調停の4つのデメリット

調停にはメリットも多いですが、デメリットも考えてみましょう。どのような制度でも良いことばかりとは限らず、調停にもデメリットはあります。

調停のデメリットは、メリットの裏返しでもある「当事者の話合い」を前提としている点で、調停の申立人が望む結果を得られるとは限らず、せっかく申し立てたのに徒労に終わるかもしれません。

他にもデメリットはありますから、調停の申立てを考える際は、メリットとデメリットを良く考えることです。ただし、致命的なデメリットではなく、解決しない問題が依然として解決できていない現状維持です。

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調停は欠席されると手立てがない

調停で最大のデメリットとも言えるのが、相手が欠席すると何も進まない点です。裁判所からの呼出しに応じないことで過料という罰則もありますが、実行されずに欠席が許されてしまう現実もあり、強制的に出席させることはできません。

参考:調停では欠席が許されてしまう

もっとも、調停というのは争いが始まってすぐに申し立てられるのではなく、最初は当事者同士で話合いがあり、決裂してから申し立てることが多いでしょう。

したがって、相手が話合いに応じないことも想定し、次の段階(訴訟や審判)を見据えたうえで、調停を申し立てることになるはずです。

また、調停期日通知書が旧住所に配達がされた、正しい住所に配達されても長期不在で見ていないなど、相手が調停を知らずに欠席するケースも考えられます。欠席が意図的でも意図的でなくても、申立人としては何もすることができません。

調停が申し立てられると、裁判所は初回の調停期日(調停をする日)を決め、当事者双方に郵送で通知します。調停期日通知書が届くのは、調停の申立てから2週間後くらいです。

なお、相手に調停期日通知書が配達できなければ、調停の申立書に不備があるわけですから、申立人に裁判所から確認の連絡があります。その際、相手の現住所がわからないと、調停をすることができなくなるので、結果的には申立てを取り下げるしかなくなります。

調停が開かれるのは平日

協議は当事者の自由でいつでも行えますが、裁判所で開かれる調停は、平日の昼間しか行われないので、仕事をしている時間なら休むことになります。

家事事件手続法第34条第2項は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に期日指定できることを規定しています。ただし、やむを得ない場合の基準は明確ではありません。

ダメ元で日曜日・休日の調停を相談してみる価値はありますが、平日に代理人(弁護士)を出席させることができるわけですから、閉庁日に調停が開かれるのはよほどの事情でしょう。

調停1回が2時間程度かかることを踏まえると、調停が開かれる時間帯は、午前中は1回(10時頃)、午後は2回(13時頃と15時頃)が妥当で、裁判所への往復時間を考えても結構な時間を取られます。

特に調停の申立人は、希望して調停を申し立てており、裁判官や調停委員がスケジュールを合わせているのに欠席するわけにもいかず、相手が欠席しそうでも無駄に仕事を休んで裁判所に出向くことになるでしょう。

職場によっては、休む理由を聞かれることは現在でも多く、正直に言えるならまだしも、毎回嘘をついて調停に行くことだってあるはずです。

裁判所が遠ければ毎回面倒な思いをして、相手が来るかどうかわからない調停、話合いに進展があるかどうかわからない調停に向かうのです。

そうはいっても、調停で得られるメリットは大きく、調停が成立して調停調書を手に入れることは、その後の人生に大きく影響します。徒労に終わることがあると覚悟しながらも、調停を進めていくしかありません。

調停は時間がかかる

調停は、1か月~1か月半に1回程度しか開かれませんので、すんなり話がまとまらなければ数か月、簡単に半年は経過して、場合によっては1年もかかることだってあります。

家事調停の統計データでは、平均すると6か月くらいかかります。
参考:家事調停の平均的な審理期間と期日回数

また、お互いと調停委員の都合が合わなければ延期もありますし、話がこじれている場合は、どうしても長期化するのを避けられないでしょう。

特に、争いが複雑な家庭問題を取り扱う家事調停は長くなりがちで、その中でも複数の事案を包括的に話し合う離婚調停は余計に長引きます(離婚訴訟も長いです)。

なお、調停の初回から相手が欠席しても、すぐに調停は終了するのではなく、相手に話合いの意思がないと確認できるまでは、何回か開いて終わらせる(または取り下げる)のが通常です。その場合、初回の調停は申立人の話を聞くだけになります。

仮に3回の調停期日なら、3か月以上(申立てから初回の調停期日まで日にちが空くため)は無駄にすることになり、毎回出席するのは面倒ですが我慢するしかありません。

調停で必ずしも結果を得られるとは限らない

訴訟では、審理に慎重を期さなければならないので、調停以上に時間がかかっても不思議はありませんが、判決が出れば何らかの結果を得られます。

しかし、調停というのは、合意しない手段があるために、少しずつ前に進んでも相手の気が変わって、結局スタートまで戻ることも考えられます。

逆に申立人は、調停が進んでいく上で、自分にとって不利な状況になりそうなら、強引ですが取り下げて調停を終わらせることもできてしまいます。

つまり、長い時間をかけても、何の成果も得られずに終わってしまう可能性があり、その割合は小さくないのが調停です。ただし、調停で成果がないことは、訴訟を提起する理由になりますから、全くの無駄に終わりません。

なお、調停では請求の全てに合意せず、一部だけ合意して成立させることも可能です。一部でも調停が成立して調停調書が作られると、確定判決(家事事件の別表第2事件は確定審判)と同じ効力になる点には注意しましょう。

まとめ:調停のデメリット

  1. 調停は欠席されてしまうことがある
  2. 平日に都合を合わせて調停に行かなくてはならない
  3. 調停に時間がかかるのは諦めるしかない……
  4. 調停は何の結果も保証されない

こうしてデメリットを並べてみると、平日に開かれる点以外は、いかにも調停の解決能力が低いように思えてしまうかもしれませんね。

決してそうとも言えないのですが、当事者の意思を優先して、自発的な解決を促す制度だけに、「決めてもらう」訴訟と比べると「自分たちで決める」調停は、何も決まらないで終わることも多いです。

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