調停期日は、原則として申立人と相手方が同日に呼び出され、よほど特別な事情(暴力行為等で同日の呼出しが極めて危険な状態)がなければ、申立人と相手方を異なる日に呼び出す運用はされません。
間接的にではあっても、調停は当事者が話合いをするための場であること、事実の確認において反対の当事者がいなければ進まないことなどから、別々の日の調停で得られる成果が少ないためです。
調停期日通知書には、呼出日が記載されており、同じく調停期日通知書に書かれている受付場所で受付します。
その後、双方が異なる待合室(ただし、他の事件の当事者とは同室)で、調停室に呼ばれるのを待つのですが、基本的に受付場所は同じ運用です。
申立人と相手方の受付場所は、基本的に同じなので、顔を合わせたくなければ早めに裁判所へ行くほうが良いでしょう。
または、申立て時(調停によっては進行に関する照会回答書などで伝えます)や、調停前に担当の裁判所書記官へ事情を話すなど、何か手を講じる必要があります。
相手と同日に裁判所に出向くことで、調停の進行に支障があれば、裁判所は当事者の事情を考慮して調停期日の運用を変えます。
時間をずらして呼び出し、庁舎内で会わないようにする運用は多いですが、それでも危険が及ぶと判断すれば、階をずらすなど応用も効きますので、遠慮せずに担当の裁判所書記官に相談してみましょう。
開始時には手続説明がある
調停期日の開始時は、待合室から調停室に入り、申立人と相手方が同席の上で手続説明を受けます。ただ、同席の手続説明は絶対的な運用ではありません。
当事者が顔を合わせることで、精神的に不安定になったり、調停ができない懸念があったりすると別々に行われます。
この同席での手続説明は、積極的に取り入れている裁判所もあれば、慎重に運用している裁判所もあるので一概には言えないところです。
また、初回の調停期日には、次のような調停制度についての説明もありますが、初回は緊張して頭に入らないかもしれませんね。
- 裁判官と調停委員で構成する調停委員会が担当すること
- 調停が話合いの場であること
- 裁判所が判断するのではなく当事者の合意が必要なこと
- 調停は非公開であること
- 調停委員には守秘義務があること
- 自分の考えを素直に話してほしいこと
- 調停で決まった事柄は効力を持つこと
- 調停で合意しなければ審判(家事事件)や訴訟が用意されていること
- 交互に調停委員と話すこと
- その他の調停に必要な説明
手続説明の後は調停委員との話合い
手続説明が終わると、相手方は待合室に戻り、申立人から先に調停委員と話をします。直接相手方と話をすることはありません。
ただし、原則的にそのような別席での運用がされているのであって、争いが取り除かれて、当事者の関係が修復された状態なら同席もあり得ます。
一方が調停室で調停委員と話している間、もう一方は待合室で待機し、交互に調停委員と話をするので、1回を30分程度で2時間くらいのスケジュールです。
調停室に入るのは2人の調停委員と当事者の一方で、裁判官が調停に同席するとすれば調停成立時と調停不成立時、つまり調停の最終局面です。
法律上、調停委員会を組織する調停委員は2人以上と決まっています(家事事件手続法第248条第1項、民事調停法第6条)。そのため、調停委員が1人ということはなくても、3人以上になる可能性はありますが、ほぼ2人だと考えて間違いありません。
家事調停では、夫婦・男女の争いも多いことから、男性と女性1人ずつの組み合わせで調停を行うように配慮されています。
ですから、調停のほとんどの時間は調停委員との話合いで、調停委員といかに意思の疎通を図るかが、当事者としては最重要課題になります。
言い方が適切ではないかもしれませんが、調停委員を自分側に引き込むことで、有利に調停を進められる可能性はあるので、話が苦手な人や感情的になりやすい人は、弁護士への依頼を考える余地があるということです。
解決しなければ調停期日は繰り返される
調停期日での話合いで当事者が合意に至らなければ、残った争いを次回へと持ち越して、話し合う余地がある限り調停期日は繰り返されます。
初回から相手方が欠席したとしても、すぐに調停は不成立にならず、申立人の話を聞いて数回は調停が開かれるのが通常です。相手方の出席が期待できるうちは、初回ですぐに調停が終わってしまうことはありません。
例外として、相手方が調停に全く参加しない(話し合う気が無い)意思を、調停前に裁判所へ連絡して示していれば、調停を開く意味が無くなるので、不成立になるか取下げを勧められる場合もあります。
前回までの確認→今回の調停→次回への課題の確認
この繰返しで進んでいき、次回への課題が無くなれば調停は終了します。
元々争っているので、調停だからといって簡単に合意が得られるものではありません。そのため、双方が譲らず解決しそうになくても、冷静に考える時間を与える目的で、次回調停期日へ持ち越す場合もあります。
次回の調停期日は調停時に決める
次回の調停期日は、合意できなかった事柄についてじっくり考え直したり、証拠を用意したりするため、1か月程度の間が設けられます。
調停期日に間をあけるのは、調停室の空き状況にばらつきがあったり、裁判官と調停委員のスケジュールも影響したりするためです。
1件の調停期日で2時間程度はかかりますから、裁判所が開いている時間を考えると、1つの調停室では午前中に1件(または2件)、午後に2件(または3件)くらいしか処理できず、混雑している裁判所では間も長くなります。
裁判官は、複数の事件を同時に対応するため非常に忙しく、担当している各事件における調停委員会の評議があれば参加しながら、適切に指示を出していきます。
調停委員は、全ての調停委員がオールマイティにどのような事件も扱えるわけではなく、家事・民事それぞれに調停委員が存在して、事案に合わせて適切な担当になるように変わります。
また、最近の調停事件は、複雑かつ専門性も高くなっているため、調停委員も専門的な知識を必要とされており、特殊な事件を担当できる調停委員は少ないものです。
そういった事情を総合的に考えると、裁判官や調停委員が同時に担当できる数も限られてくるので、毎回の調停期日はどうしても間が空くのです。
間が空きすぎると、早く解決したい申立人にとっては不都合に思えるでしょう。残念ですが、調停期日が終わって、次の調停期日がすぐに来ることは考えにくく、この点は調停のデメリットでもあります。
終了時に説明がある場合も
調停期日の終了時にも、当日の調停結果を踏まえて、進行状況の確認と次回調停期日までの課題などの確認が行われます(絶対ではありません)。
この際に、話合いがどこまで進んでいるか確認できる進行表などを当事者に渡して、把握しやすいようにしている運用もあるようです。
調停期日終了時も基本的には両者立会いが望ましく、代理人が同伴していても本人の立会いが必要と考えられています。立会いが導入された経緯は、事件の解決に向けて、進行状況の理解と手続の透明性を高めるためです。
ただ、当事者を会わせることに問題がある状況なら、一方が調停室にいる間に、先にもう一方を帰宅させ、終了直後に裁判所外でも遭遇しないように配慮する運用もあることから、終了時の立会いは一律ではありません。
次のステップ:調停の終了には様々なパターンがある 前のステップ:調停申立書の提出と相手方への通知