年金分割調停の申立て期限と手続について

年金分割は、離婚前なら離婚調停に付随して申し立てますので、年金分割調停は離婚後の元夫婦のどちらかが申し立てる調停です。

申立先の家庭裁判所は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所が原則で、相手方と合意があれば、管轄合意書の提出によって別の家庭裁判所でも申し立てられます。

ちなみに、住所地というのは、現在居住している地域(現住所)という意味で、住民票上の住所と異なる場合がありますので注意しましょう。現住所がわからなければ、どの調停でも申し立てられません。

また、年金分割調停を申し立てられるのは、合意分割の按分割合が元夫婦で決められない場合に限り、3号分割をするために申し立てることはできません。これは、3号分割に当事者の合意が必要ないためです。

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年金分割調停の申立て期限は離婚から2年間

年金分割の請求(年金事務所や共済組合への標準報酬改定請求)は、離婚から2年間(より正確には離婚成立日の翌日から2年経過まで)に限られており、必然的に年金分割調停申立ても離婚から2年間です。

離婚後の相手とは連絡すら取れないケースが多く、話合いを進められずに2年過ぎてしまいそうですが、離婚から2年を超える前に、年金分割調停・審判を申し立てた場合には、例外的に救済措置があります。

離婚から2年を超える請求の例外

年金分割調停・審判を申し立てても、その結果が出る前に離婚から2年過ぎて、年金分割が請求できなくなったのでは意味がありませんよね。

離婚から2年を超える前に年金分割調停や審判を申し立て、なおかつ調停成立または審判確定によって按分割合が定められたときは、調停成立または審判確定の日の翌日から6か月が請求期限となります(厚生年金保険法施行規則第78条の3第2項)。

以前は1か月でしたが、改正されて令和2年8月3日以降は6か月となりました。

このことから、離婚から2年が過ぎそうなときは、年金分割調停・審判を申し立てることで、調停成立や審判確定から6か月まで、年金分割の請求権が留保されることになります。

調停成立や審判確定から6か月よりも、本来の請求期限(離婚から2年間)が後に到来するときは、当然に請求期限までの間は請求可能です。

つまり、離婚から2年と調停成立・審判確定から6か月の遅いほうが請求期限です。

ここで、調停の不成立を心配するかもしれませんが、別表第2事件に該当する年金分割調停は、調停不成立でも調停の申立て時に審判の申立てがあったとみなされ(家事事件手続法第272条第4項)、自動的に審判へ移行します。

ですから、どうせ調停しても決まらないと思わず、当事者で決められないなら積極的に調停を申し立てるべきでしょう。最終的に審判で按分割合が定められ、その割合はほとんどが50%です。

参考:年金分割の按分割合(分割割合)は原則50%

年金分割調停の申立てに必要なもの

  • 年金分割調停(請求すべき按分割合)申立書
  • 収入印紙1,200円分(申立書に貼付)
  • 連絡用の切手(家庭裁判所で異なる)
  • 年金分割のための情報通知書

通信用の切手については、固定額ではなく家庭裁判所で指示された金額を用意します。庁舎内で収入印紙や切手を売っているかどうかは、場所によって異なるため、できるだけ郵便局で事前購入しておきましょう。

年金分割のための情報通知書は、日本年金機構の年金事務所や各共済組合等に請求して、調停前に入手しておかなくてはならない書類です。

この情報通知書には、合意分割における按分割合の範囲が記載されており、按分割合の範囲内で按分割合を決めるのが、年金分割調停になります。

なお、年金分割調停では、情報提供日が離婚後になっている情報通知書を必要としますので注意してください。

調停成立後・審判確定後の手続

年金分割調停・審判で按分割合が決まっても、それだけで自動的に年金分割は行われず、家庭裁判所は何もしてくれません。

年金分割は、年金事務所や各共済組合等に、按分割合を指定した標準報酬の改定請求をすることで、初めてその効果が生まれます。

参考:年金分割調停後には標準報酬の改定請求

標準報酬の改定請求には、調停成立なら調停調書の謄本、審判確定なら審判書の謄本と確定証明書を添付します。

前述のとおり、年金分割の請求(標準報酬改定請求)は、離婚から2年と調停成立・審判確定から6か月の遅いほうが請求期限ですから、せっかく按分割合が決まったのに、請求期限を過ぎないように気を付けましょう。

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