離婚後に子供の戸籍を変更する方法と3つの手続

離婚をすると、婚姻時に氏を変更した側が夫婦の戸籍から抜けるため、必ず戸籍は分かれます。

しかし、子供の戸籍は夫婦の離婚には影響されず、未成年でも成人していても婚姻中の戸籍にそのまま残ります。また、子供が未成年で親権者や監護者が誰であっても関係ありません。

つまり、婚姻中の戸籍に残った子供を、離婚後の戸籍に移動させたい(入れたい)ときは、離婚届とは別に手続が必要です。

必要な手続は、次のように順序が決まっています。

  1. 離婚の記載がある戸籍謄本を取得
  2. 家庭裁判所に子の氏の変更許可審判を申し立てる
  3. 市区町村に入籍届の提出

以上の3つの手続について、順に説明していきます。

ここでは、離婚後で再婚前を前提としています。自分が再婚相手の戸籍に入ったときは、再婚相手と子供を養子縁組すると氏も戸籍も同じにできるため、この記事の手続は不要です。

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離婚の記載がある戸籍謄本を取得

取得しなければならない戸籍謄本は、①子供の戸籍(婚姻中の戸籍)と、②離婚後の(これから子供が入る)自分の戸籍です。

婚姻中の戸籍にいる複数の子供を、自分の戸籍に移動させる場合でも、子供の戸籍謄本は1通の取得で構いません(同じ戸籍なので)。

これらの戸籍は、離婚届で本籍地を記入しているはずですから、交付請求すべき市区町村はわかっていると思いますが、問題は離婚が戸籍に反映されるまで時間がかかることでしょうか。

協議離婚では、離婚届が受理された時点で離婚は成立しますが、離婚が戸籍に反映されるまでの期間は長くて2週間くらいです。

婚姻中の戸籍の本籍地以外に離婚届を出すと、受理した市区町村から本籍地の市区町村へ送付しなければならず、それだけ余計な時間がかかることになります。

①子供の戸籍は自分の過去の戸籍、②離婚後の戸籍は現在の戸籍なので、どちらも戸籍に記載された本人として問題なく交付請求できます。

戸籍謄本で、自分の名前があるところの身分事項欄に「離婚」と記載があるか確認しましょう。

戸籍謄本は2通ずつ取得しておくといいかも

戸籍謄本を取得するのは、子の氏の変更許可審判で家庭裁判所に提出するからなのですが、その後に市区町村へ入籍届を出すときにも使います。

ですから、子供の戸籍・離婚後の戸籍は、どちらも2通ずつ取っておくと確実です。

ただし、入籍届をどの市区町村へ出すのか、子供の戸籍と離婚後の戸籍における本籍地の違いによっては、無駄になるかもしれないので注意してください(詳細は後述)。

子の氏の変更許可審判を申し立てる

子供の戸籍(婚姻中の戸籍)と自分の戸籍(離婚後の戸籍)の両方に、離婚の記載があることを確認したら、子供の住所地を管轄する家庭裁判所に子の氏の変更許可審判を申し立てます。

子の氏の変更許可審判の申立てと子供の年齢

子の氏の変更許可審判は、15歳以上の子供は本人が申し立て、15歳未満の子供は親権者が(子供が複数いるときはまとめて)申し立てます。

ということは、自分が親権者ではない場合、別れた配偶者に審判の申立てを頼まなくてはなりません。元配偶者が協力的とも限りませんので、事前の合意と準備が大切になるでしょう。

子の氏の変更許可審判は、子供が親と氏を同じくしたい事情に不自然がないこと、子供が自らの権利として申し立てられる審判であることから、即日審判も可能性があります。

申し立てる家庭裁判所に、即日審判可能か事前に問い合わせてください。

たとえ即日審判でも数時間は待つと思われますので、時間の余裕がある日を選び、午前中に申し立てることをおすすめします。

即日審判ではない場合、家庭裁判所から審判書が送られてくると、子供を自分の戸籍に入れる「入籍届」に添付して、市区町村へ出すことが可能になります。審判書が送られてくるまでには、通常1週間程度かかるようです。

離婚後の氏にかかわらず子の氏の変更許可審判は必要

婚姻中の戸籍にいる子供を、離婚後の自分の戸籍に移動させたいとき、そもそも氏が同じ(読み方・書き方が同じ)なら、審判を申し立てなくても良さそうですがそうではありません。

婚姻中と離婚後で、氏の読み方・書き方が同じになるケースは、①同姓同士が婚姻した場合、②離婚時に婚氏続称した場合の二通りありますが、どちらも子の氏の変更許可審判が必要です。

婚姻中の氏を離婚後にも名乗ることです。離婚届とは別に「離婚の際に称していた氏を称する届」を出す必要があります。

これらのケースでは、例えば、婚姻中の氏が「鈴木」で離婚後の氏が「鈴木」のとき、「鈴木から鈴木」へ氏を変更するため審判を申し立てます。

つまり、婚姻中の氏と離婚後の氏は、読み方・書き方が同じでも違う氏と扱われているのです。何だか不思議な気がするでしょうか。

説明は難しいので知りたい方は参考にしてください。

参考:民法上の氏と呼称上の氏って知っていますか?

市区町村に入籍届を提出

子の氏の変更許可審判で許可が下りたら、審判書を添付して入籍届を出すと、婚姻中の戸籍にいた子供が、離婚後の自分の戸籍に移って同じ氏になります。

基本的にはそれだけなのですが、若干の注意点があるので説明しておきます。

※入籍届については別記事を用意する予定です。

離婚で自分の親の戸籍に戻った場合

戸籍には、親と未婚の子供(つまり二世代まで)しか入れないルールがあります。

つまり、自分の親、自分、自分の子供(祖父母にとって孫)は入れませんから、離婚で自分の親の戸籍に戻ると、そのままでは子供を受け入れる戸籍がありません

したがって、自分の親が筆頭者の戸籍から抜けて、自分を筆頭者とする新戸籍を作り、そこに子供を入れます。その際、新戸籍を作る手続は、入籍届で行います。

入籍届でも戸籍謄本が必要になることがある

入籍届を出す市区町村が、子供の戸籍(婚姻中の戸籍)または自分の戸籍(離婚後の戸籍)の本籍地と異なる場合に、戸籍謄本も提出しなければなりません。

離婚の記載がある戸籍謄本の取得で、2通ずつ取得したほうがいいと説明したのはこの理由です。

入籍届を出す市区町村必要な戸籍謄本
子供と自分の本籍地戸籍謄本は不要
子供の本籍地自分の戸籍謄本
自分の本籍地子供の戸籍謄本
どちらとも異なる市区町村子供と自分の戸籍謄本

無駄を省くとしたら、子供の戸籍(婚姻中の戸籍)と同じ市区町村を本籍として離婚後の戸籍を作り、なおかつその市区町村に入籍届を出せば戸籍謄本が不要になります。

なお、入籍届は子供の数だけ必要な届出なので注意してください。

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