弁護士が嫌がる相手はどんな依頼人?

最終更新日:2023/7/27
争いごとを解決したいとき、当事者同士で話し合ってもなかなかうまくいきませんし、相手の顔すら見たくないこともあるはずです。

そのようなときは、弁護士を代理人として交渉していくのも解決方法のひとつです。特に、法的な知識がない人ではなおさらそうでしょう。

当サイトは、調停から弁護士に依頼するほどでもないというスタンスですが、置かれている状況や考え方はそれぞれなので、弁護士への依頼を否定するものではありません。

特に、訴訟前提で争うときは、事件の最初から関与していたほうが、弁護士にとって仕事がしやすいのは確かですし、訴訟までの間に信頼関係を築く時間もあります。

ただし、頼まれれば何でも引き受けるのではなく、弁護士側には嫌がる相手(依頼人)が存在するのは事実です。弁護士だって人間ですからね。

では、どのような相手を弁護士は嫌がるのか。いくつポイントがありますので、既に弁護士へ依頼済みの人も確認してみてください。

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感情の起伏が激しく冷静に話ができない依頼人

弁護士に限らず、日常の人間関係において、感情の起伏が激しい人は敬遠されがちです。

理由は簡単で、感情をコントロールできない相手には、こちらが気を使って慎重に対応しなければならず「気疲れ」するからに他なりません。

平たくいえば、面倒な相手は弁護士も嫌います。法律相談では、紛争内容を聞く以外にも、受任して大丈夫そうな相談者かどうか見ているのです。

また、他人(弁護士)に対して冷静に話ができないようでは、他人(弁護士)のアドバイスも冷静に聞き入れない可能性が十分にありますので、やりにくいと感じるのは間違いないでしょう。

声を張り上げて主張しても、事実は何も変わりません。

熱意は伝わるかもしれませんが、重要なのは「正確に」「漏れなく」弁護士へ伝えることです。

弁護士を信頼しない依頼人

弁護士へ依頼してまで解決したいトラブルは、ほとんどが深刻な状況です。ひとりの弁護士では不安で、他の弁護士にも意見を聞いてみたいと思うでしょうか。

医療分野では、セカンドオピニオンを不義理とする考えがなくなってきているので、同じように弁護士も複数に相談してみたくなるかもしれません。今は無料相談も多く、相談だけなら費用負担も少なくなってきました。

また、相談内容に合った弁護士を紹介する法律全般サポートのように、失敗しない弁護士選びを助けてくれるサービスも、ニーズが高いのか利用者は増えていると思われます。

しかし、依頼までは何度でも法律相談を利用して、依頼内容が得意そうな弁護士を選べば良いのですが、一旦依頼したら弁護士を信頼しないと良い結果は生まれません

もちろん、信頼に値しないほど人間的にどうかしている弁護士には、いつまでも任せていないで次の弁護士を探すべきです。

そもそも、依頼した弁護士以外の弁護士へ相談するのは、最初から弁護士を替える前提のはずです。そうではなく、意見だけ聞く理由で他の弁護士に相談するのは、依頼している弁護士にも、相談した他の弁護士にも失礼です。

本気で争いを解決したいなら、弁護士との信頼関係を築かなければならず、いつ解任されるかわからないのに頑張る弁護士はいないと思われます。

また、弁護士に依頼したら、相手方との交渉は全て弁護士に任せ、自分では交渉に応じない態度を相手方に示すことも重要です。

弁護士に相談せず勝手な行動をとると、間違いなく嫌がりますので慎みましょう。

無理を突き付けてくる依頼人

例えば、離婚案件で夫婦の共有財産の全部を自分へ財産分与されるようにしてほしい、100万円が相場の慰謝料で1億円がほしいなど、明らかに過大な請求をしてくる依頼人は、嫌がる以前に関わりたくないのが本音です。

そのような請求が可能な特別の事情でもあるなら別ですが、社会通念に照らして、不当としか思えない請求をしてくる人は、決まって「話が通じないモンスタータイプ」ですよね。

また、自分に非があると明確なのに、それを認めようともせず、全て相手方の責任にして自分は助かろうと画策する依頼人も好かれません。

依頼人が非を認めたうえで、受ける不利益を小さくするための弁護を依頼されるのと、依頼人の非を無くする依頼をされるのでは、全く異なるということです。

無理難題という四字熟語がありますが、難題にかすかな勝機を見いだし、戦う有能な弁護士はいても、無理を無理ではなくする弁護士は恐らく存在しません(神様ではないので)。

要するに、受任してもトラブルになりそうな匂いがする相手は避けられます。後からトラブルになって、紛議調停でも申し立てられたら迷惑だからです。

紛議調停

主に依頼人と弁護士のトラブルを扱う調停。弁護士報酬が高い、依頼人が報酬を支払わないなどの申立てが多い。弁護士法第41条に規定されている。

弁護士に隠しごとをする依頼人

多くの人は主観で話すため、たいていは相手が悪いと一方的な主張を繰り返し、内容は歪んだまま弁護士に伝わります。

しかし、争いごとで完全に一方だけが悪い例は少なく、逆に誰が聞いても一方だけが悪い話なら、弁護士に依頼するほど困らないでしょう。

弁護士というのは、客観的な視点で事実を把握し、法律に照らし合わせた上で、依頼人にとって最適な道筋を見つけるのが仕事です。

都合の悪いことを隠す依頼人は、弁護士の預かり知らないところで不利に傾くおそれがあり、さらに、相手方も知っている自分に不利な事実まで隠す依頼人は、悪くいえば「どうにもならない」のです。

最悪なのは、調停や訴訟の途中から依頼人が隠し事を明かすケースで、それまでの主張との食い違いが修正不能になると、調停委員や裁判官の心証を得られず、依頼人に不利な結果となるでしょう。

争いの内容や経過は、可能な限り主観を入れず、時系列も含め正確に伝えることが大切で、話しているうちに熱くなって相手の悪口が出てしまう人は、メモ書きなどを使って事実を伝えることに終始するべきです。

自分の主張に固執して譲歩しない依頼人

誰でも頭に血がのぼっていると、完膚なきまでに相手を叩き潰してやろうと思います。それは良くわかるのですが、だからといって一切の妥協を許さず、自分の完全勝利だけを目的にする依頼人は好かれません。

権利の有無や事実認定など、妥協の余地がない(結果が二極化する)事案もあるので一概にはいえないですが、争いの当事者は利益相反の関係にあり、解決には相互の譲歩が最短の道です。

だからこそ、裁判所も判決前に和解案を提示してくるのであって、和解案に応じなくても和解案と同様の判決がされることは多くあります。

ましてや、調停は当事者の合意なしに成立しないのですから、これは一種の和解と変わりなく、譲歩しない依頼人は相手方が折れない限り、調停で成果が得られません

早く争いを解決したいのか、解決するだけではなく主張を貫き通したいのか。この違いは大きく、依頼人の主張に賛同できる場合を除き、譲歩や妥協の意思を見せない依頼人は、弁護士でも手に余るのが実情ではないでしょうか。

依頼する側としては、絶対に譲れない点、譲っても仕方がない点を明確にしておくと、弁護士も戦略を立てやすいと思われます。

着手してから費用を値切ろうとする依頼人

弁護士報酬は、以前から庶民感覚と遠く離れていることが知られています。

法律相談の相場である30分5,000円+税という料金設定は、1時間相談するだけで多くの人にとって1日分の給料を失い、着手金で1か月分の給料が消えます(事案によります)。

ですから、弁護士報酬を少しでも安くしようと思うのは無理もありませんが、自ら合意して委任契約したのに、弁護士報酬を後から値切ろうと難癖をつけるのは、人としてどうかしています。

それ以前の問題として、弁護士に依頼するほど得たい成果があるのに、その対価を支払いたくないと考えるようでは、最初から弁護士に依頼せず、自力で解決を目指すべきでしょう。

おいしい物が食べたい、高級車に乗りたい、良いサービスを受けたい……得られる何かが大きくなるほど、その対価が大きくなるのは常識です。

人生の一大事で、費用面から先に考えるようでは、その程度のトラブルだと自覚してください。ただし、調停には不成立があるため、自分の要望が通りそうか、感触を弁護士に聞いておくのは重要です。

不当な請求に対しては断じて拒否するとしても、事前に知らされていた料金体系に基づく報酬や、訴訟費用など実費まで出し渋る依頼人は、弁護士も相手にしたくないので、受任しても積極的にならないでしょう。

どうしても費用負担が重いのなら、法律扶助制度を利用できないか法テラスで相談してみるなど、別の方法を考えるべきです。

専門領域に首を突っ込む依頼人

テレビや新聞、雑誌等でも法律相談は良く見かけますし、どのようなメディアでも「法律トラブル」は鉄板ネタの部類です。

近年は、インターネットが普及したことで、専門家の弁護士に相談しなくても、Q&Aサイトや解説サイトで情報を集めることができるようになりました。

しかし、インターネット上の情報を、精査せずに鵜呑みにするのはとても危険で、素人の「にわか」知識が、弁護士の感情を逆なですることもあります。

当サイトも例外ではなく、内容には万全を期しているつもりですが、誤った解釈や解説を掲載している可能性を否定はできませんし、主観で書いている記事も多々あります。

もっとも、依頼人としては専門用語や法律、過去事例などを勉強して、知識を得てから弁護士と話したいのもわかります。それでも、司法試験を通過し、司法修習を経た上で、何年も案件処理してきた弁護士に追い付くはずがないですよね。

争いには個別の事情と対応方法があり、座学で万事解決できるほど甘くはないのです。前向きに勉強するのはよいことですが、弁護士がすべき領域に首を突っ込むのは歓迎されません。

法律と交渉はプロの弁護士に任せ、弁護士とのコミュニケーションを大切にすることが先決で、弁護士がかみ砕いて説明しなくても、理解できる程度の知識があればそれだけで十分です。

あとがき

弁護士は、お金を払えば何でもしてくれる便利屋ではなく、依頼人が弁護士を選ぶことができるように、弁護士も依頼人を選ぶことができます。

結局、人間同士なので相性もあり、自分と合う弁護士に出会わないかもしれません。

そうはいっても、弁護士に依頼するほどのトラブルでは、事態を放置することなどできず、時には依頼人が引いて弁護士に合わせることも必要でしょう。

全ては争いを解決するためであり、その過程における弁護士への依頼や関係性でつまづくようでは、とても先が思いやられるからです。

人としての礼節を守っていれば、嫌がる弁護士はそれほどいませんので、トラブルが早期解決できるよう弁護士を信頼して協力するようにしてください。

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