離婚調停が成立して調停調書が作られると、その時点で離婚は成立していますが、それだけでは戸籍の記載が変更されません。離婚調停成立後10日以内に、申立人が必要書類を添付して離婚届を提出します。
そして、調停による離婚の場合には、離婚調停を申し立てた申立人1人で離婚届を提出できます。この点は、夫婦の合意による協議離婚での離婚届と大きく違う点です。
離婚届を出さないと戸籍の記載が変更されないと説明していますが、離婚届を出さなくても、最終的に本籍地の市町村長が戸籍を訂正します。
ただし、届出を催告されたり過料制裁の可能性があったりと、決して良い状況ではないので、離婚届を出すようにしてください。
離婚届の提出に必要なもの
- 調停調書謄本(もしくは省略謄本)
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート、住基カードなど)
- 本籍地以外に届け出る場合は戸籍謄本
- 離婚届に押す印鑑(認印可、スタンプ印は不可)
省略謄本(省略調書謄本ともいいます)とは、離婚調停で決められた事柄のうち、戸籍の記載に関係しない調停条項を省略した謄本です。
離婚届に記入せず、戸籍にも記載されない離婚条件(慰謝料・財産分与・年金分割など)が書いてある調停調書謄本を提出するのは、誰でもいい気がしないので、省略謄本を使った方が離婚届には適しています。
この省略謄本は、家庭裁判所に交付を申請し、謄本1枚(1ページ)に対して150円の収入印紙が必要です。
調停離婚後に離婚届を出すときの注意点
協議離婚と調停離婚では、記載するべき点が若干ですが異なります。
離婚の種別欄
「調停」にチェックを付け、調停調書に記されている成立日を記載します。
未成年の子の氏名欄
調停調書に記されている親権者の通りに記載します。
届出人署名欄
調停離婚では1人でも離婚届を提出できるので、相手方の署名と押印は必要ありません。
証人欄
調停離婚による離婚届では、証人を必要とせず空欄でOKです。
離婚届については、「離婚届の用紙ダウンロードと書き方・必要書類など」で説明しているので確認してみてください。
離婚調停の申立人が離婚届を出さない場合
離婚調停の申立人は、離婚したいからこそ離婚調停を申し立てるので、調停成立後に離婚届を出さないとは考えにくいです。
それでも、調停成立から10日を過ぎて調停の申立人が離婚届を出さないときは、離婚調停の相手方からも離婚届を出すことができます。
また、離婚調停の相手方が離婚届を出すことになっている、つまり、調停調書に相手方が届け出る旨の記載があるときは、届出義務者が相手方なので、相手方が調停成立から10日以内に離婚届を出さなくてはなりません。
いずれにせよ、離婚届が遅れても成立した離婚が覆るわけではありませんが、出した・出さないで言い争うのもばかばかしいので、自分が届出義務者の場合は、速やかに出してしまいましょう。