調停委員会の構成

調停を行う機関のことを調停委員会と呼びます。委員会という言葉のイメージから、委員を選出して会議をする場のように感じますが、そこまで大げさなものではなく、調停の担当者=調停委員会のメンバーだと思っても構いません。

家事調停と民事調停では、調停委員会を構成するメンバーの名称が若干違うとはいえ、同じように組織されています。

法律上、裁判官(調停主任)1人と調停委員2人以上という構成になっており、実際には裁判官+調停委員2人の3人構成が基本です。調停委員会は、裁判官(調停主任)が指揮をします。

調停を指揮する人は、家事調停においては裁判官ですが、民事調停においては調停主任と呼ばれます。調停主任は、地方裁判所が指定する裁判官なので、どちらにしても裁判官ということになります。

性別について規定はありませんが、家事調停委員は男女ひとりずつが通常です。夫婦や男女で争うことが多い家事事件においては、平等の観点から性別に配慮が行われているのでしょう。

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原則は調停委員会での調停となる

家事事件手続法でも民事調停法でも、裁判所が相当と認めれば裁判官(調停主任)のみの調停も認められています(家事事件手続法第247条、民事調停法第5条)。ただし、原則的には調停委員会で調停が行われます。

裁判官のみで調停が行われる場合は、民間人の調停委員を含まないことになりますが、裁判官だけの調停を希望しても、裁判所の判断なので希望通りになるとは限りません。

逆に、調停委員会で調停を行うことは申立てが可能になっており、申立てをすると必ず調停委員会で調停が行われます。とはいえ、原則として調停委員会での調停になるのですから、あえて調停委員会での調停を申し立てるのはレアケースです。

なお、担当する調停委員は、裁判所が事件の内容によって指定するもので、申立人側から指定することはできません。

当事者の関係者などの理由から、調停委員が事件を担当できないことはありますが(除斥といいます)、当事者の要望により、調停委員を担当から外す制度(忌避といいます)はありません。

また、事件を担当していない(調停委員会のメンバーではない)調停委員も、他の事件について専門的な意見を述べることが認められています。

家事調停官と民事調停官について

家事調停でも民事調停でも、非常勤裁判官として調停に参加する家事調停官・民事調停官という存在があります。非常勤裁判官なので、家事調停官や民事調停官は民間から選出(最高裁判所による任命)されます。

民間の裁判官とは聞いたことがないので首をひねるでしょうか?

家事調停官と民事調停官は、5年以上の経験を持つ弁護士でなければ採用資格がありません。そして、各弁護士会(弁護士連合会)による推薦を経由して、日弁連から採用の申込みがされます。

弁護士は、言わずと知れた法律の専門家ですし、一般社会における様々な法律案件に従事しているので、ある意味では裁判官よりも調停の柔軟性を期待できます。

調停官は裁判官と同等の扱い

家事調停官は裁判官と、民事調停官は調停主任(裁判官)と同等の権限が与えられ、独立して職権を行うことが可能です。そのため、家事調停官や民事調停官だけで調停を行うこともできますし、裁判官や調停主任のように調停委員会を指揮できます。

要するに、裁判官や調停主任が、民間の弁護士に代わったと考えるとわかりやすいでしょうか。

その他にも、家事調停において合意に相当する審判調停に代わる審判、民事調停において調停に代わる決定をする権限も持っています。

調停において、担当の裁判官が常勤なのか、非常勤の調停官なのかを意識することはないでしょうが、調停官は当然に代理人としての経験も積んでいるため、争いの渦中にある当事者の心情を理解してもらいやすいのかもしれませんね。

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