年金制度と年金分割の基本を理解しておこう

年金については、あえて説明するほどでもないですが、一定の期間以上納めた年金保険料によって、老後に年金として受け取ることができる制度です。

その年金保険料の記録を、離婚時に分割することを年金分割と呼びます。とはいえ、そもそも年金の仕組みを知らないと、自分が年金分割の対象かどうかもわからないですよね。

そこで、年金制度から先に説明します。

年金制度には2種類ある

公的な年金制度には、国民年金と厚生年金の2種類あります。以前まで、公務員等(公務員と私立学校教職員)が加入していた共済年金は、平成27年10月1日から厚生年金に一元化されました。

【国民年金】
20歳から59歳までの全ての国民に加入義務があります。
保険料は所得に関係なく一律です。

【厚生年金】
厚生年金の適用事業者で働く人が加入しています。一般企業のサラリーマンや公務員等の他、一部のパート・アルバイトも厚生年金に加入している場合があります。
保険料は所得に応じて高くなり、事業主と折半して負担します。

国民年金は全員加入ですから、厚生年金の保険料には国民年金の保険料が含まれており(正確には少し違います)、厚生年金に加入していれば国民年金にも加入しています。

したがって、国民年金だけに加入している人と、厚生年金に加入している人では受け取る年金に差が生じているのです。

ここを理解しないと年金分割を理解できないので、しっかり押さえておきましょう。

厚生年金は国民年金にプラスされる年金

国民年金は(保険料を納付していれば)全員が受け取るのに対し、厚生年金は加入者しか受け取れません。

  • 国民年金だけに加入している人→国民年金のみ受給
  • 厚生年金に加入している人→国民年金と厚生年金を受給

国民年金も厚生年金も、加入中に納付した保険料が多ければ多いほど、年金額が増える仕組みは同じです。

ところが、保険料が一律の国民年金に対し、厚生年金は保険料が給与によって変わりますので、厚生年金の加入者は在職中の給与が高ければ高いほど、年金額(国民年金と厚生年金の合計額)は多くなります。

サラリーマンや公務員の配偶者は?

さきほど、厚生年金へ加入しているサラリーマンや公務員は、国民年金と厚生年金を受給できると説明してきました。

では、サラリーマンや公務員の配偶者はどうなっているのでしょうか?

もちろん、配偶者もサラリーマンや公務員なら、自ら厚生年金に加入しているので、夫婦はお互いに厚生年金の加入者です。

しかし、サラリーマンや公務員に扶養されている配偶者(第3号被保険者といいます)は、国民年金にしか加入していません

第3号被保険者は、自分で国民年金保険料を納付していませんが、厚生年金全体で負担することにより(正確には少し違います)、国民年金の加入者となります。

夫婦間の年金格差が離婚後の大きな問題

ここまでを整理してみましょう。

  • 年金制度には国民年金と厚生年金(共済年金を含む)がある
  • 厚生年金の加入者は国民年金に加えて厚生年金を受給できる
  • 厚生年金は給与が高いほど年金額が高くなる
  • 厚生年金加入者の被扶養配偶者は国民年金のみに加入している

厚生年金の年金額が給与によって決まるということは、夫婦が共働きなら給与の違いで年金額に差が生まれ、給与が同じでも在職期間で年金額は変わります。

典型的な年金格差の例

女性の社会進出が声高に叫ばれている現在でも、夫が会社勤めで生活費を稼ぎ、妻は被扶養者となって家事や育児をする役割分担は少なくありません。

こうした形態の夫婦では、婚姻中に妻が働いていないので国民年金にしか加入できず、厚生年金に加入している夫と年金額に大きな差が付きます。

何より重要なのは、国民年金の月額給付額(令和2年度で65,141円)が、全く生活できる水準ではないという点です。

専業主婦が離婚すると、老後に(年金が少なくて)生活が困窮してしまう問題があり、これを是正しようと年金分割制度が生まれました。

年金分割の基本的な考え方

婚姻中の夫婦には協力扶助義務があり、どちらが生活費を稼いでも、夫婦の収入として使われていきます。また、夫婦が婚姻中に築いた財産も、財産分与で基本的には2分の1で分けられます。

つまり、極端に貢献度の異なる収入が無い限り、婚姻中に夫婦で得られた収入は、生活費で使われようと蓄財されようと、夫婦の共有で扱われるのです。

同じように、夫婦の収入から支払われる年金保険料も、夫婦が共同で納めたものと扱い、婚姻期間の年金記録は離婚時に分けようというのが年金分割の基本的な考え方です。

年金分割の対象は厚生年金

国民年金は、夫婦間に差がないので年金分割の対象ではなく、年金分割は厚生年金に対して行われます。

具体的には、厚生年金に加入していた期間の年金記録(標準報酬総額)を、多い側から少ない側に移すのですが、その割合は夫婦の働き方(共働きなのか扶養だったか)によって異なります。

したがって、婚姻期間に夫婦のどちらも厚生年金の加入履歴がなければ、年金分割そのものが発生しません。

また、年金分割の対象になる厚生年金記録は婚姻期間中に限られます。婚姻前の厚生年金、離婚後の厚生年金は対象外なので注意しましょう。

詳しくは他の記事で解説しているので参考にしてください。

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