裁判離婚では判決よりも和解が多い

離婚調停が成立しない、または離婚調停をすることができないときは、離婚訴訟を起こして離婚するのが裁判離婚(狭義)です。裁判離婚には、和解離婚、認諾離婚、判決離婚の3つがあります。

和解離婚と認諾離婚は、人事訴訟法の改正に伴って2004年4月から制度が始まり、それまでは裁判で和解しても協議離婚するしかなかったのが、改正後は和解すると、和解調書によって離婚が成立するように変わりました。また、原告の請求を全面的に認める認諾離婚でも、認諾調書によって離婚が成立します。

認諾離婚は非常に数が少なく、そもそも請求を認めるくらいなら、離婚訴訟になる理由がない点と、後述する認諾離婚の制限によるものです。

※注意
広義の裁判離婚には調停離婚、審判離婚を含めますが、このページでは和解離婚、認諾離婚、判決離婚の3つを裁判離婚としています。

人口動態調査による裁判離婚の件数

離婚訴訟は調停前置主義から離婚調停を経由するので、調停で合意できないのに、和解がされるのは不思議に思うでしょうか。しかし、現行制度の開始直後は判決が多かったのに対し、最近は和解のほうが多くなっています。

離婚の総数和解離婚認諾離婚判決離婚
2009253,3533,414
222,512
2010251,3783,648
302,473
2011235,7193,478
242,574
2012235,4063,831
152,788
2013231,3833,502
172,783
2014222,1073,303182,472
2015226,2153,491182,383
※資料:2015年人口動態調査

この数字は、離婚訴訟があった数ではなく、裁判離婚によって離婚届が出された数です。したがって、離婚請求の棄却や訴えの取下げで離婚がなかった数は含まれません。

和解と請求の認諾は確定判決と同じ効力

離婚訴訟の終局として、和解で終わっても認諾で終わっても、作成される和解調書または認諾調書は、確定判決と同一の効力を持っています(人事訴訟法第37条第1項による民事訴訟法第276条の規定の適用)。

つまり、離婚訴訟で離婚するときは、どのような終わり方でも効力において確定判決と違いはありません。これが、裁判離婚の大きなメリットだとも言えます。

確定判決の効力は調停や審判でも同じ

離婚調停成立時の調停調書への記載(家事事件手続法第268条第1項)、調停に代わる審判の確定(同法第287条)も確定判決と同一の効力です。

これにより、調停の成立、審判の確定、和解の成立、請求の認諾、判決の確定の全てにおいて、家庭裁判所が関与する離婚は、確定判決でされるのと同じ効力になります。

和解離婚をもう少し詳しく

和解離婚が成立するのは、家庭裁判所が関与した訴訟上での和解で離婚に合意したときです。判決前に当事者が歩み寄って和解するのですが、裁判官からの和解勧告に応じて、和解する場合もあります。

離婚の合意は、当事者の身分関係に与える影響が大きいため、本人の合意が原則で、代理人による合意は馴染まないとされます。そのため、本人の出頭について明文の規定はなくても、実務上は本人の出頭による和解が求められています。

この点は、離婚調停において調停期日で代理人の出席を認めていても、調停成立時(離婚成立時)は本人でなければならない運用と一致しています。

ちなみに、裁判官から和解勧告がされても、当事者が応じるかどうかは自由です。不満があるなら拒否すれば良いのですが、その後は判決になります。

それでも判決には控訴できますから、不満がある和解を受け入れるよりも、完全決着を目指す道を選択する人もいるでしょう。

認諾離婚が極端に少ない訳

認諾離婚では、原告の離婚請求を被告が認める形で終了し、認諾調書の作成によって離婚が成立します。訴訟で争っているのに請求の認諾はされないように思えますが、判決を待たずに訴訟を終了させたいなら可能性はあるでしょう。

ただし、認諾離婚は附帯処分または親権者指定が必要ない離婚訴訟に限られます。附帯処分には、離婚請求に附帯して申し立てられる子の監護者の指定、養育費、面会交流など子の監護に関する処分、財産分与、年金分割が該当します。

これらの附帯処分や親権者指定に争いがない離婚訴訟は、それ自体が少ないのは明らかで、請求の認諾は離婚しか請求されていないときに限られてしまいます。

逆に考えると、離婚以外の争いも認諾するなら、そもそも協議離婚できるはずで、または和解離婚でも良いのですから、請求の認諾を許す意味がありません。

請求の認諾を限定する効果

請求の認諾は、原告の請求を被告が認める一種の合意と同じようなものですが、附帯処分や親権者指定を不要とする条件が付いているのには意味があります。

請求の認諾を無条件に許して問題となるのは、附帯処分や親権者の指定が、当事者や第三者にとって不当である場合です。例えば、わざと離婚を争うフリをして離婚訴訟を起こし、過当な養育費や財産分与を附帯処分として申し立てたとしましょう。

そして、離婚訴訟が始まり、原告と申し合わせた被告が請求の認諾を陳述するとします。もし、全ての請求に認諾が許されると、家庭裁判所が審理して適正な金額を定める判決と異なり、判決されるはずのない金額でも認諾できてしまいます。

その結果、家庭裁判所の十分な審理がされないまま、確定判決の効力を得る手段が存在してしまい、非常に危険なのは明らかです。

第三者からの支払いを免れるためや、相手への過当な贈与目的の財産移動に、請求の認諾が使われてはなりません。

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