調停委員会と調停の登場人物

調停は、原則として調停委員会を調停機関として行われますが、裁判官のみで調停を行うことも可能です。ただし、当事者が調停委員会での調停を望むときは、調停委員会で調停を行わなくてはなりません(家事事件手続法第247条、民事調停法第5条)。

調停委員会は、単に当事者間の話合いを仲裁するだけに留まらず、事実認定に基づいて公平な立場から見解を示したり、当事者に法的なアドバイスを与えたり、職権によって必要な措置を講じたりと、紛争の解決に対し様々な役割があります。

また、調停委員会には法律で定められた権限があり、調停に大きな影響力を持っています。

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調停委員会の持つ職権

調停委員会の職権は、紛争を解決したい当事者の大きな助けになる存在でもあり、うまく調停委員会の職権を利用するべきです。

数多くある職権を全て紹介できませんが、調停を進めるにあたって、当事者が調停委員会の職権に頼る機会は少なからずあるでしょう。

事実の調査と証拠調べ

職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをすること(家事事件手続法第第260条第1項第6号、同法第56条、民事調停法第12条の7)

調停は、訴訟と違って当事者の主張を事実として確定する手続ではありませんが、何も事実認定がなければ、当事者が対立するだけで解決に向かわないケースは多々あることから、必要な調査や証拠調べをします。

調査嘱託

必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託すること(家事事件手続法第第260条第1項第6号、同法第62条、民事調停規則第16条)。

例えば、財産分与に争いがあって、相手方の預金残高を調べたいと思っても、金融機関は一般人に公開しませんが、家庭裁判所からの調査嘱託であれば、応じる可能性が出てきます。

調停前の処分・調停前の措置

当事者に対し、調停に必要と思われる処分を命ずること。これは、家事調停における調停前の処分(家事事件手続法第第266条)、民事調停においては調停前の措置(民事調停法第12条)と呼ばれるものです。

参考:調停前の処分とは

専門的意見の聴取

調停委員会を組織していない調停委員の専門的な知識経験に基づく意見を聴取すること(家事事件手続法第264条、民事調停規則第18条)。

裁判所は、担当する調停委員を指定しますが、当然ながらあらゆる専門知識を持っている人など存在しません。そこで、より専門的な知見を必要とするときは、他の調停委員を調停委員会に出席させて意見を聴取します。

調停の不成立

当事者間に合意が成立する見込みがない場合、または成立した合意が相当でないと認める場合に、調停事件を終了させること(家事事件手続法第272条、民事調停法第14条)。

調停の不成立は、訴訟(家事事件の別表第2事件は審判)へ移行するタイミングとなりますから、当事者にとって(早期決着を望む場合は特に)その判断が重要です。

調停の登場人物

当事者を除いた、常勤・非常勤の裁判所職員は以下の通りです。

裁判官(調停主任)

裁判官(民事調停では調停主任と呼ばれます)は、多くの事件を担当しており、調停に同席して、当事者から直接事情を聴くことは少ないでしょう。

裁判官の役割は、調停委員会が行う調停を指揮して、調停委員と共に評議をすることなどです。実際には、初回の手続説明や、調停終了時に成立・不成立の宣言をする場面でしか、裁判官を目にすることはないかもしれません。

調停委員

事実上、調停を進める役割を担うのが調停委員です。対立している当事者の間に入るので、調停委員に対する感情は、当事者間で正反対になりがちです(自分と考え方が合わない調停委員には嫌悪感を感じやすい)。

調停委員は、民間人から選ばれる非常勤の裁判所職員ですが、調停で争われる内容は多岐にわたるため、中には専門性の高い分野に造詣が深い調停委員もいます。

裁判所書記官

書記官の名称でもわかるように、調停において記録となる調書を作成するなど、事務を行う裁判所職員です。調停期日通知書には、担当の裁判所書記官が記載されています。

つまり、当事者にとっては裁判所の窓口となる職員でもあり、調停期日に都合が悪いときなど、何かあったら連絡する重要な存在です。

調停官(非常勤裁判官)

調停官とは、調停事件を扱う非常勤の裁判官です。裁判官と同等の権限が与えられていますが、5年以上の経験を持つ弁護士から採用されるので、実際には民間の弁護士です。

ただ、調停官は大都市に多く配置されており、地方では調停官を見かけることが少ないかもしれません。基本的に週1日の終日勤務、任期は2年(再任により最長4年)です。

家庭裁判所調査官

子に関する争いで、当事者と面談したり、子の生活状況・意思を把握したりと、家庭裁判所調査官は、補佐的に動いて裁判官・調停委員会へ報告をする職員です。調停に同席することもあります。

また、当サイトでは扱いませんが、少年事件の審理においても、家庭裁判所調査官は重要な役割を果たしています。

調停委員会は合議制になっている

調停委員会がその意思決定をするときは、調停委員会を構成するメンバーで決議がされます。この決議は多数決ですが、可否同数では裁判官(調停主任)の票によって決まります。また、調停委員会は進行などについても随時評議をしています。

調停委員会が合議制であること、評議によって進行が決まることは、当事者にとって思いのほか重要です。

というのも、裁判官だけによる調停よりは、民間人の調停委員も含めた調停のほうが(一般的な市民感情に配慮してもらえる意味で)安心ですし、自分と意見が合わない調停委員の独断で調停が進むわけではないからです。

逆に考えれば、調停委員2人のうち(多くの調停では裁判官+調停委員2人になる)、少なくともどちらかの調停委員に主張を理解してもらわないと、自分にとって難しい調停になっていくことが予想されるでしょう。

なお、調停委員会の評議内容や、職務上で知りえた人の秘密については、守秘義務が課せられており罰則もあります。

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初めての調停
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