面会交流の頻度と実施状況

面会交流の頻度は、おおむね1か月から2か月に1回程度だと言われています。しかし、実際にどのくらいの頻度で面会交流が実施されているのかは、全国規模の統計がありません。

この記事は、司法統計ならびに全国ひとり親世帯等調査の結果から、面会交流の頻度と実施状況を調べたものです。

どちらの統計も決め手にはならないので両方を紹介します。

司法統計には、家庭裁判所手続(離婚、子の監護に関する処分)において、面会交流の取り決め状況、取り決めされた頻度が統計されていますが、その実施状況はわかりません。

一方で、全国ひとり親世帯等調査は、協議離婚を含めた母子世帯・父子世帯に対し、面会交流の頻度・実施状況を調査した結果ですが、全国から無作為抽出された結果であり、実数値は数1,000世帯規模です。

母数を増やすため、司法統計は令和3年度から令和5年度までを対象としました。全国ひとり親世帯等調査は令和3年度です。

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子の監護に関する処分における面会交流の頻度

子の監護に関する処分のうち、調停成立・審判認容における面会交流の頻度と比率です。

週1回以上月2回以上月1回以上2~3か月に1回以上4~6か月に1回以上長期休暇中別途協議その他
総数436235410831288891326120605009
0歳541254751714279
1歳1612163218326460165
2歳3219691224150480206
3歳402661026250528114230
4歳4824211062986718107294
5歳5625211262727417119321
6~9歳14784736369423151085331467
10~14歳813581886558264867321711
15~19歳(※)1131253694815273536
データ:令和3年度~令和5年度司法統計
※令和5年度は15~17歳
週1回以上月2回以上月1回以上2~3か月に1回以上4~6か月に1回以上長期休暇中別途協議その他
総数1.76%9.51%43.76%11.67%3.69%1.05%8.32%20.24%
0歳0.97%7.98%49.42%14.59%3.31%0.19%8.17%15.37%
1歳1.33%10.02%52.36%15.16%2.15%0.33%4.97%13.67%
2歳1.86%11.39%52.99%14.00%2.91%0.23%4.65%11.97%
3歳2.01%13.39%51.66%12.59%2.62%0.40%5.74%11.58%
4歳2.20%11.10%50.73%13.67%3.07%0.83%4.91%13.49%
5歳2.50%11.27%50.34%12.16%3.31%0.76%5.32%14.35%
6~9歳1.84%10.59%45.48%11.78%3.94%1.35%6.67%18.35%
10~14歳1.43%6.31%33.23%9.83%4.65%1.52%12.90%30.14%
15~19歳(※)0.89%2.51%20.47%5.58%3.88%1.21%22.09%43.37%
データ:令和3年度~令和5年度司法統計
※令和5年度は15~17歳

最も多いのは月1回以上で、2~3か月に1回以上と月2回以上が続きます。「おおむね1か月から2か月に1回程度」は、あながち間違っていないとはいえ若干少ない? ですよね。

年齢が上がるにつれ、面会交流の頻度(取り決め時)は明らかに下がっていきますが、中学生や高校生は、学校活動や交友関係で幼少期よりも忙しくなります。

また、ある程度の年齢になると、子の自主性に任せて不定期に会うケースが出てくるはずです。定期的な面会交流の頻度が減るのは仕方がないでしょう。

離婚調停と調停に代わる審判における面会交流の頻度

離婚調停の成立(調停離婚)と調停に代わる審判(審判離婚)における面会交流の頻度と比率です。

週1回以上月2回以上月1回以上2~3か月に1回以上4~6か月に1回以上長期休暇中別途協議その他
件数678244212874171351610891653675
比率2.18%7.83%41.30%5.50%1.66%0.35%29.40%11.79%
データ:令和3年度~令和5年度司法統計

こちらは、年齢別のデータがありません。月1回以上が多いのは同じですが、子の監護に関する処分と比べて、離婚時は「別途協議」の比率がずいぶん高いです。

これは、面会交流が離婚の要件ではないため、先送りして離婚を調停成立・審判にしてしまったのが原因ではないでしょうか。

法令上の要件ではないとはいえ、面会交流をきちんと決めて離婚しないと、後でトラブルになりがちなのは家庭裁判所もよくわかっているはずで、もう少し頑張ってほしいと個人的には思います。

全国ひとり親世帯等調査における面会交流の実施状況と頻度

全国ひとり親世帯等調査では、離婚方法別に集計されていますので、協議離婚と調停離婚・審判離婚の違いを確認してみましょう。

なお、全国ひとり親世帯等調査では、母子世帯と父子世帯に分けた集計もされていますが、子の年齢別には集計データがありません。

面会交流の実施状況

面会交流の実施状況について、「現在、面会交流を行っている」「過去に面会交流を行ったことがあるが、現在は行っていない」「面会交流を行ったことがない」の3区分で調査されました。

以下の各表においては、公表されている集計表での表記を次のように変更しています。

集計表「現在も行っている」⇒ 当記事「現在行っている」
集計表「過去に行ったことがある」⇒ 当記事「過去に行っていた」

例えば、集計表の「現在も行っている」というのは、現在も過去も行っている意味ですが、そのような質問はされていません(調査は現在行っているかどうかのみ)。

したがって、集計表が調査結果と1対1であるのかは不明です。

協議離婚調停離婚・審判離婚
取り決めあり取り決めなし取り決めあり取り決めなし
総数6011,600267188
現在行っている35446510436
過去に行っていた1323098133
行ったことがない10974380111
不詳68328
データ:令和3年度全国ひとり親世帯等調査
協議離婚調停離婚・審判離婚
取り決めあり取り決めなし取り決めあり取り決めなし
総数27.31%72.69%58.68%41.32%
現在行っている16.08%21.13%22.86%7.91%
過去に行っていた6.00%14.04%17.80%7.25%
行ったことがない4.95%33.76%17.58%24.40%
不詳0.27%3.77%0.44%1.76%
データ:令和3年度全国ひとり親世帯等調査

当たり前かもしれませんが、調停離婚・審判離婚は、面会交流の取り決め率が高いです。

協議離婚の7割以上は面会交流を取り決めていないのに対し、調停離婚・審判離婚では6割弱が面会交流を取り決めています。司法統計では4割強でしたから、離婚後に取り決めた分が含まれているのでしょう。

例えば、離婚調停では面会交流を取り決めずに成立させ、別途協議または面会交流調停を申し立てて、離婚後に継続して話し合うケースが考えられます。

ところが、面会交流を行ったことがない比率(未実施率)を計算してみると、

協議離婚:4.95%+33.76%=38.71%
調停離婚・審判離婚:17.58%+24.40%=41.98%

となりますので、面会交流の実施率は離婚方法で大きな差はなく、むしろ調停離婚・審判離婚のほうが低いです。驚きますね。

つまり、調停離婚・審判離婚では、面会交流を取り決めても実施されにくい、取り決めなければなおさら実施されにくいという、家庭裁判所手続を経由した効果が出ていません。

離婚調停を申し立てるほど争いが激しい場合は、たとえ面会交流の取り決めがされても、離婚後まで引きずってしまう(面会交流が拒否されている)と推測されます。

母子世帯と父子世帯の比較

実施率の表だけ掲載しますので見比べてください。

【母子世帯】

協議離婚調停離婚・審判離婚
取り決めあり取り決めなし取り決めあり取り決めなし
総数27.57%72.43%58.31%41.69%
現在行っている15.39%18.24%20.84%7.12%
過去に行っていた6.54%15.33%18.21%6.86%
行ったことがない5.29%35.18%18.73%26.39%
不詳0.36%3.68%0.53%1.32%
データ:令和3年度全国ひとり親世帯等調査
※協議離婚総数=1,683、調停離婚・審判離婚総数=379

【父子世帯】

協議離婚調停離婚・審判離婚
取り決めあり取り決めなし取り決めあり取り決めなし
総数26.45%73.55%60.53%39.47%
現在行っている18.34%30.50%32.89%11.84%
過去に行っていた4.25%9.85%15.79%9.21%
行ったことがない3.86%29.15%11.84%14.47%
不詳0.00%4.05%0.00%3.95%
データ:令和3年度全国ひとり親世帯等調査
※協議離婚総数=518、調停離婚・審判離婚総数=76

母子世帯と父子世帯の比較では、面会交流の取り決め状況に大きな差がありません。しかし、母子世帯の面会交流実施率は、父子世帯に比べて明らかに低いです。

面会交流の実施は、事実上、同居親の意向で決まりますから、離婚した母親は子を父親と会わせない傾向が強いことをデータが示しています。

ただし、その理由については、父親側にも母親側にも原因があると考えられますし、もちろん子の意向が関係しますので、一概に母親を批判できるものではありません。

面会交流の頻度

「現在、面会交流を行っている」「過去に面会交流を行ったことがあるが、現在は行っていない」と回答した世帯を対象に、面会交流の頻度を調査した結果です。

月2回以上月1回以上2~3か月に1回以上4~6か月に1回以上長期休暇中別途協議その他不詳
件数2594022461751016328083
比率16.10%24.98%15.29%10.88%6.28%3.92%17.40%5.16%
データ:令和3年度全国ひとり親世帯等調査
※「月1回以上2回未満」を「月1回以上」と表示

司法統計の週1回以上を月2回以上に組み入れ、全国ひとり親世帯等調査の不詳を取り除くと、両データが揃いますので直接比較してみましょう。

月2回以上月1回以上2~3か月に1回以上4~6か月に1回以上長期休暇中別途協議その他
司法統計(子の監護事件)11.27%43.76%11.67%3.69%1.05%8.32%20.24%
全国ひとり親世帯等調査16.97%26.34%16.12%11.47%6.62%4.13%18.35%
データ:令和3年度~令和5年度司法統計、令和3年度全国ひとり親世帯等調査
※司法統計の「週1回以上」を「月2回以上」に加算
※全国ひとり親世帯等調査の「不詳」を全体から減算
※全国ひとり親世帯等調査の「月1回以上2回未満」を「月1回以上」と表示

司法統計と比べて、全国ひとり親世帯等調査は月1回以上の比率が低く、他の頻度へ全体的に分布しているとわかります(月2回以上も増えている)。

事前に取り決めた面会交流に対して、実施率が下がることは前述のとおりですが、全体として実施頻度も下がっており、面会交流の約束は相当数が反故にされている現実を意味しています。

したがって、面会交流の実態は「取り決めが月1回以上」「実施は1か月から2か月に1回」が平均的といえるのではないでしょうか。

母子世帯と父子世帯の比較

実施率の表だけ掲載しますので見比べてください。

月2回以上月1回以上2~3か月に1回以上4~6か月に1回以上長期休暇中別途協議その他不詳
母子世帯13.70%24.12%16.82%11.32%6.64%4.35%17.56%5.50%
父子世帯23.59%27.69%10.51%9.49%5.13%2.56%16.92%4.10%
データ:令和3年度全国ひとり親世帯等調査
※「月1回以上2回未満」を「月1回以上」と表示

もう説明不要ですね。頻度においても母子世帯は父子世帯より少ないです。

まとめ

  • 家庭裁判所手続における面会交流の取り決めは、月1回以上が最多
  • 面会交流の取り決め状況は、離婚方法で大きく異なる(協議離婚は取り決めが少ない)
  • 面会交流の取り決めに対し、実施率・実施頻度のいずれも減少する
  • 母子世帯の面会交流は、父子世帯に比べて実施率・実施頻度のいずれも低い
  • 実態として「取り決めは月1回以上」「実施は1か月から2か月に1回」が平均的
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