離婚調停の不成立と離婚裁判

離婚調停が不成立になったとき、調停に代わる審判がされないか、調停に代わる審判に異議申立てがあったときは、離婚するために離婚裁判(離婚訴訟)を起こします。

離婚裁判は、離婚調停の不成立で自動的に始まることはなく、離婚を請求する側(当然に離婚調停を申し立てた側)が訴えを提起しなくてはなりません。離婚を請求する側を原告、離婚を請求された側を被告として訴訟手続が始まります。

離婚の訴えは、離婚調停を経由しなくても可能ですが、調停前置主義の対象事件であるため、特別な事情がなければ調停に付されることになり、離婚裁判のほとんどが離婚調停の不成立からの訴えになるでしょう。

ですから、離婚裁判では調停不成立証明書か調停不成立調書謄本の提出が求められます。これらは、調停をした家庭裁判所で交付してもらいます。

離婚裁判は多くの請求が可能

離婚調停では、離婚以外の付随申立てとして親権者の指定、面会交流、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割があるように、離婚裁判でも離婚以外の申立てができます。

まず、親権者の指定ですが、裁判上の離婚では裁判所が親権者を定めるため(民法第819条第2項)、離婚裁判であえて申し立てる必要はありません。しかし、通常は親権者の指定についても申し立てます。

その他、附帯処分として監護者の指定、面会交流、養育費などの子の監護に関する処分、財産分与、年金分割を申し立てることができます。これらの附帯処分を申し立てると、離婚裁判中に夫婦が協議離婚をして、離婚の裁判が必要がなくなっても、附帯処分に争いが残っていれば裁判されます(人事訴訟法第36条)。

また、離婚裁判で多い慰謝料請求は民事訴訟事項ですが、離婚請求の原因事実で生じた損害賠償請求として、離婚請求に併合できます(人事訴訟法第17条第1項)。その際、離婚原因が不貞な行為(浮気)なら、浮気相手への慰謝料請求も可能です。

財産分与の附帯処分申立てと分与義務者

離婚請求をする原告が、財産分与の分与義務者(財産を被告に与える側)であるときに、附帯処分として財産分与を含めることができるかどうかは争いがあります。

実務上の多数派は、分与義務者からの附帯処分申立てを認めない方向で、離婚裁判では財産分与が決まらず、離婚後に財産分与調停や審判を申し立てるしかありません。

そうなると、財産分与の判断がなく離婚の判決がされることで、被分与者の離婚後の生活保障が不十分になる危険を残します。そのため、分与義務者からの財産分与の附帯処分申立てを認め、離婚裁判で全て解決するべきとする意見もあります。

婚姻費用の分担請求だけは扱えない

婚姻費用の分担請求は、離婚調停の付随申立てに含まれず、個別に調停や審判の申立てをします。同じように離婚裁判でも、婚姻費用の分担請求は関連請求としては扱われず、別途調停や審判の申立てを必要とします。

離婚裁判には法定離婚事由が必要

離婚原因を必要としない離婚調停とは違い、離婚裁判には法定離婚事由として不貞な行為悪意の遺棄3年以上の生死不明強度の精神病婚姻を継続し難い重大な事由のいずれかを離婚請求の原因としなくてはなりません。

もっとも、婚姻を継続し難い重大な事由は抽象的なので、どのような離婚原因も婚姻を継続し難いとすることは一応可能ですから、明確な法定離婚事由がなければ、婚姻を継続し難い重大な事由を主張して争うことになります。

ただし、婚姻を継続し難い重大な事由は万能性がありながらも、明確な離婚原因になる他の理由とは異なり、離婚以外の請求に与える影響は大きいでしょう。

また、原告が主張していない離婚原因で、家庭裁判所が離婚を認める判決を出すことはできません。そのため、明確な離婚原因があれば主張し、さらに婚姻を継続し難い重大な事由も主張して、いずれかの理由で離婚が認められるように備えます。

このように複数の離婚原因を主張する理由にはもう1つあり、離婚裁判には再訴を禁じる規定があって、別な離婚原因で離婚裁判をやり直せないからです。

人事訴訟は判決が確定すると再訴できない

離婚裁判のような人事訴訟では、判決によって確定する重大な身分関係が、後から覆されないように再訴が禁じされています。

人事訴訟法 第二十五条

人事訴訟の判決(訴えを不適法として却下した判決を除く。次項において同じ。)が確定した後は、原告は、当該人事訴訟において請求又は請求の原因を変更することにより主張することができた事実に基づいて同一の身分関係についての人事に関する訴えを提起することができない。
2  人事訴訟の判決が確定した後は、被告は、当該人事訴訟において反訴を提起することにより主張することができた事実に基づいて同一の身分関係についての人事に関する訴えを提起することができない。

この規定により、離婚裁判ではその時点で生じている複数の離婚原因を、口頭弁論の終結までに主張する必要があります。裁判で主張していなかった離婚原因を理由として、もう一度裁判を起こすことができません。

判決確定後に再度離婚裁判をするためには、新たに発生した別な離婚原因を理由としなくてはならず、その可能性がどれだけあるか考えると、できる限りの離婚原因を主張して、最初の離婚裁判に臨むべきでしょう。

離婚裁判の大まかな流れ

離婚裁判は、離婚を請求する側が訴状を提出することから始まります。家庭裁判所に訴状が受理されると、訴状は被告となる相手方に送達され、相手方は訴えに対する答弁書を口頭弁論期日までに提出します。

訴状の提出と、反論のための答弁書が提出されると、口頭弁論期日に呼び出され、原告・被告が互いに主張をしていく流れです。口頭弁論が一度で終結することは考えられず、離婚裁判は1年以上に長期化するのが通常です。

また、主張の根拠となる証拠を提出しますので、家庭裁判所によって証拠調べが行われ、必要なら証人尋問をして事実を確認していきます。附帯処分の請求があるときは、職権で事実の調査も許されています(人事訴訟法第33条)。

その後、原告が訴えを取り下げない限り、認容判決、棄却判決、和解、請求の認諾のいずれかで離婚裁判は終わり、棄却判決以外で離婚することができます。

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