調停は思っているほど堅苦しい手続ではない

調停が裁判所で行われるといっても、裁判官と会うのは最初の調停と最後の調停くらいで、調停期日のほとんどは当事者と調停委員だけの話合いです。

それでも、裁判所自体が普段行く場所ではないですし、トラブルがあるからこそ調停に行くのですから、重苦しいムードになりがちなのは避けられません。ただ、裁判所で行うことにそれほど身構える必要はないでしょう。

調停では当事者の意思が最優先されるので、気に入らなければ不成立になって終わるだけですし、無理に相手の言い分を聞く必要はないからです。

もっとも、争いを解決するために調停があるのですから、お互いに譲る部分がないと物別れに終わってしまうのであり、少しは前進したいところですよね。

調停は比較的利用しやすい

調停委員の経験者に話を聞いたところによると、調停を申し立てる人の全てが、当事者間で話もできないほどの深い溝を持っているとは限りません。

特に家事調停では、妻の言うことを聞いてくれない夫に対して、第三者から見てどうなのかを諭してもらう目的で調停が申し立てられることもあるそうです。

また、裁判所に行くという心理的影響、つまり「出るところに出る」という意味で、言わば「脅し」のように調停を利用しているケースもあると言っていました。

要は、最初から何としても解決したい争いがあるのではなく、調停や調停委員をうまく使って、相手をコントロールする意図でも利用されているというわけです。

家では高圧的な男性が、裁判所に来ると調停委員の前でシュンとしてしまうことも多いのだとか。そして、ある程度話がまとまったところで、妻が調停を取下げ、夫婦は元の鞘に収まるといった感じです。

調停の目的は争いの決着だけではない

家事調停では、人間関係の修復を目指す目的も含めて調停が行われおり、調停そのものが敷居の高いものではないということを良く表しています。

これは、家事事件の当事者が、夫婦・親子・親族といった深い人間関係を持つため、調停成立だけで真の解決とはならないからです。

調停に持ち込まれる内容も、当事者同士は至ってマジメに話していますが、はたから見ると「そんなことで」「しょーもない」ということすらあるそうです。(もちろん調停委員はそんな態度を示しませんよ…と思います)

また、民事調停は一般的にお金の問題と考えられがちでも、実際はそうでもありません。例えば隣人トラブルのように、日常の問題でも取り扱ってくれます。

このように、あなたが思っているよりも、調停というのは生活していく上での諸問題を多く取り扱っており、全く難しく考える必要はないのです。

調停は話合いの延長上にある

調停は間口を広くして多くのトラブルに対応していますが、苦情窓口ではなく当事者の話合いの延長上にあることだけは忘れないでおきましょう。

本来は当事者で話し合うべきところを、感情のもつれなどで話合いが難しいと感じたら、いつでも利用できる制度が調停です。

ですから、裁判所に苦情を言って法的に相手を何とかしてもらおうという考えや、訴訟のように強制力を持った判断を下してもらおうという考えは間違っています。

どちらが正しいかではなく、「どうやったら解決できるか」を模索していくのが調停で、当事者が解決の努力を持っていなければ、調停そのものが成り立ちません。

また、生活上のトラブルは、当事者以外の他人に関与させると、その人に迷惑がかかったり、人間関係を悪くしたり弊害を伴うことがあります。

調停で対応する調停委員は、守秘義務を課せられる第三者なので、その意味でも、今後も付き合いが続く知人などを争いに関与させるより、解決しないとしても調停を利用するほうが優れているはずです。

争いが激しくなる前に調停を

トラブルが深刻だからこそ調停を選ぶが通常であり、本来は当事者間で解決するべきでも、切羽詰まる前の段階で調停を利用することに制限はありません。

トラブルは個別に状況が異なるのが当たり前で、どの状態なら調停を利用でき、どの状態なら利用できないという基準はないのです。

家事でも民事でも、物事が一旦こじれてしまうと修復は難しくなります。まともに話合いができなくなる前に、調停に場を移して話し合うという選択は、調停の利用方法として正しいものです。

民事事件においては、金銭や権利に関わる問題も多いため、むしろ調停のほうが、正しい道筋に沿って解決に向かうことも多いのではないでしょうか。

なお、裁判所には調停を利用手続を教えてくれる窓口はありますが、調停で話し合うべき諸問題について、苦情を言ったり相談したりするような窓口はありません。

前述の通り、調停は本人の話合いを助けるための制度で、一方だけの話を聞いて、裁判所で何かしてもらえると誤解しないようにしましょう。

それ以外は気を使う必要もなく、事前に準備して調停で堂々と自分の考えを主張し、有利な条件で終わらせるように(裁判所は公平の立場なので有利になるとは限りませんが)努力すれば良いのです。

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