年金分割したらすぐもらえる?

年金分割という制度は、夫婦の一方または双方が婚姻期間中に納めた、厚生年金や共済年金の「年金記録(標準報酬総額)」を分割するだけで、年金分割をしてもすぐに金銭は受け取ることができません。

年金分割があってもなくても、年金を受給するには、65歳に達することと、25年(年金機能強化法の施行後は任意加入被保険者期間を含む10年)の納付期間が必要です。

そのため、年金分割しても年齢や納付期間による受給資格が無ければ、分割した年金どころか自分で納付してきた年金についても受給できないということです。

年金分割は財産分与とは違う性質

離婚時には、財産分与や慰謝料など、金銭の授受を伴う交渉が行われます。しかし、年金分割においては、年金が将来における所得保障制度ということもあって、離婚時に金銭で清算するのではなく、将来受け取るべき年金を分割します。

より正確に言うなら、年金額が計算されるときに使われる標準報酬額を分割するので、手続上においても金銭の授受は全く発生しません。したがって、金銭を支払う義務(債務)や受け取る権利(債権)とは性質がまるで異なります。

たとえ相手が離婚時に年金を受給していたとしても、相手の年金から自分が受け取る(または相手に支払う)のではなく、自分が年金を受給できる年齢になって、ようやく年金分割前よりも増減された年金額が支給されるのです。

この点は誤解が多く、ついつい年金分割を財産分与と同じように考えてしまいがちなので、年金分割を正しく理解しましょう。

年金分割は将来にしか効力がない

年金の受給年齢前に離婚をすると、受給年齢に達してから年金分割の効果(年金額が増減)が現れるのは説明したとおりです。では、既に年金を受給している年齢で離婚した場合はどのようになるのでしょうか?

年金分割が行われた時点で年金を既に受給していると、翌月以降の年金額に年金分割の結果が反映されます。つまり、年金を多く受け取っている側は減り、少なく受け取っている側は増えます。

しかし、あくまでも将来に向かってしか反映されず、過去に受け取ってきた年金は分割の対象になりません。そもそも離婚前に受給した年金は、夫婦の収入として同じ家計で生活費等に使われるのであって、夫婦の年金格差は現役世代夫婦の収入格差と同じで、家計が一緒なら不当ではありません。

すぐもらえなくても年金分割するべき

年金分割をしたからといって、将来受け取る年金額がどのくらい変わるのかは、人によって全く違います。なぜなら、年金分割の対象になる厚生年金や共済年金が、比例報酬(上限あり)になっているため、婚姻中の収入にも影響されるからです。

場合によっては争ってまで年金分割をしても、ほとんど年金が増えないケースも出てきますし、高収入の配偶者が相手なら大幅に増える(比例報酬の上限の半分が増える)可能性もあるでしょう。

しかし、年金というのは受給資格を満たしたら亡くなるまでもらえるのですから、小さい金額でも増えていれば、年々積み上げていくことで無視できない金額になります。

しかも年金記録上の分割なので、離婚後の相手の状況(再婚・死亡等)には何の影響を受けず、分割後はあくまでも自分の年金記録として存在します。

年金分割は公的に認められた請求権ですし、すぐにもらえなくても、老後の生活基盤を少しでも確かにしたいのなら、離婚時に争ってでも年金分割するべきです。

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