離婚調停の目的をしっかり持って調停を進めよう

離婚調停の目的は、離婚したい側(離婚調停を申し立てる申立人)と、離婚したくない側(離婚調停を申し立てられた相手方)で正反対なのは当然ですが、離婚調停が終わるパターンというのは決まっています。

そのため、それぞれどのように離婚調停が終わることを目的としているのか、はっきりさせた上で調停に対応していくことが大切です。

また、調停は当事者の合意がなければ、何も進まずに終わってしまうこともあるので、調停後にどうするのか考えておかなければなりません。

調停委員は、合意形成に向けて努力してくれるとはいえ、決定権を持つのはあくまでも当事者である夫婦です。したがって、相手がどう出てくるのか考え、許容できる着地点を見据えながら、戦略的に離婚調停を利用するようにしましょう。

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離婚したい側:申立人

離婚調停で離婚するためには、調停の結果が次のいずれかです。

  • 目的1:調停を成立させ調停離婚する
  • 目的2:協議離婚届出の調停を成立させる
  • 目的3:調停が成立せず審判離婚する
  • 目的4:離婚に合意を得て調停取下げ後に協議離婚する

目的1:調停成立で調停離婚

離婚するために離婚調停を申し立てるのですから、調停を成立させて調停離婚するのが最も当たり前の目的ですよね。

調停離婚では、調停調書が作られた時点で離婚が成立するメリットがあります。成立した離婚調停に不服の申立てはできません。

合意があるからこそ調停が成立しているので、成立した調停に不服の申立ては予定されていないということです。

合意に重大な錯誤があると、成立した調停の無効を訴えることは可能ですが、調停の成立が宣言される前には、必ず合意内容の確認があるので、そのような重大な錯誤があるケースはまれだと思われます。

離婚調停成立後は、調停調書謄本(もしくは省略謄本)を交付してもらい、離婚届に添付して届け出ることで離婚手続は完了します。

目的2:協議離婚届出の調停を成立させる

離婚で合意しているのに、あえて調停離婚とせず、協議離婚の届出に合意した旨を調停調書に記載してもらうことも可能です。

調停調書があると、言ってみれば協議離婚の確約を得られたのと同じで、離婚についてはそれ以上争う余地がありません。また、協議離婚ですから、離婚届が役所に受理されて離婚成立です。

この方法は、意味のないことをしていると思うかもしれませんが、戸籍に調停離婚したことを残さないようにするため使われます。

もう少し詳しく書いた記事を用意したのでご覧ください。

参考:離婚調停を経由して協議離婚する方法もある

目的3:調停が成立せず審判離婚

離婚や離婚条件には大筋で合意しているのに、細かいところで合意できず、離婚調停が不成立になってしまうと、離婚訴訟を起こすしかなくなります。

どちらにとっても訴訟は負担が重く、できれば避けたいのは言うまでもありません。

そこで、調停に代わる審判という特殊な審判によって、審判離婚を目指すことも視野に入れておくべきでしょう。審判離婚は最初から狙ってするものではなく、調停離婚できそうなのに調停が成立しない状況で可能性が出てきます。

調停が詰めの段階に来たら、訴訟ではなく審判で決着したほうがお互いのためだということを、相手方に持ち掛けてはどうでしょうか。

調停に代わる審判は申立権がない

調停に代わる審判は、家庭裁判所の職権で行われる審判ですから、当事者に申立権がありません。審判を促すために、上申書を出しておくほうが良いと思われます。

また、相手方から異議申立てがあると、異議申立てが却下されない限り、調停に代わる審判は失効してしまいます。

あまり期待できる離婚方法ではないですが、離婚訴訟の前にやるだけやってみたいときは、調停に代わる審判を上申してみてください。

結果的に訴訟で争うとしても、その時点での裁判所の判断を知ることができるという点では、調停に代わる審判も無意味ではありません。

目的4:調停取下げ後に協議離婚

この選択にメリットがあるとは思えず、協議離婚を選ぶのであれば、協議離婚届出の調停を成立させておくべきです。

離婚調停を取り下げた後、相手方の気が変わって離婚できなくなったときは、調停調書もなくどうにもならないのがこの選択です。

その結果、再調停になったのでは、あまりにも時間を無駄にしますので、調停の取下げは良く考えてからにしましょう。

最初から離婚訴訟を見据えているとき

調停成立で離婚できたほうが、費用も労力も小さくて済むのですが、どう考えても相手方と合意しないとわかりきっている場合も考えられます。

そのような場合、調停の成立が目的ではなく、離婚訴訟の調停前置として離婚調停を申し立てているだけでしょう。

離婚調停を無意味に長引かせても、解決する余地はないのですから、一切妥協せず、調停委員にも訴訟を前提にしていると伝えて、調停は早く終わらせたいところです。

離婚したくない側:相手方

離婚したくない側が目的とするのは、離婚を認めずに離婚調停を不成立で終わらせるくらいしかありません。離婚調停を不成立にするには、出席して離婚を認めないまたは欠席のいずれかで、調停が不成立になると基本的には訴訟です。

ただし、離婚調停を欠席していても、調停に代わる審判がされる場合もあります。その際は、必ず2週間以内に異議を申し立てて失効させないと、審判は確定して離婚が成立します。

また、相手が訴訟を視野に入れた強い意思で離婚調停に臨んでいるのなら、調停を不成立にしても単に時間を引き延ばすためにしかなりません。

もっとも、調停を引き延ばすことで交渉の時間を多く持てますし、相手の心情の変化も考えられるため、全く無駄に終わるという訳でもないと思われます。

じらし戦法は有利なのか

離婚調停での争点は、離婚自体と離婚条件に分かれます。

離婚自体に合意しなければ、離婚条件を話し合う余地はなく、頑なに離婚を拒むのも1つの方法です。しかし、心の中では離婚が避けられないと思っているのなら、争点を離婚条件に移し、離婚条件で申立人が妥協するのを待つ選択もあります。

というのも、申立人は離婚したくて離婚調停を申し立てているので、離婚条件が離婚できない理由であれば、多少の譲歩も考えられますよね。

その一方で、離婚条件を有利にしたいあまり時間を引き延ばしても、調停不成立になって訴訟に進むかもしれませんし、特に夫婦が別居中で、自分が婚姻費用を分担する側なら要注意です。

婚姻費用は離婚するまで分担請求が続きますから、離婚調停を引き延ばすと、それだけ婚姻費用の負担が増して不経済になります。

別居中で離婚したい妻が、離婚調停と婚姻費用分担請求調停を並行して申し立てるパターンはとても多いです。

離婚したくない夫が婚姻費用の負担に耐えられず、離婚を認めざるを得ない事例もあることから、条件しだいで離婚も考えられるときは、引き延ばすことが有利になるとは限らないと思っておきましょう。

離婚と離婚条件は切り離して考えても良い

全ての争いが離婚調停で解決すればベストでも、実際の離婚調停はそれほど簡単ではなく、何も決まらず不成立で終わってしまうケースもあります。調停前は夫婦での話合いがつかないのに、調停だから急に話がまとまるものでもないからです。

申立人、相手方のどちらにも言えることですが、離婚調停の付随申立てとして争われる離婚条件は、必ずしも離婚調停で合意する必要はありません。

離婚条件は、未成年の子がいる場合の親権者指定を除き、全て離婚とは切り離して考えることができます。離婚後に単独の調停・審判申立てが可能です。

離婚条件にこだわりすぎて、離婚調停全体を不成立にしてしまうのではなく、離婚の合意を(未成年の子がいれば親権者の合意も)目指し、その他の離婚条件は合意せずに、離婚を(必要なら親権者の指定も)成立させることができます。

申立人の立場では離婚を最優先に考えるべきで、相手方の立場でも離婚はやむを得ないと判断して、離婚後に離婚条件を徹底的に争う選択もあるということです。

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初めての調停
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