協議離婚が無効になる前の再婚は取消しが必要

離婚届が勝手に出されてしまう理由のひとつに、配偶者以外との異性と再婚したいケースがあります。

再婚の婚姻届を提出するときには、役所から重婚に該当しないかチェックされるので、重婚とならないように離婚届を出してしまい、婚姻届が受理されるようにしたいからです。

ここで、協議離婚無効確認調停によって、前婚(離婚は無効でも成立してしまっているので前婚とします)が無効であると確認された場合、無効な離婚は届出まで遡るため、婚姻状態で再婚の婚姻届を出したことになり重婚が成立します。

したがって、協議離婚無効確認調停とは別に、重婚を理由として婚姻取消しを申し立てなくてはなりません。

婚姻取消しの請求は、協議離婚無効確認の請求と同じく特殊調停事件なので、調停前置主義から婚姻取消調停を申し立てます。

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離婚の無効と婚姻の取消しはどっちが先?

理屈から言うと、離婚が無効になって初めて重婚になり、婚姻取消しの対象となることから、先に離婚を無効にしなければ婚姻の取消しを請求できないことになります。

しかし、判例は離婚意思のない離婚届による離婚が、離婚を無効とする審判や判決の確定を待つまでもなく当然に無効なので、確定前でも婚姻の取消しを請求することは許されるとしています。

そのため、協議離婚無効確認調停と婚姻取消調停は同時進行も考えられるのですが、だからといって、婚姻の取消しが先に確定して離婚が無効にならないと大問題で、婚姻の取消し請求は先にできても、婚姻取消しの確定は無効な離婚の確定後になります。

また、婚姻の取消しは将来に向かってしか効力を発生せず(民法第748条第1項)、取消しが確定しても婚姻が無かったことにはなりません。

重婚があるときの離婚を無効とする訴えは、速やかに申し立てて確定させる努力をするべきでしょう。

婚姻の取消し請求は前配偶者でも可能

重婚を理由とする婚姻の取消しは、重婚の配偶者や前婚の配偶者にも認められています(民法第744条第2項)。ですから、勝手に離婚届が出されて離婚が無効な状態にあれば、当然に婚姻取消調停の申立てが可能です。

重婚の配偶者からも婚姻取消しを請求できますが、そもそも望んで婚姻しているので難しいでしょう。婚姻届を出す時点では、相手は離婚しているのですし、騙されていたわけでもありません。

ただし、離婚が無効である事情を知れば、態度を改めるかもしれないので、重婚の配偶者に知らせるのも事態を解決するための方法になる可能性はあります。

先に離婚されると重婚を取り消せない?

重婚の状態にあっても、後婚が離婚によって解消されると、特段の事情が無い限り、後婚を取り消す請求はできないとした判例があります。

その一方で、婚姻取消しと離婚では財産関係での扱いが異なり、後婚が取消しで解消されるか離婚で解消されるかは重要であるため、離婚がされていても取消しの利益がないということはできないとした判例もあって、裁判所の判断も一定していません。

しかし、前婚の離婚無効と後婚の婚姻取消しを訴えた側にとって、どちらであっても前婚が継続している状態になるので、当初の目的は果たせるでしょう。

なお、前婚の離婚が無効にならなければ、もはや重婚ですらないため、前婚の配偶者が後婚の婚姻取消しを請求することは当然できません。

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初めての調停
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