協議離婚無効確認調停では、協議離婚無効確認調停申立書以外にも、申立てに必要な書類があります。
必要書類は自分で用意する書類と、家庭裁判所に備え付けの書類がありますので、個別に説明していきます。
利害関係の証明が必要な第三者以外は、基本的に役所で入手する書類となりますが、書類の入手自体でつまづく場合もあるので、良く確認しておきましょう。
自分で用意する書類
- 申立人(自分)の戸籍謄本
- 相手方の戸籍謄本
- 離婚届の記載事項証明書
戸籍謄本の取得はそれなりに面倒
協議離婚無効確認調停では、自分や相手の現在の戸籍がどこにあるかわからないかもしれません。
それは、相手が勝手に出した離婚届では、婚姻中の戸籍から抜けた側が、どこへ異動したのかわからない可能性があるからです。
そのため、所在が確実な婚姻中の戸籍謄本を先に取得して、その身分事項欄を確認すると、異動した本籍が判明し、異動先の役所へ戸籍謄本を請求することが可能です。
無効でも離婚が成立していると、相手は他人となり自分は第三者の立場なので、場合によっては戸籍謄本の請求理由を説明しなくてはなりません。
その際は、協議離婚無効確認調停を申し立てるために、家庭裁判所に提出するとすれば問題ないでしょう。公的機関への提出は、正当事由に該当します。
自分が婚姻中の戸籍筆頭者だった場合
先に自分の戸籍謄本を手に入れます。相手の身分事項欄には、相手の異動先(元の戸籍に戻ったか新戸籍を編成した記載とその本籍)が記載されているので、その異動先(本籍地)の役所へ相手の戸籍謄本を請求します。
相手がさらに戸籍を異動させていれば、取得した戸籍謄本(または除籍謄本)に記載された異動先を辿ることで、いつかは現在の戸籍に辿りつきます。
相手が婚姻中の戸籍筆頭者だった場合
婚姻中の戸籍謄本を請求します。婚姻中の戸籍は、自分にとって旧戸籍なので、本人として問題なく戸籍を取得できます。
相手が離婚後に転籍や再婚をしていなければ、この時点で相手の現在の戸籍を取得したのと同じです。
もし、転籍や再婚で相手の戸籍が異動していると、婚姻中の戸籍には自分も相手もいないので除籍謄本を取得します。除籍謄本の相手の身分事項欄を確認し、記載のある異動先の役所へ相手の戸籍謄本を請求します。
さらに相手の戸籍が異動していても、取得した戸籍謄本(除籍謄本)から異動先を辿って、相手の現在の戸籍に辿りつくのは、自分が戸籍筆頭者の場合と同じです。
利害関係人からの申立ての場合
元夫婦以外の利害関係人が協議離婚無効確認調停を申し立てる場合は、元夫婦の戸籍謄本と離婚届の記載事項証明書以外にも、利害関係を証明する資料を必要とします。
利害関係人の多くは親族や債権者になるでしょうから、親族の場合は戸籍謄本等で親族関係にあること、債権者なら元夫婦の一方または双方と債権債務の関係にある契約書等を提示することになります。
なお、離婚届の記載事項証明書は、利害関係人からの請求も認められているので、協議離婚無効確認調停で必要とすることを伝えて取得します。
家庭裁判所に備え付けの書類
- 進行に関する照会回答書
- 連絡先等の届出書
- 非開示の希望に関する申出書(住所等を秘匿したい場合)
- 事情説明書(裁判所による)
進行に関する照会回答書
協議離婚無効確認調停を進めていく上で、円滑な進行ができるように相手方のことを記入して提出します。裁判所によっては、進行連絡メモという名称も使われています。
記入する内容は、相手方との話合いの状況、相手方の暴力の有無、調停希望日、配慮を希望することなどですが、進行に関する照会回答書は家庭裁判所が使う書類で、相手方には原則として開示されませんから、思った通りに書きましょう。
進行に関する照会回答書に書いた内容で、調停が不利に進むようなことはありません。
連絡先等の届出書
家庭裁判所から連絡する際に使用する連絡先を記入して提出します。連絡先がないと書類を送付するときに困りますし、連絡事項があったときに電話連絡が取れないと自分も困るので、確実に連絡がつく連絡先を記入します。
もし、相手方に住所等の連絡先を知られたくなければ、連絡先等の届出書に加えて、非開示の希望に関する申出書を提出します。
しかし、協議離婚を無効にして、改めて離婚調停をするようなケースを除くと、復縁を希望する相手に、連絡先も教えない事情はあまりないのかもしれません。
進行に関する照会回答書に連絡先の記入欄が含まれている場合は、連絡先等の届出書を別途用意していないこともあります。
なお、非開示の希望に関する申出書が一緒に提出された書類は、原則として相手方に開示しない扱いですが、絶対に開示されないとは断言できないので、本当に相手方に知られたくないなら、別の連絡先にすることも考慮するべきです。
非開示の希望に関する申出書
進行に関する照会回答書は原則的に開示されませんが、その他の書類については、非開示の希望に関する申出書を書類1枚につき1枚添付します。具体的には書類にステープラ(ホチキス)で綴じて一体とします。
非開示の希望に関する申出書が添付されないと、非開示の希望が無かったとみなされ、添付されても非開示の判断は裁判官しだいです。非開示を約束するものではないと予め承知しておきましょう。
事情説明書
協議離婚無効確認調停で事情説明書を使用している家庭裁判所は少なく、以前は金沢家庭裁判所で使用されていました(2021年3月に確認したところ協議離婚無効確認調停の手続案内そのものが無くなっていました)。
参考までに説明しておくと、金沢家庭裁判所が使っていた事情説明書では、離婚届を作成した人とその経緯、離婚の意思の有無など、協議離婚の無効について重要な事実を記入して提出するようになっています。
この内容は、調停でも調停委員に確認されますが、事前に伝えておくことに制限はありません。ですから、事情説明書を使用していない家庭裁判所への提出が不要な理由はなく、他の書類に加えておくと良いでしょう。
事情説明書に非開示の希望に関する申出書を添付すると、相手方には非開示にできます。しかしながら、事実を記入する上で非開示にするまでもなく不要と思われます。