年金分割は審判なら自分の住所地でも可能?

年金分割調停は、相手方の住所地または相手方と合意した他の家庭裁判所に申し立てます。ところが、審判を申し立てる場合には、申立人の住所地、つまり自分の住所地でも申立て可能になっています。

また、年金分割の争いは別表第2事件に該当し、調停と審判のどちらも申立てが可能なので、制度上は自分の住所地で審判をいきなり申し立てることができてしまいます。

夫婦は離婚後に別居するのが通常なので、自分と相手の住所地が離れていることは多く、自分の住所地で審判を申し立てられるメリットは大きいでしょう。この点は制度をうまく利用したいところです。

審判は調停に付されることがある

審判から申し立てられる別表第2事件でも、家庭裁判所の職権で調停に付す(調停から始めさせる)ことができるため、必ずしも審判から始まりません。では、審判を申し立てて調停に付されたとき、管轄の家庭裁判所はどこになるのでしょうか?

この点については、管轄権を有する家庭裁判所と決められている(家事事件手続法第274条第2項、ただし書きで例外はある)ので、調停の申立先である相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で行われます。

その一方で、調停に付するときは、自ら家事調停事件を処理すること(自庁処理)も可能とされており(家事事件手続法第274条第3項)、調停を自分の住所地で行いたいときは、審判を申し立てた家庭裁判所に自庁処理を求める上申は可能です。

自分には相手方の住所地が遠隔地でも、相手方にとっては自分の住所地が遠隔地ですから、なぜ自庁処理を求めるのか合理的な理由が必要です。例えば、相手方の住所地まで出向く資力(交通費等)が無い、乳幼児を養育で不都合があるなどです。

逆に調停から審判になったときは

調停においては、申立人の住所地の家庭裁判所で自庁処理が行われなければ、相手方の住所地の家庭裁判所(もしくは当事者が合意した家庭裁判所)が管轄です。

調停で年金分割の按分割合に合意できず、不成立になって審判に移行した場合には、審判が申立人の住所地の家庭裁判所でも申し立てられる制度から、調停をした相手方の住所地と、審判の申立てが可能な申立人の住所地で、管轄が2つ存在することになります。

このように2つ以上の家庭裁判所が管轄権を持つ場合、優先管轄という規定(家事事件手続法第5条)があり、先に申し立てられた、もしくは手続を開始した家庭裁判所が優先されるようになっています。

つまり、調停が行われた相手方の住所地の家庭裁判所が管轄権を持ちますので、申立人の住所地の家庭裁判所は管轄外と同様の扱いを受けます。

したがって、家事事件手続法第9条第2項第1号の規定により、「家事事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるとき」に限っては、管轄権を有しないこととされた申立人の住所地の家庭裁判所へ移送されます。

ただし、この規定による管轄外への移送は職権なので、調停の申立人が申立て行われるものではなく、どうしても申立人の住所地で審判を行いたいときは、移送上申書によって申し出るしか方法がありません。

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