離婚調停と円満調停の成立・不成立など件数と割合

離婚調停は、言うまでもなく離婚したい夫または妻から申し立てられますが、必ずしも離婚に至るとは限らず、調停不成立や取下げによって離婚できないケースは多いです。

実際に、離婚調停のどのくらいが離婚になっているのか、男女差で傾向があるのか調べるため、司法統計のデータを紹介します。

なお、離婚調停と円満調停は、申立人の当初希望が離婚と円満で呼び方が異なるに過ぎません。

離婚調停と円満調停の申立書は一緒で、記入欄が異なるだけです。

どちらも夫婦関係調整調停として扱われますので、円満調停の結果も取り上げることにしました。

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離婚調停の終局別件数と割合

離婚調停の申立て件数は、年度を追うごとに減っています。婚姻数・離婚数の減少によって、離婚調停の件数が減るのは当然の結果でしょう。

総数調停離婚協議離婚届出婚姻継続調停不成立調停をしない調停に代わる審判取下げ当然終了
H2843,48221,8952691,71510,4363536198,11778
100.00%50.35%0.62%3.94%24.00%0.81%1.42%18.67%0.18%
H2942,32521,1222971,67110,1293678477,80190
100.00%49.90%0.70%3.95%23.93%0.87%2.00%18.43%0.21%
H3040,62020,0502361,49010,0513731,2407,09486
100.00%49.36%0.58%3.67%24.74%0.92%3.05%17.46%0.21%
R138,50118,6691921,2739,6883371,5366,72976
100.00%48.49%0.50%3.31%25.16%0.88%3.99%17.48%0.20%
R236,39916,3561619619,3173142,4336,75998
100.00%44.94%0.44%2.64%25.60%0.86%6.68%18.57%0.27%
※データ元:司法統計家事事件偏を当サイトで抽出加工
※各行は年度

ただし、終局の割合をみると、明らかに調停離婚の割合が徐々に減って、調停に代わる審判の割合が徐々に増えています。

調停に代わる審判が確定すると審判離婚になりますので、調停離婚、協議離婚届出の調停成立、調停に代わる審判を足すと、離婚調停で離婚する割合は約52%です。

また、離婚調停が不成立の割合は約25%、離婚調停が取り下げられる割合は約18%です。

調停に代わる審判の件数は、異議が申し立てられず審判離婚になったものなのか、異議申立てで失効したものを含むのか定かではありません。上記は、調停に代わる審判をそのまま審判離婚と仮定した場合です。

調停に代わる審判は、その時点での家庭裁判所の判断を示すような意味合いを持ちますから、調停が成立せず、離婚訴訟に持ち込むしか方法がない当事者にとって、長い時間とお金を費やすよりも、審判を受け入れることに一定の合理性はあるでしょう。

ちなみに、協議離婚届出の調停成立とは、離婚調停での話し合いによって、協議離婚することに合意して(調停離婚を避けて)調停を成立させるケースです。

参考:離婚調停を経由して協議離婚する方法もある

離婚調停における男女差の傾向

夫の申立てと妻の申立てを比較すると、離婚調停は妻の申立てが約2倍多いです。

総数調停離婚協議離婚届出婚姻継続調停不成立調停をしない調停に代わる審判取下げ当然終了
H2814,8186,9111045234,1791471882,73729
100.00%46.64%0.70%3.53%28.20%0.99%1.27%18.47%0.20%
H2914,5796,7581085264,1221272572,65228
100.00%46.35%0.74%3.61%28.27%0.87%1.76%18.19%0.19%
H3013,8356,340974114,1051363852,33031
100.00%45.83%0.70%2.97%29.67%0.98%2.78%16.84%0.22%
R113,3666,049643913,8921334852,33220
100.00%45.26%0.48%2.93%29.12%1.00%3.63%17.45%0.15%
R212,5005,233472883,7511188192,21628
100.00%41.86%0.38%2.30%30.01%0.94%6.55%17.73%0.22%
※データ元:司法統計家事事件偏を当サイトで抽出加工
※各行は年度
総数調停離婚協議離婚届出婚姻継続調停不成立調停をしない調停に代わる審判取下げ当然終了
H2828,66414,9841651,1926,2572064315,38049
100.00%52.27%0.58%4.16%21.83%0.72%1.50%18.77%0.17%
H2927,74614,3641891,1456,0072405905,14962
100.00%51.77%0.68%4.13%21.65%0.86%2.13%18.56%0.22%
H3026,78513,7101391,0795,9462378554,76455
100.00%51.19%0.52%4.03%22.20%0.88%3.19%17.79%0.21%
R125,13512,6201288825,7962041,0514,39756
100.00%50.21%0.51%3.51%23.06%0.81%4.18%17.49%0.22%
R223,89911,1231146735,5661961,6144,54370
100.00%46.54%0.48%2.82%23.29%0.82%6.75%19.01%0.29%
※データ元:司法統計家事事件偏を当サイトで抽出加工
※各行は年度

そして、夫が申し立てた離婚調停は、調停離婚が少なく不成立が多い傾向、妻が申し立てた離婚調停は、調停離婚が多く不成立が少ない傾向です。

協議離婚届出の調停成立と調停に代わる審判では、有意な男女差は見られません。

夫と妻に分けると数が少ないので、5年度間の合計を見てみましょう。

総数調停離婚協議離婚届出婚姻継続調停不成立調停をしない調停に代わる審判取下げ当然終了
全体201,32798,0921,1557,11049,6211,7446,67536,500428
100.00%48.72%0.57%3.53%24.65%0.87%3.32%18.13%0.21%
69,09831,2914202,13920,0496612,13412,267136
100.00%45.28%0.61%3.10%29.02%0.96%3.09%17.75%0.20%
132,22966,8017354,97129,5721,0834,54124,233292
100.00%50.52%0.56%3.76%22.36%0.82%3.43%18.33%0.22%
※データ元:司法統計家事事件偏を当サイトで抽出加工、平成28年度~令和2年度合計

このような男女差がある理由は不明です。女性のほうが一度離婚を決意したら、離婚が決まるまで意思を曲げないのかもしれませんね(想像に過ぎません)。

円満調停の終局別件数と割合

円満調停の件数は、離婚調停に比べて毎年度1/100にも満たない数です。

総数調停離婚協議離婚届出婚姻継続調停不成立調停をしない調停に代わる審判取下げ当然終了
H283,01157784877394971,1377
100.00%19.16%0.27%16.17%24.54%1.63%0.23%37.76%0.23%
H292,719516942373036179817
100.00%18.98%0.33%15.56%26.85%1.32%0.63%36.08%0.26%
H302,66648744537023359757
100.00%18.27%0.15%16.99%26.33%1.24%0.19%36.57%0.26%
R12,4704497408670432386010
100.00%18.18%0.28%16.52%27.13%1.74%0.93%34.82%0.40%
R22,202367832567528327607
100.00%16.67%0.36%14.76%30.65%1.27%1.45%34.51%0.32%
※データ元:司法統計家事事件偏を当サイトで抽出加工
※各行は年度

特徴的なのは、円満調停は夫婦関係の(円満な)調整を目的としているにもかかわらず、円満調停から調停離婚する割合が、婚姻継続の調停成立よりも高いという意外な事実です。

つまり、入口は円満調停でも、出口は離婚になるケースが相当数あって、円満調停を申し立てなければならない夫婦関係では、もはや離婚に傾いているとも考えられます。

そして、円満調停は不成立と取下げの合計が各年度60%を超えており、話し合いがまとまりにくい傾向も見て取れます。

円満調停における男女差の傾向

ただでさえ件数が少ないので、5年度間の合計から男女差を見てみましょう。

総数調停離婚協議離婚届出婚姻継続調停不成立調停をしない調停に代わる審判取下げ当然終了
全体13,0682,396362,0963,516189844,71338
100.00%18.33%0.28%16.04%26.91%1.45%0.64%36.07%0.29%
7,2241,379258692,184110562,57427
100.00%19.09%0.35%12.03%30.23%1.52%0.78%35.63%0.37%
5,8441,017111,2271,33279282,13911
100.00%17.40%0.19%21.00%22.79%1.35%0.48%36.60%0.19%
※データ元:司法統計家事事件偏を当サイトで抽出加工、平成28年度~令和2年度合計

離婚調停の多くが妻から申し立てられることを考えると、円満調停は逆に夫から申し立てられやすいと推測できますが、やはりそのとおりでした。

ただし、妻が申し立てた円満調停では、婚姻継続の調停成立が多いです。婚姻継続と調停不成立の割合は、男女差がはっきり出ています。

まとめ

データから見て取れる離婚調停・円満調停の傾向は次のとおりでした。

  • 離婚調停で離婚するのは約52%、調停不成立は約25%、取下げは約18%
  • 円満調停は60%以上で結果が出ない(不成立・取下げ)
  • 離婚調停は妻からの申立て、円満調停は夫からの申立てが多い
  • 妻が申し立てた離婚調停・円満調停は当初希望(離婚・婚姻継続)で決着しやすい

個人的には、最後の「妻が申し立てた離婚調停・円満調停は当初希望(離婚・婚姻継続)で決着しやすい」が少し気になります(極端な傾向ではないですが)。

これは、男女の性格的な違いなのでしょうか?

単に、女性の意思が固いことの表れなら杞憂ですが、家庭裁判所が無意識に女性寄りの運用をしているのなら、それはそれで問題だと思うのです。

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初めての調停
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