協議離婚無効確認調停申立書の入手方法と書き方

協議離婚無効確認調停は、協議離婚したことになっている元夫婦(当事者)だけではなく、親族や利害関係人でも申し立てることが可能です。

ただし、自身の身分行為である当事者はさておき、第三者が協議離婚無効確認調停を申し立てるためには、確認の利益が必要であることに注意してください。

現に、何らかの権利や法的地位が脅かされており、協議離婚が無効と確認されること(当事者の婚姻関係が継続していること)によって、その不安・危険を除去できる第三者は、確認の利益を持っています。

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協議離婚無効確認調停申立書の入手方法

申立書は各家庭裁判所にありますが、裁判所のサイトでも公表されていますので、印刷して使う場合や事前に申立書の書式を知りたいときに便利です。

しかし、裁判所共通サイトからダウンロード可能な申立書は、かすれていて品質が悪かったので、横浜家庭裁判所のサイトから紹介しています。

調停申立書 – 横浜家庭裁判所(PDF)
※別ウィンドウまたは別タブで開きます。
※別表第2事件の共通様式です。

協議離婚無効確認調停申立書の書き方は難しくありません。なぜなら、請求が離婚の無効だけですし、その経緯さえわかれば、申立てとして十分だからです。

とはいえ、申立書が相手方に送られることから、若干は書き方に注意点があるので説明していきます。

協議離婚無効確認調停申立書の書き方

申立書に記入が必要な項目は、主に本籍・氏名・住所、申立ての趣旨、申立ての理由の3つで、調停の申立書では共通のものです。

もちろん、協議離婚無効確認調停であるからには、申立ての趣旨も理由も独特なので、そのあたりを記入していきます。

ただ、申立書の写しを相手方も見る点は十分に考える必要があり、申立書に不要なことまで書いて、相手方を刺激するのは得策ではありません。申立書には事実だけを書きましょう。

上部:事件名等

申立ての最上部には、調停と審判のチェックを付ける欄、事件名を記入する欄があります。この欄が記載済みでないときは、調停にチェックし、事件名は協議離婚無効確認と記入します。

その下にある欄は、収入印紙を貼り付けるスペースなので何も記入しません。

申立書を書き間違える可能性を考えると、収入印紙は書き終えてから貼るべきです。

さらに下には、申し立てる裁判所名、申立書の記入日、申立人氏名を書いて押印します。印鑑は認印で問題ありません。

申立先の家庭裁判所ですが、人口が多い地域や管轄が広い地域では、家庭裁判所に支部がありますので、「家庭裁判所」と記載のある左に裁判所名を、すぐ下にある「御中」と記載のある左に支部名を書きます。

また、調停をする家庭裁判所に当事者の合意がないときは、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる都合上、申立先を知る意味でも、相手の住所地を管轄する裁判所名や支部名を調べなくてはなりません。

裁判所のホームページでは、全国の家庭裁判所サイトが掲載されており、各家庭裁判所には管内の支部が掲載されているので、わからなくなったら確認してみましょう。

各地の裁判所 – 裁判所
※別ウィンドウまたは別タブで開きます。

添付書類欄には、申立人(自分)の戸籍謄本1通、相手方の戸籍謄本1通、離婚届の記載事項証明書1通と記入します。

この欄は、申立書以外に裁判所が用意している進行に関する照会回答書や事情説明書、連絡先等の届出書などは記入せず、自分で用意した書類について記入する欄です。

本籍・氏名・住所

この欄は、記入に問題が無いはずです。申立人と相手方の戸籍謄本を提出する以上、戸籍謄本を確認して記載の本籍や氏名を書き写すだけです。

問題があるとすれば住所欄ですが、申立人の現住所を書く必要はなく実家などで構いません。相手方の現住所は、調停の申立てがあったことを通知してもらうために必須です。

なお、協議離婚無効確認調停では、最終的な目的が離婚を無効にして戸籍を訂正することなので、復縁目的の相手に現住所すら教えられないケースは少ないと思われます。

もし、現住所を知られたくないなら、現住所は連絡先等の届出書に記入して、非開示の希望に関する申出書と一緒に提出すると、原則的には相手方へ開示されません。

申立ての趣旨

この欄は定型化されています。

「申立人と相手方との協議離婚は無効であることを確認するとの調停を求める」

と記入するだけです。

上記の定型文である必要はないですが、同じ意味になるように書かなくてはならず、そのまま書きましょう。

申立ての理由

この欄が最も気を使いますし、事情によって変わる欄でもあります。必要なのは無効な協議離婚がされたという事実であって、他は一切必要ありません。

申立ての理由に書くべき内容

  • 申立人と相手方が婚姻した事実とその日付
  • 離婚協議に合意していなかった、離婚協議は無かった、合意したが後で翻したなど、離婚を望んでいなかったこと
  • 離婚届が無断で出された日付と離婚を知った経緯
  • 申立人に離婚の意思がないこと
申立ての理由に不要な内容

  • 相手に対する非難・誹謗・中傷
  • 自分がどのくらい傷ついたかなどの心情
  • 相手を罰して欲しい旨
  • 裁判所に是非を判断して欲しい旨

調停の申立書には、書き方に共通するポイントがあります。文中は自分を申立人、相手を相手方として書き、文が変わるごとに番号を付けます。うまくまとめるためには、時系列で順番に書くのが最も伝わりやすいでしょう。

いくつか書くべき内容を挙げていますが、全てを個別に分ける必要はありません。例えば、結婚して2年後の離婚協議に合意していなかったとすれば、

  1. 申立人と相手方は○年○月○日に婚姻しました。
  2. 婚姻から約2年後の○年○月ころから不仲になり、相手方から求められた離婚について、申立人は関係修復を望んで合意しませんでした。

としても、

  1. 申立人と相手方は○年○月○日に婚姻しましたが、婚姻から約2年後の○年○月ころから不仲になり、相手方から求められた離婚について、申立人は関係修復を望んで合意しませんでした。

としても構いません。実際には調停で詳しい事情を話しますし、申立書には事実と経緯を簡潔に書くだけで良いのです。

婚姻した事実とその日付

申立人と相手方が、何年何月何日に婚姻(結婚)した夫婦であったか書きます。婚姻届を出した日が不明でも、戸籍謄本に受理日が書いてあるので問題ないはずです。

離婚には合意していなかったこと

とても重要で、無効な離婚の根拠(届出の時点で離婚意思が無かったこと)の説明です。事情によっていくらでもパターンは考えられますので一例を紹介します。

  • 婚姻から約2年後の○年○月ころから不仲になり、相手方から求められた離婚について、申立人は関係修復を望んで合意しませんでした。
  • ささいなことで口論になった際、相手方は離婚を求めてきたので、申立人は再三にわたり関係修復できないか説得を試みましたが、一向に聞き入れてもらえませんでした。
  • 相手方は○年○月ころから自宅に帰らなくなり、離婚の協議は何もなく、申立人も離婚を望んでいませんでした。
  • 婚姻からまもなく、性格の不一致を理由に相手方から離婚を求めてきたので、申立人は応じて離婚届に自署しましたが、子供のことを考え思い直し、○年○月ころ相手方には離婚しない意思を伝えていました。
  • 相手方は申立人に度々暴力を振るい、相手方が離婚を求めてきたときに身の危険を感じて、申立人は離婚届に自署しましたが、離婚の意思はありませんでした。

他にも色々あるでしょうから、ここは個別の事情に合わせて書きます。必ず離婚を望んでいなかった、離婚の合意は無かった内容を含めるようにしてください。

離婚届が無断で出された日付と離婚を知った経緯

離婚届が無断で出された日(受理日)は、戸籍謄本から明らかです。離婚を知った経緯についても、個別の事情になりますので一例を紹介します。

  • 戸籍謄本を確認したところ、○年○月○日に離婚の届出がされており、相手方が申立人に無断で離婚届を提出したもので無効な届出です。
  • 相手方の親族に連絡した際、既に協議離婚していると聞き、戸籍謄本で確認したところ○年○月○日に申立人に無断で離婚届が提出され、これは無効な届出です。
  • 後日、相手方から離婚届を提出したと聞きましたが、申立人は離婚届に記入したことはなく、相手方がした離婚の届出は無効です。
  • 申立人は相手方が離婚届を提出する前に、離婚の意思が無いことを内容証明郵便で伝えており、離婚の届出は無効です。

協議離婚無効確認調停ですから、離婚の届出が無効であることなどあえて書くまでもないですが、相手方にも写しが送られますし、無効を主張するのは大切です。

離婚の意思がないこと

最後は定型文で良く「申立人に離婚の意思は全くないため、申立ての趣旨のとおりの調停を求めます。」で終わります。

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初めての調停
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