離婚で年金分割しないとどうなる?知らなかったら?

最終更新日:2023/3/3

離婚後に年金分割するかどうかは請求者の自由です。法律上、必ず年金分割しなければならない規定はありません。

年金分割をしない場合、夫婦それぞれが婚姻中に納付した年金保険料にしたがって年金額が計算され、受給年齢に達するとそれぞれ年金を受給するだけの話です。

しかし、年金分割をしないことで、夫婦の一方は増えるはずだった年金が増えず、他方は減るはずだった年金が減らないのですから、年金の増える側が年金分割をしない選択は少ないでしょう。

重要なのは、年金分割に離婚(正確には離婚成立日の翌日)から2年間の請求期限がある点です(2年を経過する前に年金分割調停や審判の申立てがあると特例があります)。

そして、年金分割を知らなかった場合でも、離婚から2年間の請求期限は変わりません

ですから、まだ離婚から2年を経過していないのであれば、

  • ①自分は年金分割できるのか
  • ②年金分割できるとしたら自分の年金は増えるのか(重要!)
  • ③年金分割の手続きはどうやってするのか

こうした内容を確認しなければなりません。

そのためには、年金制度自体を理解しないと何も判断できないので、当サイトでも多くの記事を用意していますが、それでも年金制度と年金分割は難しいです。

とはいえ、年金分割には将来の生活がかかっています。頑張って覚えるようにしましょう。

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年金制度には2種類ある

公的な年金制度には、国民年金と厚生年金の2種類あります。以前まで、公務員等(公務員と私立学校教職員)が加入していた共済年金は、平成27年10月1日から厚生年金に一元化されました。

国民年金
20歳から59歳までの全ての国民に加入義務があります。保険料は所得に関係なく一律です。

厚生年金
厚生年金の適用事業者で働く人が加入しています。一般企業のサラリーマンや公務員等の他、一部のパート・アルバイトも厚生年金に加入している場合があります。保険料は所得に応じて高くなり、事業主と折半して負担します。

国民年金は全員加入ですから、厚生年金の保険料には国民年金の保険料が含まれており(正確には少し違いますが)、厚生年金に加入していると国民年金にも加入しています。

したがって、国民年金だけに加入している人と厚生年金に加入している人では、納めた保険料に差が生じて受け取る年金額が変わるのです。

ここを理解しないと年金分割を理解できないので、しっかり押さえておいてください。

年金分割の基本的な考え方

婚姻中の夫婦には協力扶助義務があり、どちらが生活費を稼いでも、夫婦の家計で使われていきます。また、夫婦が婚姻中に築いた財産は、財産分与で基本的に2分の1で分けられます。

つまり、極端に貢献度の異なる収入がない限り、婚姻中に夫婦で得られた収入は、生活費で使われようと蓄財されようと、夫婦の共有として扱うのが離婚時の原則です。

同じように、夫婦の収入から支払われた年金保険料も、夫婦が共同で納めたものと扱い、婚姻中に夫婦が納めた年金保険料を、離婚時に分けようとするのが年金分割になります。

もちろん、婚姻中に納めた年金保険料そのものを取り戻すことはできないので、年金分割では年金保険料の納付実績を分けます。その結果、年金額が変わります。

実際は、給与に応じて決められる標準報酬月額と、賞与に応じて決められる標準賞与額が記録されており、年金分割ではこれらの総額を夫婦で分けるのですが、細かいことは気にせず「給与収入の多かった側」から「給与収入の少なかった側」に分割されると考えてください。

年金分割の対象は厚生年金

全員加入の国民年金は、夫婦間に差がないので年金分割の対象ではありません。

年金分割は、民間企業や公務員などとして勤めている人、いわゆるサラリーマンが加入する厚生年金の保険料納付実績に対してのみ行われます。

ここで確認しておきたいのは、夫婦それぞれが婚姻中にどのような働き方をしていたかです。

もし、自営業や社会保険のないパートなど、夫婦のどちらも厚生年金に加入した期間がないのであれば、分割対象となる厚生年金の納付実績がないので年金分割はできません。

また、年金分割の対象は婚姻期間中に限られます。婚姻前に加入していた厚生年金、離婚後に加入した厚生年金は対象外なので注意しましょう。

婚姻中の給与収入に差があったか確認しておこう

厚生年金は、保険料が給与によって変わりますので、厚生年金の加入者は、在職中の給与が高ければ高いほど(上限あり)、離婚までに納めてきた保険料が多くなります。

婚姻中に納付した保険料総額の多い側から、少ない側へ納付実績を移すのが年金分割ですから、婚姻中の給与収入を比較するだけでも、年金分割でどちらの年金が増えるか予想はできます。

  • 婚姻中に給与収入の多かった側 ⇒ 年金分割で年金が減ります
  • 婚姻中に給与収入の少なかった側 ⇒ 年金分割で年金が増えます

極端なケースとして、夫が会社員、妻が専業主婦(夫の扶養)の夫婦では、夫だけが厚生年金に加入していますので、年金分割の対象は夫の納付実績だけです(妻の年金が増える)。

しかし、夫婦のどちらも厚生年金の加入歴がある場合は、加入期間の給与収入合計で判断しなくてはならず、明らかな収入差がないとわからないケースも考えられるでしょう。

そのような場合、年金分割のための情報通知書を取り寄せることで、どちらの給与収入が多かったか(どちらに年金分割されるか)詳細を確認できるようになっています。

まとめ

  • 離婚で年金分割しないと年金が増える側は損をする
  • 年金分割の請求期限は離婚から2年間(知らなくても救済なし)
  • 年金分割では厚生年金の保険料納付実績を分ける
  • 婚姻中の給与が多かった側から少なかった側に納付実績が移る
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