調停の4つのメリット

調停で話し合うことと、当事者同士で話し合うことの何が違うの?そう思う方も多いでしょう。どちらも話合いですから、違いがないと思うかもしれませんね。

しかし、調停がただの話合いなら、何も裁判所で行う必要はないわけで、裁判所が関与することに重要性があるからこそ、調停制度がこれまで機能してきたのです。

そこで、調停のメリットとは一体何か。

この点を説明していくのですが、メリットと感じる部分は人によって異なるので、誰もが受けられる代表的なメリットに絞ってみました。

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調停が成立すれば確定判決と同じ効力がある

調停における最大のメリットは、調停成立による法的な効力です。調停の成立は、確定判決(家事事件の別表第2事件は確定審判、以下同じ)と同等の効力を持ちます。

  • 調停の成立とは、当事者が合意して(解決して)調停が終わることです。
  • 成立に対して不成立もあり、合意に至らず(物別れで)調停が終わると不成立です。
  • 調停の申立人が、終了を申し出て調停が終わる場合を取下げといいます。取下げは合意・不合意にかかわらず申し出ることができます。

この調停成立による効力が最大のメリットで、当事者だけの話合いとの大きな違いです。第三者が介在することで、理性的な話合いを提供することが調停の目的ですが、それだけなら第三者を挟んで話を聞いてもらうのと変わりありません。

調停が成立すると、裁判所書記官によって「調停調書」と呼ばれる書面が作成されます。この調停調書を手に入れるために調停すると思ってください。調停調書には執行力があるので、特に金銭にまつわるトラブルではとても重要です。

執行力とは、強制的に請求を実現する法的な力のことです。例えば、調停で決まった支払いを相手が守らないとき、相手の資産(給料など)を差し押さえることができます。

当事者間の合意による念書や協議書などの書面と、裁判所が作成した調停調書では執行力が全く異なるため、調停調書を甘く見てはいけません。

確定判決と同じ効力ということは、当事者の話合いで判決を得られるのと同じようなものですから、逆の視点では法的効力に自由度を持たせたとも考えられます。

判決は裁判官が言い渡すのに対し、調停は当事者の合意で成立するので、当事者が参加して法的効力を持ったルールを作り、それを調停条項として書面に残すということですね。

調停で合意した内容(調停で決まったルール)は調停調書に記載されますが、箇条書きで記載されるため調停条項と呼ばれます。

それだけに、調停での話合いは後悔しないように慎重にするべきですし、調停で決まったことを守らない=判決と同じ効力の調停調書に従わないということになってしまいます。

調停は手続がとても簡単

訴訟で一番面倒なのは手続です。訴状、口頭弁論における準備書面、証拠収集、陳述書など、いずれも未経験者にとってハードルが高いです。

そのため、弁護士や司法書士に頼むことが多くなりますが、この費用は決して安くないですし、頼んだから勝てるものでもないでしょう。

調停の申立書は記入欄が決まっており、添付書類についても何が必要であるか、裁判所の手続案内で教えてもらうことができます。

添付書類については役所で交付してもらうなど、ある程度の手間は避けられず、自分で申し立てる手続ですから至れり尽くせりというわけにはいきません。

ただ、調停は一般の人でも利用できるように設けられている制度であるため、法律など難しいことを知らなくても大丈夫です。

調停はとにかく安い

司法書士はともかく、訴訟における弁護士の報酬(着手金・成功報酬・日当など)がどのくらいであるかご存知でしょうか?

とてもじゃありませんが、一般的なサラリーマンの生活費から出せるような金額ではありません。弁護士報酬は普通に数十万円かかります。

調停にも種類があるため、申し立てる調停で費用は違いますが、2,000円~3,000円程度あれば、ほとんどは間に合ってしまいます(家事調停の場合)。つまり、調停が成立する前提なら、費用対効果はとても高いのです。

民事調停は、その請求額によって手数料は異なるのですが、だいたい訴訟の半額以下です。
例えば、500万円を請求する場合の手数料は、民事訴訟が30,000円、民事調停は15,000円です。

もっとも、調停は合意がなければ成立せず、訴訟とは性質が異なります。調停不成立なら訴訟となるので、結局は同じように思えますが、調停の少ない出費で解決すれば、誰でもその方がいいに決まっていますよね。

また、弁護士費用の敗訴者負担という、訴訟で負けた側が相手方の弁護士費用も負担する制度についても議論が交わされていますが、あくまでも確実に勝てる見込みで訴訟を起こす場合しか利用できないでしょう。

調停では争う相手と直接話さなくてもよい

正直なところ、顔を見れば言い争いになるという関係も世の中には多くあります。特に人間関係のもつれからくるトラブル(離婚など)では、会うことすら拒絶され、話合い自体ができないことも少なくありません。

家事調停では、基本的に同席での調停が行われませんから、嫌な相手と顔を会わせずに(間接的な)話合いを行うことができます。

具体的には、申立人と調停委員、相手方と調停委員の組み合わせで話し合うため、調停委員は両方から話を聞きますが、当事者同士での話合いはありません。

民事調停では同席も別席もあるとはいえ、感情面に配慮はされており、別席から始めて話がまとまりつつある段階で同席にして合意するという手段も取られます。

なお、調停は原則的に本人の出席を前提としているところ、実際には代理人として弁護士が出席することも認められています。最初から訴訟を見越している場合は、調停の段階から弁護士に依頼することも多くあるようです。

まとめ:調停のメリット

  1. 調停が成立すれば訴訟なんていらない
  2. 調停は申立書を出すだけの簡単手続き
  3. 少しのお金でできるのが調停
  4. 相手と会いたくなかったら調停がベスト

調停は話し合える段階でも、話し合えなくなった段階でも利用できます。まずは当事者で話し合ってダメなら調停でもいいですが、相手が信用できないなら争いをこじらせるよりも最初から調停の方が良いでしょう。

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