調停制度は多くの人にとって大きな意味を持つ

日本の調停制度が、どれほど紛争解決に大きな役割を果たしているのか、調停制度がない場合を考えると良くわかります。

初めて調停を利用しようと考えている人や、今まで制度を知らなかった人でも、調停制度の意義を知れば、調停を前向きに考えられるかもしれません。

大正時代から続く調停制度は、訴訟制度で避けることのできない多くの短所を補う制度として、これまで有効に働いているからです。

では、調停制度の意義とは何でしょうか?

訴訟では法的な権利義務の争いが対象

調停が話合いの手続でも、不成立になれば審判や訴訟に発展することから、結局のところは裁判所の判断によって一定の解決を得ることになります。

しかし、訴訟は権利義務を争い(確認の訴えもありますが)、認定された事実関係から法律に照らし合わせた論理的な結論を、裁判官が判決で示すものです。

調停を行うことができる事件、特に家事事件においては、法律上の権利義務ではなく感情のもつれが紛争の原因になっていることが大半でしょう。

訴訟でも事件は終結を見せますが、そこに当事者の合意はないため、感情のわだかまりはどのようにしても消えることはありません。

調停は法的な要素がなくても対象

一方の調停は、双方の合意によって成立して終了するのであり、法律に照らし合わせた判断が難しい紛争であっても、解決の場を提供することができます。

つまり、訴訟が扱う事件・訴訟では扱わない事件も含めて調停が用意されていることで、広く一般人の紛争解決に資する結果となっているのです。

個人の日常では、法的なトラブルよりもささいな誤解から発展して争いを深めることが多く、裁判所での間接的な話合いは、当事者だけの話合いよりも争いを解決できる可能性が大きいのではないでしょうか。

判決は時に一刀両断で下される

訴えを提起する以上、当然ながら判決を受け入れなくてはならず、そして判決は法的な効力を持つことから、法秩序の維持を無視することはできません。

当事者の感情に配慮したとしても、判決においては必ず一方が勝訴し、もう一方が敗訴するのであって、ほとんどの場合どちらかに不服が生じます。

もちろん、判決に不服があれば上訴できるとはいえ、訴訟が「白黒決着付ける」目的で起こされるのは誰でも知っています。訴訟の当事者は、むしろ一刀両断的な裁判所の判断を求めて訴訟を起こしますよね。

調停はソフトランディング

調停では、適法性に問題がある又は客観的に見て極端に一方的な条件を除き、全く平等とは言えなくても、当事者同士が合意に達していれば、事件の解決を目的としている以上は合意内容が尊重されます。

いわゆる「落としどころ」を見つけて事件を解決するのが調停という選択であり、勝ち負けを決めるために行う訴訟とは、本来の目的が違うということです。

お互いに譲り合い、話し合うことによって解決するために存在しているので、一方だけの主張が取り入れられて進められることはありません。

もし、一方的な結果で調停が終わるのなら、それは公平な立場でも一方的にならざるを得ないほど、片方の主張に合理性がないということです。

そして、そのような一方的な調停ですら、合意しなければ不成立となるため、訴訟と違って不服なら合意しないか、条件を変えて交渉する方法が残されており、訴訟に比べると一刀両断的な終わり方は少ないといえます。

裁判所に決めてもらうのが訴訟なら、当事者で決めるのが調停です。

世の中の全てが善悪で割りきれないのは、生きていれば誰もが感じており、必要悪という言葉があるくらい善悪の区別は曖昧だからこそ、当事者で解決するソフトランディングな調停に意義があるのでしょう。

訴訟は当事者の負担が大きい

訴訟を起こすと、弁護士への依頼に関する金銭的な面だけではなく、時間的な拘束や社会的な負担を生み、次第に疲弊してしまいがちです。戦い続けることへの精神的負担は想像に難しくありません。

その上で、大変な労力をもってしても勝てる保証はないのですから、敗れればなおさらのことで、どうしても決着を付けたい場合しか選べないですよね。

調停には、訴訟の前段階としての位置付けを担う意味もあり、調停で解決すればそれで済む話ですし、解決しなければ訴訟へ進めばよいのです。調停は費用が安く、経済的に訴訟は無理でも調停ならできるでしょう。

また、調停は本人だけで十分行えますが、訴訟は代理人として弁護士が付いていないと、墓穴を掘る結果になってしまい、とても法律の素人向きではないです。

調停でも合意して成立すれば確定判決と同じ効力を持つのに、民間人の調停委員と穏やかに話せるので、調停のほうが圧倒的に一般人向きでしょう。

まとめ

このように、調停制度は法的な権利義務に限定された紛争だけではなく、生活レベルの紛争までも、当事者同士の自発的な意思による平和的な解決を目指します。

訴訟が日常的に行われる諸外国では、何でもかんでも訴訟に頼りますが、調停は話合いによる穏便な解決を好む、日本人の気質に合った制度です。

今まで裁判所というだけで調停を敬遠していたなら、一般人向きの調停がどのような制度なのか、このサイトで知って活用を考えてみてください。

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