離婚調停の申立て動機~第1位は性格の不一致

離婚または離婚条件に争いがあり、協議離婚できない夫婦においては、離婚調停を申し立てることで解決するか、離婚調停が不成立なら離婚訴訟へと進みます。

激しく争って離婚訴訟に至る夫婦から、いつのまにかお互いの愛情が失われ自然消滅的に協議離婚する夫婦まで、離婚の経緯は人それぞれです。

しかしながら、どのような夫婦でも何らかの離婚原因がありますよね。飽きたという理由であれ、浮気が理由であれ必ず何かあるはずです。

そこで、離婚調停の「申立ての動機」が、どのような分布になっているか記事にしてみました。とはいえ、申立ての動機によって離婚調停が変わるわけではなく、どのような理由で離婚調停が申し立てられているか参考程度です。

データの精度について

司法統計では、婚姻関係事件(離婚、円満、同居・協力扶助、婚姻費用分担)の様々な集計をしており、この記事で参考にしたのも平成27年度司法統計です。主な申立ての動機が、3つまでの複数回答で集計されています。

したがって、データは離婚調停に限定したものではないのですが、離婚調停の申立て動機と扱っても問題ないレベルと判断しました。

その理由は、集計項目が夫婦関係調整調停申立書(離婚・円満で共通)の「申立ての動機」に一致しており、夫婦関係調整調停はほとんどが離婚調停だからです。

また、この記事は離婚原因のランキングを表すものではありません。離婚の9割を占める協議離婚では、離婚届に離婚理由を書く欄がなく、離婚全体の離婚原因に統計データは存在しないでしょう。

ただし、離婚または離婚条件を争って離婚調停を申し立てる夫婦と、争いがなく協議離婚する(もしくは争いを離婚後に持ち越す)夫婦において、どれほど離婚原因が違うか考えてみると、それほど違いはない気がします。

よって、根拠は何もないですが、離婚原因を表しているのかもしれません。

データ:平成27年度司法統計

婚姻関係事件申立て総数:65,684件
夫からの申立て:17,776件
妻からの申立て:47,908件

※動機が「その他」と「不詳」は順位として不採用

第1位:性格が合わない

総合1位30,280(46.1%)夫1位10,900(61.3%)妻1位19,380(40.5%)

元は他人同士ですから、夫婦として共同生活していくうちに、お互いの性格に我慢できなくなるのも無理はないとはいえ、それにしても圧倒的に多いです。男女差もあって、夫が約6割、妻が約4割となりました。

婚姻してから相手の性格を知り、嫌になって離婚したくなるという事情ならまだしも、見合い結婚は年々減少しています。国立社会保障・人口問題研究所の2010年調査(総数1,136)では、見合い結婚が5.2%しかありません。

同調査では平均交際期間が4.26年と出ており、こちらは年々長くなっています。晩婚化が進み、全体的には「勢いで結婚する」夫婦が減りました。

つまり、相手と交際または同棲して婚姻に至るケースが増え、なおかつ社会経験もある程度積んだ年齢での婚姻にもかかわらず、ダントツ1位が性格の不一致となることに、何となく違和感を感じないでしょうか。

そのくらい、夫婦生活には忍耐が必要ということですね。

第2位:精神的に虐待する

総合2位15,604(23.8%)夫2位3,322(18.7%)妻3位12,282(25.6%)

精神的暴力もDVに含まれ、DV被害は女性に多いと思われがちですが、離婚調停の申立て動機に限れば、精神的暴力に言われているほどの男女差はありません。

腕力に劣る妻は、身体的暴力よりも精神的暴力で夫を攻撃するしかなく、精神的暴力の男女差が小さい理由だと考えられます。

また、男性優位の考えが根強かった時代に比べ、妻が我慢をせず不満を表現するように変わってきた中で、夫を精神的に傷付けていることもあるのでしょう。

性格の不一致にしてもそうですが、婚姻を継続していくために精神的要素が重要であることを、データが物語っています。

第3位:生活費を渡さない

総合3位14,335(21.8%)夫11位784(4.4%)妻2位13,551(28.3%)

夫婦間の経済格差がはっきり出ている結果です。経済的弱者である妻にとって、生活費を渡さない夫との生活は死活問題で、離婚調停や婚姻費用分担請求調停に繋がっていくのも必然でしかありません。

また、夫からの申立ても僅かにあるのは、妻が職業労働を担い、夫が家事労働(または職業労働との兼業)を担う夫婦が少なからずあるからでしょう。

あるいは、共働き夫婦において、一方が収入から生活費を全額負担し、他方が収入を個人消費してしまうような偏った分担の夫婦でも、生活費を渡さないことが申立ての動機になっていると思われます。

第4位:暴力を振るう

総合4位12,387(18.9%)夫8位1,505(8.5%)妻4位10,882(22.7%)

身体的暴力は、妻からの申立てが夫からの申立てを大きく引き離し、妻だけでは4位になる主な理由です。また、精神的虐待を加えたDV全体では、妻の場合23,164件(48.4%)となり、性格の不一致(40.5%)をしのぐ結果となりました。

したがって、妻の申立て動機はDVが第1位です。一方、夫ではDV全体でも4,827件(27.2%)と、性格の不一致(61.3%)よりもはるかに少ないとわかります。

これらの結果は、価値観・人生観・家族観など、性格の不一致と語られやすい男女間の差異に対して男性の精神的耐性が低く、耐えかねた男性が手を出してしまうか、侮蔑的な言葉を発してしまうケースが多いことを示しているのでしょうか。

DV加害者である夫は、正当な理由がないので性格の不一致を主張し、DV被害者である妻は正当な理由としてDVを主張していると思われます。

第5位:異性関係

総合5位11,280(17.2%)夫4位2,637(14.8%)妻5位8,643(18.0%)

言わずと知れた「浮気」で、不貞な行為は法定離婚事由にもなっています。ただし、離婚調停での扱いは離婚訴訟のように厳格ではなく、肉体関係が確認できていなくても異性関係を理由とした申立ては可能です。

よって、異性関係を理由とした申立ての中には、疑わしいだけの浮気や、肉体関係のない浮気も含まれると考えられますが、だからといって浮気された側は、自分をないがしろにした相手配偶者を許す気にならないのでしょう。

男女差では、妻の申立て(つまり夫の浮気)が多いとはいえ、それほど大きな差ではないので、もはや外で働く男性が浮気しやすいイメージはありません。

全体の結果

上位に入らなかった申立ての動機を含め、グラフにしてみました。

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夫と妻を比較してみると「へー」と思えるような差もあります。

例えば、一般的には嫁姑の確執で離婚に発展すると思われがちですが、意外にも夫のほうが家族親族との折り合いを理由に申し立てる割合が高くなっていました。

同居に応じないとする理由では、いわゆる妻が「実家に帰る」別居パターンなのか夫からの申立て割合が高く、性的不満も申立て割合では夫のほうが高いです。

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