年金分割は自分に有利か必ず確認してから!

年金分割は、離婚時に必ずしなくてはならないものではなく、分割したくなければしなくても構いません。ですから、分割するなら自分に有利な状況、つまり自分の年金が増えないと意味が無いですよね。

自分の年金が年金分割で増えるためには、婚姻中の標準報酬総額(厚生年金や共済年金に加入している期間の収入だと考えてください)が、相手よりも少ないことを前提とします。

つまり、婚姻中に厚生年金(共済年金)へどのくらいの期間加入していたか、その加入期間中の収入はどうだったかまで把握していないと、年金分割の結果は予想できません。

年金分割は、国民年金に上乗せされる厚生年金(共済年金)部分が対象です。国民年金は、未納や免除などで年金額に差があっても、年金分割の対象にはならないので注意してください。

婚姻中の標準報酬総額が、夫婦のどちらに多いのかを正確に知るには、年金事務所や共済組合から、「年金分割のための情報通知書」を取得するのが最も確実な方法です。

しかし、年金分割のための情報通知書を請求する前でも、大まかに判断できることがないか念のため確認してみましょう。

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厚生年金(共済年金)へ未加入だった場合

婚姻中ずっと相手の扶養になってた、働いていたが自営業、社会保険の対象にならない短時間のパート等、学生など、自分が厚生年金(共済年金)に未加入であれば、話は極めて単純です。

なぜなら、自分の標準報酬総額は0円ですから、婚姻中に相手が厚生年金(共済年金)へ加入していたかどうかで、年金分割すべきかどうか簡単に判断できます。

  • 相手が厚生年金(共済年金)へ加入していた→年金分割で自分の年金が増える
  • 相手も厚生年金(共済年金)へ加入していなかった→年金分割できない

特に、婚姻中に相手の扶養になっていた期間(国民年金第3号被保険者の期間)は、相手の合意を必要としない3号分割が可能なので、年金分割を積極的に考えても良いでしょう。

ただし、3号分割できるのは、平成20年4月1日以降の婚姻期間だけです。

平成20年4月1日よりも前に婚姻しているときは、3号分割の対象期間と合意分割の対象期間が両方あるので、平成20年4月1日よりも前の期間も含めて年金分割したければ合意分割を選択します。

いずれにせよ、婚姻期間中に厚生年金(共済年金)へ未加入なら、少なくとも年金分割で自分の年金が減ることはありません。

一時的に厚生年金(共済年金)へ加入していた場合

婚姻当初は会社員や公務員で働き、出産や育児、転職や脱サラなどで、厚生年金(共済年金)から外れている場合です。

また、女性に多いのは出産後の職場復帰で、厚生年金や共済年金の加入期間が分断されていることもあるでしょう。

このパターンでは、加入期間の長さと収入が関係するので正確な判断は難しく、ざっくりとした計算で判断するしかありません。

標準報酬総額は、厚生年金(共済年金)の加入期間×平均収入でも大まかに計算できるのですが、年度の貨幣価値に応じて再評価されるため、単純な計算結果とは異なります。

ただ、一方は婚姻中ずっと加入、他方は短期間の加入のように明らかな差があるケースや、加入期間は同じくらいでも収入差が大きいときは、どちらの標準報酬総額が多いか計算するまでもないでしょう。

お互いの加入期間や収入が不明なときは、判断の誤りが多いので、きちんと年金分割のための情報通知書で確認するべきです。

ずっと厚生年金(共済年金)へ加入していた場合

男性が外で働く家庭は多いので、男性では婚姻中の全期間で厚生年金や共済年金に加入していることも多いですし、夫婦のどちらも会社員や公務員という共働きの家庭も増えています。

自分が婚姻中ずっと厚生年金(共済年金)に加入しており、相手が未加入なら、言うまでもなく年金分割で自分の年金が減ります。

また、お互いに婚姻中ずっと厚生年金(共済年金)に加入していたなら、加入期間は同じですから、その収入差で容易に判断できるはずです。

相手の加入期間と収入しだいではありますが、自分が婚姻中ずっと厚生年金(共済年金)に加入していた場合では、年金分割が不利に働く可能性が出てきます。

年金分割は離婚に必須の制度ではない

年金分割は、年金事務所や共済組合に対し、当事者が請求することで行われますが、離婚したからといって、年金分割しなければならないものではありません。

ですから、自分の年金が増えると確信がない限り、相手が年金分割を言い出すまで待ってみるのも手でしょう。

ただ、年金分割のための情報通知書は、婚姻中なら一方だけが取得できるの対し、離婚後は当事者の双方に送られる決まりです。

そのため、年金分割が自分に有利か確認する目的で、離婚後に年金分割のための情報通知書を取得すると、相手にもその結果を知られることになります。

万が一、自分が不利だった場合は、相手に有利だと知らせるようなものですから、情報通知書の取得は慎重に判断したいところです。

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