年金分割調停の申立ては離婚後

年金分割調停は、正しくは「請求すべき按分割合に関する処分調停」といって、年金分割における按分割合(年金を分割する割合)を元夫婦で決められないときに申し立てる調停です。

ここで、「元夫婦」としていることに注意してください。年金分割調停は、離婚後の元夫婦が申し立てる調停であって、離婚前には離婚調停の付随申立てで話し合います。

年金分割調停は、審判から申し立てることもできる別表第2事件ですが、審判を申し立てても家庭裁判所の職権で調停から始める可能性もあります(家事事件手続法第274条第1項)。

年金分割調停は離婚後でも大丈夫?

年金分割調停が成立して年金記録(標準報酬総額)が分割されても、受給できるのは元夫婦それぞれが受給資格(年齢と保険料納付期間)を得てからです。

いわゆる熟年離婚ではなく受給年齢に達していない夫婦では、年金が直近の問題ではないために、年金分割を後回しにして離婚してしまうこともあるでしょう。もちろん年金分割制度を知らずに、離婚後になって争い出すケースもあります。

また、財産分与、養育費、慰謝料といった、金銭・財物の授受が欠かせない他の離婚条件と異なり、年金分割は納付済みの年金記録に対して行われるため、すぐに当事者の負担が生じないのもその理由です。

こうした傾向は、離婚問題の先延ばしとも言えますが、離婚後に年金分割を話し合うことに制限はありません。ただし、請求には期限(時効)があることを知らないと、せっかく増やせる年金を、みすみす逃してしまうので注意しましょう。

年金分割の請求期限は離婚から2年

離婚前なら、離婚を前提にいつでも年金分割を話し合えますが、年金分割請求の手続(年金事務所や共済組合への標準報酬改定請求)は、離婚後2年間に限られています。ですから、離婚から2年までに話し合いを終えて請求手続をしなくてはなりません。

離婚から2年たつと、請求手続ができなくなることから、年金分割のために調停や審判も申し立てることもできなくなります。2年の期限は、年金分割をしたい側に短く、年金分割をしたくない側に長い期間かもしれませんね。

離婚後の夫婦は頻繁に連絡を取れず、年金分割を話し合う機会があれば良い方で、連絡すらまともに取れないケースも多いでしょう。つまり、相手が離婚から2年間話し合いに応じなければ打つ手がないように思えますが、そのような場合でも例外的に請求が認められる場合もあります。

離婚から2年を超える請求の例外

原則として離婚から2年の請求期限を超えても、請求期限前に年金分割調停や審判を申し立てれば、2年を超えて請求が認められます。

したがって、相手が按分割合の交渉に応じなければ、離婚から2年以内に年金分割調停や審判を申し立てれば良く、調停成立や審判確定から1ヶ月は、離婚から2年を過ぎていても請求権が保証されます(調停成立や審判確定から1ヶ月よりも本来の請求期限が後なら、当然に請求期限までの間は請求可能です)。

調停の不成立が心配になるかもしれませんが、年金分割調停では、調停が不成立になっても自動的に審判に移行しますし、請求期限前に申し立てることが要件なので、話し合いが紛糾しても最終的には審判で按分割合が定められます。

なお、3号分割には請求期限がないとする情報も見かけますが、厚生年金保険法施行規則第78条の17第1項第2号により、3号分割の請求期限も離婚から2年です。

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