離婚調停では離婚条件を一緒に申立てできる

離婚調停(夫婦関係調整調停)は、単に離婚するかしないかという争いだけではなく、離婚に関連する離婚条件の申立てを付随して行うことができます。

昭和の時代までは、離婚を隠しておきたい・恥ずかしいと考える人も多かったのですが、時代と共に意識が変わってきたのか、離婚調停は離婚自体よりも、離婚条件の争いが激しくなっている傾向にあるようです。

この点は、以前よりも男女平等の意識が高まったこと、女性の社会進出が少しずつ拡大する中で、夫の扶養に頼らなくても自活できる妻が、少しずつ増えてきたことも関係するのかもしれません。

付随申立ての内容は次の通りで、離婚条件がいくつも争点になることは、離婚調停が長期化する理由の1つにもなっています。

離婚調停の付随申立てで請求できる内容

それぞれの付随申立てについて詳しく知りたい場合には、単独の調停ページへリンクしているので参考にしてください。ただし、後述のとおり、単独の調停は離婚前に利用できず、離婚前は離婚調停を利用する運用です。

離婚したくても離婚できない理由は夫婦によって違いますが、離婚調停が離婚だけで申し立てられることは少なく、離婚に合意があっても離婚条件が合わなくて離婚できない場合、付随申立てで解決していくことになります。

付随申立ては離婚の成立が前提

離婚調停の付随申立てによる請求は、慰謝料を除いて別表第2事件なので、単独調停が不成立になると、自動的に審判に移行する争いです。

しかし、付随申立ての請求における単独調停は、不成立で審判に移行するのに対し、一般調停事件である離婚調停に付随して申し立てられた場合には、離婚調停が不成立でも単独で審判に移行することはありません。

離婚事件には審判が用意されておらず、調停不成立の場合には離婚訴訟を提起し、離婚調停の付随申立ては、離婚訴訟の附帯処分として裁判をされることで決着が付きます。

離婚調停が成立しないと、家庭裁判所の職権で調停に代わる審判がされることもありますが、調停に代わる審判は特殊な審判で、別表第2事件から移行する審判とは別です。

このときも離婚調停の付随申立てと同じで、離婚ありきの附帯処分は、離婚請求を認める判決がなければ裁判されません。

例外として、離婚訴訟中に協議離婚があった場合は、離婚の判決はされませんが、争いの残る附帯処分が裁判されます(人事訴訟法第36条)。

付随申立ては離婚前に単独で申し立てられない

前述のように離婚調停の付随申立ては、慰謝料以外が別表第2事件に分類され、単独で調停または審判の申立てが可能な事件です。

しかしながら、離婚前に単独での調停や審判は実務上申し立てられず、離婚調停に付随して申し立てることになります。

この扱いは、離婚には合意があって争いがなく、離婚条件で合意が得られず協議離婚に至らない(離婚届を出していない)夫婦でも同じです。

付随申立てが離婚前に単独調停できない理由

争いは同じなのに、離婚前だと離婚調停になるのはなぜでしょうか?

理由の1つは、離婚調停に付随して申し立てられる離婚条件が、決まらなければ離婚に合意できないほど重要である点です。

つまり、離婚と離婚条件は一体であり、離婚条件が合わなければ離婚の合意すら覆される可能性もあるので、離婚前は離婚と離婚条件を分離できません。

もう1つは、調停の成立や審判の確定によって、法的な効力が生じる点です。前提となる離婚が成立もしていないのに、「もし離婚したら」と仮定して、調停の成立や審判の確定を目指すのはナンセンスでしょう。

離婚が成立していれば離婚後に審判の申立て

離婚調停で離婚に合意があっても、付随申立てに争いが残っている場合、離婚と合意のある付随申立てを成立させ、離婚後に残りを解決することも可能です。

この場合、離婚調停の一部だけを成立させて終了することになりますが、調停の一部成立は可能になっています(家事事件手続法第268条第2項)。

親権者の指定については、原則として離婚と切り離せないことから、親権者の指定を残して離婚調停が成立することはありません。

例外的に、離婚調停後の審判で定めることに同意している場合は、親権者の指定なしで離婚調停が成立することもあり得ます。

そして、離婚調停を経由していると、既に調停で合意しなかった経緯があるため、基本的には調停に付されずに審判されます。

その一方で、協議離婚後に審判を申し立てても、審判の前に調停から始める可能性が高いでしょう。別表第2事件に調停前置主義はありませんが、家庭裁判所の職権で調停させることができるからです(家事事件手続法第274条第1項)。

しかし、審判の申立てを職権で調停にする場合は、当事者の意見を聴くと定められているので、調停をしても成果を見込めない事情があるなら、協議離婚後でも積極的に陳情して審判してもらうことはできるでしょう。

なお、慰謝料については訴訟事項なので、離婚調停で合意を得られないときは、審判ではなく訴訟で解決することになります。離婚調停を経ずに、協議離婚で慰謝料を請求するときは、慰謝料請求調停の申立てが可能です。

ただし、慰謝料請求調停が不成立のときも、審判手続は用意されていませんから、訴訟手続によって解決するしかありません。

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