家事調停

家事事件は家庭裁判所で扱われ、家事事件のための調停を家事調停と呼びます。日常で起こりうる家庭内の争いについて、誰でも家事調停を利用することが可能です。

また、家庭内だけではなく親族内での争いも家事事件に含まれます。要するに、身内のトラブルは家庭裁判所が専属の窓口となって紛争解決を目指すわけですね。

そうはいっても、これまで家事事件という用語すら聞いたこともなければ、もちろん家事調停はイメージできないので、もう少し家事調停について詳しく確認していきましょう。

家事って何?事件って何?

家事といっても、いわゆる家庭における炊事・洗濯・掃除といった、日常的な作業全般のことを指すのではありません。家事という言葉には、家庭内で起こる事柄という広い意味があり、その中には紛争(トラブル)も含まれます。

そして、直感的には犯罪絡みを連想させる「事件」ですが、裁判所で扱う案件は事件と称して管理されます。何となく事件と呼ばれることに違和感がありますよね。

しかし、事件と呼ばれることに特別な意味はなく、裁判所で扱うと何でも事件になると思えば、意識することもなくなるでしょう。

家庭内の事柄を家事、裁判所で扱う紛争(案件)が事件ですから、家事事件とは裁判所で扱う家庭内紛争の総称です。家事調停は家事事件を解決するための手続として存在します。

家事事件に対応する言葉として、第三者間の紛争は民事事件と呼ばれ、簡易裁判所で開かれる民事調停が用意されています。

家事事件はデリケートかつプライベート

家庭内の紛争には多くの種類がありますが、そのほとんどは感情のもつれを起因としています。非常にデリケートかつプライバシーに深く関わる可能性もあるため、単に法律に当てはめて考えれば済むような性質ではないのです。

また、家事事件の当事者は、紛争が解決しても人間関係が継続されるので、調停後の人間関係も考慮して家庭裁判所が関わっていく機能も求められます。

そこで家事調停においては、適法・不適法といった一律の判断をせず、当事者が納得できるように、一切の事情を考慮して解決に向かう道が探られます。

ただし、感情の対立が激しい当事者間で妥協点を探し出すのはなかなか難しく、家事調停において全ての家事事件が解決するとは限りません。

家事事件には審判がある

家事事件と民事事件の違いとして、家庭内の争いと第三者間の争いという違いだけではなく、家事事件には審判制度がある点も異なります。訴訟なら知っていても、審判は馴染みがない人も多いのではないでしょうか。

審判は訴訟と似たような手続ですが、非公開で行われ訴訟のように口頭弁論もありません(当事者からの陳述聴取はあります)。

証拠と一切の事情から、裁判所が事件についての判断を示すのは判決と同じで、審判に不服がなく確定すると一定の法的効力を生じます。

家事事件で審判の対象になる事件は2種類あり、1つは事件に争いがなく手続上で家庭裁判所の許可・選任等を必要とする別表第1事件です。別表第1事件では、氏の変更許可や相続放棄、後見人の選任など多くあります。

別表第1事件は、紛争性が低い事件を予定しており、その公益性から家庭裁判所の手続によらなければならない決まりがあるので、必ず審判で解決され、調停を利用することはできません。

もう1つは、紛争性が高く調停でも話し合うことができる別表第2事件で、婚姻費用の分担や財産分与、子の監護や親権者の指定などが該当します。

別表第2事件は審判と調停のどちらも利用でき、もし調停で話合いがまとまらなければ、訴訟ではなく審判に自動移行する事件です。

審判が確定すると、例えば戸籍の変更が必要なら、審判後に変更することができるようになり、金銭の支払いに関する審判なら、審判に従って支払わなくてはなりません。

調停で解決できなくても意味はある

最も良いのは当事者間で和解し、争いが解決することですが、争いが根深いと調停を開く意味すらないケースもあります。また、調停によっても結局話合いがつかず、審判や訴訟へ移行することも当然あるでしょう。

それでも、家庭裁判所という公的な第三者が介在して話し合うことには大きな意味があり、家事調停の本来の目的である争いの解決だけではなく、その後の訴訟手続にとっても、家事調停は欠かせないものになっています。

なぜなら、家事事件の多くは、訴訟手続の前に調停を行わなければならない調停前置主義が採用されており、調停前置主義の対象事件では、原則として調停を回避することができないからです。

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