースもあるでしょう。
本籍がわからないとき
本籍は、電話で聞くことはもちろん、窓口で本人証明しても教えてもらえません。また、これから戸籍謄本を取って確認できるなら、それは本籍を知っていることになるので順序が逆ですよね。
- 配偶者に聞く
- 住民票の写しで確認
- ICカード免許証で確認
本籍は婚姻届や転籍届を出すときに記載するので、配偶者が覚えているかもしれません。もっとも、配偶者に聞ける状況ならですが……。
本籍の記載がある住民票の写しは、本籍記載を申請しないと交付されないので注意してください。
運転免許証に内蔵されているICチップは、スマホアプリで読み込むことができます。免許交付時に設定した2種類の暗証番号が必要です。一番手軽ですが、暗証番号を3回続けて間違えるとICチップは読めなくなるので、忘れた場合は運転免許試験場や警察署で確認するしかありません。
筆頭者の氏名とは、婚姻のときに自分の名字が変わっていれば相手配偶者の氏名、相手配偶者の名字が変わったのなら自分の氏名です。
夫婦の父母については実父母が対象で、亡くなっていても記入が必要です。父母が婚姻中(死別を含む)なら父の氏名と母の名前を、父母が離婚しているなら両方の氏名を書いて、父母との続柄を書きます。
普通養子の養父母がいる場合、ここに記入欄がある場合は氏名と続柄を記入しますが、記入欄が無い(古い様式)か足りない場合は、その他欄に氏名と続柄を記入します。
本籍の詳しい解説
父母及び養父母の氏名/父母との続き柄の詳しい解説
(3)(4):離婚の種別/婚姻前の氏にもどる者の本籍
離婚の種別では、夫婦が協議して離婚するなら「協議離婚」にチェック、家庭裁判所の手続で離婚したなら対応する欄にチェックします。迷ったときは、離婚は6種類~全種類の解説と離婚するまでの流れを確認してみてください。
婚姻前の氏にもどる者の本籍は、離婚で夫婦の戸籍から出ていく人(筆頭者ではない人)、つまり旧姓へ戻る人について記入します。婚姻前の戸籍(もとの戸籍)に戻るか、新しい戸籍を作るかチェックします。
離婚後も婚姻中の名字を使いたい場合
離婚で夫婦の戸籍から出ていく人が、離婚後も婚姻中の名字を使いたい場合、この欄は記入しません。
空欄のまま、その他欄へ「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出する旨を記入し、離婚届と一緒に届け出ます。
この欄は、戸籍への理解がないと記入が難しいので、念のため詳しい解説を確認しておくことをおすすめします(それでも難しいかもしれませんが……)。
離婚の種別の詳しい解説
婚姻前の氏にもどる者の本籍の詳しい解説
(5):未成年の子の氏名
離婚する夫婦に未成年の子がいる場合には、親権者を決めなければ離婚届は受理されないどころか、不備があるので受付もしてもらえません。
父母のどちらか又はそれぞれに親権を行う子がいれば、子の氏名を書きます。なお、この欄を記入したからといって子の戸籍は自動的に異動せず、婚姻中の戸籍に残るため、子の戸籍を異動させる手続を別途必要とします。
(6)(7)(8):同居の期間/別居する前の住所
同居を始めたときには、婚姻前から同居していればその開始年月を、婚姻後に同居したならその年月または結婚式の年月を、婚姻後も同居していないなら空欄でその他欄に「同居期間なしのため(6)(7)(8)空欄」と記入します。
別居したときには別居した年月を、離婚時にも同居していれば空欄にしてその他欄に「現在同居中のため(7)(8)空欄」と記入、婚姻後も同居していないなら空欄です(その他欄には「同居期間なし」と既に書かれている)。
別居する前の住所は、同居から別居に至った場合だけ同居中の住所を記入します。
(9)(10):別居する前の世帯のおもな仕事と夫妻の職業
「別居前」となっていますが厳密に考える必要はなく、婚姻中は同居で同世帯、離婚後は別居で別世帯を前提にしているだけなので、離婚前の夫婦の主な収入源であった仕事(共働きなら収入の多かった側)を、1から6までの区分にチェックします。
夫婦の職業は、国勢調査の年(西暦の下1桁が0か5)の4月から翌年3月に該当すれば記入します。職業は2桁の分類番号で、役所に用意されている例示表を使います。職業名ではないので注意しましょう。
その他欄
意外と書くことも多いのがその他欄で、代表的なのは次のような場合です。
- 婚姻中の氏を離婚後も使いたい場合(その届出をする旨)
- 普通養子の養父母がいる場合(養父母氏名)
- 記入すべき欄に空欄がある場合(空欄の理由)
- 未成年の子供が夫婦以外の戸籍にいる場合(該当する子供の戸籍)
- 裁判離婚の場合(離婚届に添付する書類)
他にも多くのケースが考えられますが、この欄の記入は難しく、わからなければ素直に窓口で聞いた方が早いでしょう。
届出人署名押印
協議離婚であれば夫婦双方が署名押印します。署名は婚姻中の氏を使うので印鑑も同じ氏ですが、必ず印影の異なる印鑑を使用しなくてはなりません。
届出人署名押印欄の押印は任意です。
裁判離婚では夫婦一方だけで良く、普通は離婚を請求した調停や審判の申立人、または訴えの提起者が署名押印することになるでしょう。
ただし、申立人または訴えの提起者が離婚成立から10日以内に届け出ない場合、もしくは調書等で相手方からの届出とされている場合は、相手方の署名押印です。
なお、印影が変わる恐れのある印鑑(ゴム印など)は使用できないので注意してください。
証人署名押印/生年月日/住所/本籍
協議離婚だけ証人欄の記入が必要で、成年2人(成年であれば誰でも良い)に書いてもらいます。証人欄は証人の自署でなければなりません。押印は任意です。
面会交流/養育費の分担(欄外)
記入を強制されるわけではありませんが、離婚時に未成年の子供がいる場合、面会交流と養育費の分担について記入する欄があります(記入欄がない離婚届を使っているケースもありますがきちんと仕事をしている役所なら記入欄がある)。
役所によっては、この欄の確認をする運用もあります。
連絡先(欄外)
離婚届の記入に不備がないか受付の時点でもチェックされますが、後から不備が見つかった場合や夜間の届出・郵送時に備え、連絡先欄が設けられています。役所は昼間しか開いていないので、昼間に連絡が取れる電話番号を記入します。
捨印(欄外)
押印をした場合は、欄外の余白に同じ印鑑で捨印します。押印をしていない場合には、捨印の代わりに署名となります。
捨印(または代わりの署名)は絶対に必要なものではありません。ただ、役所側で軽微な訂正ができるようにしておいたほうが良く、捨印用の欄が記載されている用紙もあります。
住所を定めた年月日など(欄外)
欄外は市区町村によって異なり、多く見かけるのは次のような記入欄またはチェック欄です。
- 住所を定めた年月日(または住定年月日など)
- 受領年月日
- 本人確認の方法
- 不受理届出の有無
- 通知の要否
- その他事務処理上のミスを防ぐための確認欄
これらの記入欄またはチェック欄は、役所側で使うため記入は必要ありません。
離婚届と一緒に出す書類
令和6年3月1日より、本籍地以外の役所へ届け出る場合でも、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の添付が不要になりました。
裁判離婚(広義)では、離婚の成立を証明するため、家庭裁判所が作成した次の書類の添付を必要とします。
- 調停離婚:調停調書謄本
- 審判離婚:審判書謄本と確定証明書
- 判決離婚:判決謄本と確定証明書
- 和解離婚:和解調書謄本
- 認諾離婚:認諾調書謄本
ただし、これらの添付書類は離婚届を届け出るだけの目的なので、各書類の謄本は戸籍に関する必要事項を記載した「省略謄本」でも問題ありません。
離婚届の提出時は、窓口で本人確認されます。運転免許証・パスポート・顔写真付き住民基本台帳カード・マイナンバーカードなどを持参しましょう(健康保険証+年金手帳等の組み合わせでも代用可能)。
本人確認書類は、用意できなければ持参しなくても構いませんが、本人確認できない当事者には、後述の受理通知書が送られます。
離婚届を提出する前に(協議離婚の場合)
協議離婚の離婚届はいつでも出すことができますから、出してしまう前に、このまま離婚して大丈夫か今一度確認すべきです。
離婚時に夫婦がきちんと納得するまで話し合っていない、もしくは知識がなくて話し合われていないと、離婚後にトラブル発生の可能性があります。
離婚ではこれらの法律効果が発生します。ひとつでも夫婦で合意していない状況なら、早急に離婚届を出すべきではなく、離婚調停で合意してから離婚するべきです。
なぜなら、離婚届に記入が必要な親権者を除き、離婚後でも話し合うことができるとはいえ、赤の他人となった離婚相手が話し合いに応じるとは限らないからです。それ以前に、連絡が取れなくなる可能性だってあるでしょう。
離婚後に話し合いが難しいときは、それぞれの問題に応じた調停を申し立てることもできますし、調停で解決しなければ審判で結果が出されます。
しかし、まだ夫婦であるうちに話し合うほうが、離婚後に話し合うよりもずっと機会も多く簡単で、問題を先送りにした離婚は後悔するかもしれませんよ。
離婚届の提出方法(郵送・土日・祝日・夜間は?)
離婚届は、その届出の性質から考えても当事者が届け出るべきですが、委任状を必要とせずに使者での届出も認められており、郵送でも届出可能です。
つまり、誰でも出すことができる一方、離婚届には当事者や証人の自署を必要とすることは言うまでもなく、偽造された離婚届の提出は犯罪なので絶対しないようにしてください。
離婚届を郵送する場合
令和6年3月1日より、本籍地以外の役所へ届け出る場合でも、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の添付が不要になりました。
郵送時に注意したいのは本人確認書類です。
本人確認書類については、郵送でも写しの添付を求める役所と、郵送は本人確認できないものと扱い、当事者双方に受理通知書を送る役所があります。念のため、本人確認書類の写しを添付しておくのがベターでしょう。
なお、郵送では離婚届の記入不備があってもその場で訂正できません。より慎重に離婚届の記入をチェックしてから郵送したいところです。
役所の閉庁時(土日・祝日・夜間)に提出する場合
役所の閉庁時(土日・祝日・夜間)の離婚届については、夜間休日窓口が用意されていなければ、守衛室・警備室などが戸籍の届出を受け付ける窓口になっています。
閉庁時に届出があると、その場で審査することはできないため、翌開庁日以降に審査され、法令違反・不備等がないか確認した上で受理されます。
したがって、協議離婚で閉庁時に離婚届を出しただけでは、受理されるまで離婚が成立しない点に注意してください。閉庁時は受付しかしません。
閉庁時の届出は、離婚届の受理が翌開庁日以降なので、離婚届が受理される前なら取り下げることは可能です(ただし、翌開庁日以降に取り下げようとしても、取り下げできる猶予、即ち受理までの猶予は多くの場合に短いです)。
一方、裁判離婚では離婚が成立してから離婚届を出すので、取下げ自体に意味がありません。
離婚届を提出する役所はどこでも良い?
提出先は、本籍地、住所地、所在地のいずれでも良く、所在地に至っては旅行等で一時的な滞在でも所在ですし、現にその地にいることが所在でもあります。
ですから、どの役所にでも出せますが、記入に不備があって訂正を求められた場合に面倒なので、窓口へ行ける範囲の役所に出すほうが現実的です。
基本的には、窓口で訂正がないかチェックして受付されると、重大な不備がない限りは受理されると考えられます。もし不安なら、届け出た役所に受理証明書を発行してもらうこともできます。
離婚届が受理されて離婚が成立すると、本籍地で戸籍に記載されます。
ところが、本籍地で戸籍の処理が終わるまで(遅くて2週間くらい)は、戸籍謄本で離婚を確認できないため、離婚届を受理した役所は、受理証明書を発行できるようになっています(早くて数時間後)。
協議離婚は離婚届の受理で成立しますから、受理証明書=離婚成立の証明です。
本人確認できなかった当事者には受理通知書が届く
離婚届を窓口に持参する場合は、届出をした人が当事者(離婚する夫か妻)でも当事者以外でも、運転免許証などで本人確認されます。
そして、当事者以外の届出のとき、当事者の届出でも本人確認ができないとき、郵送による届出のときには、本人確認できなかった当事者へ確認するため、受理後に以下のような受理通知書が役所から送られます(受理通知書の様式は市区町村によって異なります)。
上図は、甲野太郎さんがひとりで離婚届を提出し、配偶者の花子さんは窓口に来なかったので本人確認できなかった場合の受理通知書です。
この受理通知書は転送不要で送られ(市区町村によって扱いは異なる可能性があります)、離婚で旧姓に戻った人でも婚姻中の氏を宛名とし、離婚届と同日に住民異動届を出した人でも住所変更前の住所へ届きます。
したがって、宛名は花子さんの旧姓に関係なく婚姻中の「甲野花子」です。
婚姻中の氏・変更前の住所へ送られるのは、受理通知書が虚偽の届出を発見する(意図しない離婚届ではないか確認する)目的だからです。
もし、離婚届が虚偽の届出なら、本人確認できなかった(知らない間に離婚届が出されてしまった)当事者は、婚姻中の氏・変更前の住所で暮らしているのですから、問題なく受理通知書が届きますよね。
一方、離婚届が真正な届出なら、本人確認できなかった当事者は、表札を離婚後の氏に変えたり、既に引っ越したりと、受理通知書は届かないかもしれません。
転送不要で送られると、引越し後の住所に転送されず、受理通知書は役所へ戻ってきますが、むしろ離婚届が真正だったと推測できます。
なお、通知は離婚届の「受理」を知らせるものですから、受理通知書で意図しない離婚届が出されたと知っても、受理に変わりはなく役所では対応してもらえません。
離婚の無効を争うときは協議離婚無効確認調停を申し立てましょう。それ以前に、離婚届を勝手に出されないよう不受理申出で対策しておくのがベストです。