年金分割の方法は合意分割と3号分割の2種類ある

年金分割の方法には、合意分割と3号分割という2種類の異なる分割方法があります。異なるといっても、婚姻期間における厚生年金や共済年金の納付記録を分割することには変わりありません。

合意分割と3号分割は、大まかに言ってしまえば、夫婦(元夫婦)の合意が必要になるか、合意を不要とするかの違いです。

  • 合意分割→相手と合意して按分(あんぶん)割合を決める
  • 3号分割→相手の合意なく2分の1で分割できる

この違いを知ると、誰でも合意が不要な3号分割を利用したくなりますが、3号分割を利用できるのは、被扶養配偶者(国民年金の第3号被保険者)であった期間で、なおかつ平成20年4月1日以降の期間に限られます。

年金分割の按分割合とは

按分割合というのは、分割する割合という意味で、最大で0.5(50%、2分の1)、最小は分割前の割合になります。例えば、分割前の割合が夫70%:妻30%であるなら、妻の割合を50%~30%の間で協議します。

最大が50%なのは、それ以上に分割すると逆に夫婦が不公平になってしまうからです。最小が分割前の割合になっているのは、年金分割によって少ない側の年金がさらに少なくならないようにするためです。

年金分割調停は、この按分割合について夫婦の協議が調わないときに、按分割合の話し合いを家庭裁判所で行うための手続です。

年金分割の分割方法を詳しく知る必要はない?

合意分割と3号分割は、それぞれ異なる制度ですし、対象になる期間も異なります。それでも、合意分割と3号分割の詳細まで意識する必要はそれほどないでしょう。

なぜなら、婚姻中の全期間が3号分割の対象、または一部期間の3号分割しか請求しない場合を除き、年金分割は合意分割になるからです。3号分割しか必要のない夫婦は少ないでしょう(ただし時間が経つにつれて3号分割だけの夫婦も増えるはずです)。

合意分割と3号分割の期間全期間を分割一部期間を分割
全期間が合意分割の対象合意分割×
一部期間が3号分割の対象合意分割3号分割
全期間が3号分割の対象3号分割×

そして、合意分割には夫婦の協議が必要で、3号分割の対象期間が含まれていても、結局は夫婦の協議で決まった按分割合に調整されます。つまり、合意分割で大切なのは按分割合であって、3号分割の対象期間が含まれるかどうかではないのです。

3号分割は合意分割よりも優先される

合意分割を年金事務所や共済組合に請求するとき、婚姻期間中に3号分割の対象になる期間が含まれていると、3号分割の請求もあったとみなされる扱いです。その場合、先に3号分割がされて、その後に指定した按分割合に従って分割がされます。

結果としては、3号分割の期間が含まれても含まれていなくても、合意分割の期間がある限りは夫婦で決めた按分割合で分割しますから、合意分割と3号分割の詳細まで知っていたところで、年金分割の結果は変わりません。

ただし、婚姻中の全期間が3号分割の対象になる場合は、協議すら必要なく請求があれば2分の1で分割されます。また、相手と話もしたくなければ一部期間の3号分割だけして、他の期間は分割しないという選択肢もあるでしょう。

こうしたケースを考えると、合意分割と3号分割の違いについては、一応の理解をしておく必要はあるのかもしれません。それぞれの分割方法については別ページで解説しています。

年金分割調停ができるのは合意分割だけ

夫婦で按分割合を決める合意分割では、年金額の増減に直結するだけに、按分割合で争うこともあります。夫婦で協議が整わなければ、離婚前なら離婚調停の付随申立てで話し合い、離婚後なら年金分割調停を申し立てて話し合います。

しかし、3号分割については、按分割合に争いようがなく強制的に2分の1で分割されるため、話し合う意味もない年金分割調停は申し立てることができません。

また、そもそも年金分割の対象になる期間がない(夫婦のどちらも婚姻中は厚生年金や共済年金に加入していない)場合は、争い以前の問題ですから、当然に年金分割調停を申し立てることができません。

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