合意分割の期間に3号分割が含まれるときは?

婚姻中の夫婦の働き方はそれぞれなので、合意分割の対象になる厚生年金や共済年金の年金記録(標準報酬額)は、必ずしも連続していません。そして、3号分割の対象になる第3号被保険者になっていた期間も、婚姻期間の一部だけということもあります。

例えば、結婚当初は収入が少なく夫婦が共に会社員で、出産を機に退職した妻が第3号被保険者として育児を行い、子供が大きくなって再び会社員に戻れば、妻は第2号被保険者→第3号被保険者→第2号被保険者となって、厚生年金の納付記録は分断され、間に第3号被保険者の期間ができます。

また、そもそも3号分割が可能な期間は、平成20年4月1日以降に限られているため、平成20年4月1日より前に第3号被保険者だった期間は合意分割になります。3号分割できる期間が第3号被保険者だったのは確かですが、第3号被保険者だった期間が3号分割できる期間ではないことに十分注意してください。

  • 平成20年3月31日までの第3号被保険者期間:合意分割
  • 平成20年4月1日からの第3号被保険者期間:3号分割

このように、婚姻期間中に3号分割の期間が一部存在している場合は、どのように年金分割されるのでしょうか?

3号分割は合意分割の前に行われる

年金分割の請求(標準報酬の改定請求)を年金事務所や共済組合に行うとき、3号分割の請求が無くても、合意分割の請求があれば3号分割の請求があったとみなされます。

3号分割の期間しか無いとき

婚姻期間中の全てが3号分割の対象期間なら、そもそも合意分割する必要はありません。第2号被保険者(扶養している側)の年金記録は、第3号被保険者(扶養されていた側)と折半されます。

3号分割の期間が無いとき

婚姻期間中に一度も第3号被保険者になっていなければ、婚姻期間の全体を請求のあった按分割合で分割するだけです。

3号分割の期間が一部であるとき

3号分割の期間が一部ということは、合意分割できる期間と3号分割できる期間が混在しています。この場合は、先に3号分割を行った結果に対し、請求のあった按分割合になるように、全期間でさらに調整されます。

3号分割が含まれていても結果は同じ

3号分割が一部含まれていても、3号分割を先にしてから合意分割するので、結局は合意分割で請求した按分割合に落ち着きます。3号分割の結果、夫婦それぞれの標準報酬総額が考えている結果と異なっても、合意分割してしまえば同じ結果です。

少しわかりにくいので、合意分割の按分割合を45%として例で計算してみましょう。婚姻期間を10年、夫の標準報酬総額は5,000万円、妻の標準報酬総額は3,000万円、夫婦の合計標準報酬総額は8,000万円とします。

3号分割が含まれていない場合

合意分割前の割合は、夫が5,000万円÷8,000万円=62.5%、妻は3,000万円÷8,000万円=37.5%です。

年金分割のための情報通知書を請求すると、第1号改定者(標準報酬総額の多い側)は夫に、第2号改定者(標準報酬総額の少ない側)は妻になり、按分割合の範囲は「37.5%を超え50%以下」と記載されています。

請求のある按分割合は45%(妻の割合)なので、夫の標準報酬総額は55%に相当する4,400万円になるのが正解です。分割前は5,000万円なので差額は600万円です。そこで、夫の標準報酬総額から600万円を妻に移します。

実際の標準報酬額は、月単位で記録されており、600万円÷5,000万円=12%を求め、各月の標準報酬額×12%を妻に移します。この12%を「改定率」と呼びます。

合意分割の結果、夫の標準報酬総額は4,400万円(55%)、妻の標準報酬総額は3,600万円(45%)になって請求した按分割合と同じです。

3号分割が含まれる場合

離婚前の最後の1年は、妻が第3号被保険者だったと仮定し、その間の夫の標準報酬額を500万円とします。夫の標準報酬総額は9年間4,500万円+1年間500万円=5,000万円、妻の標準報酬総額は9年間3,000万円+1年間0円=3,000万円です。

合意分割前における見かけ上の割合は、夫が5,000万円÷8,000万円=62.5%、妻は3,000万円÷8,000万円=37.5%で変わりませんが、3号分割期間が含まれる合意分割では、先に3号分割をするので、離婚前の1年間に夫が持つ500万円の標準報酬額は、半分が妻に移されます。

その結果、実質的には夫が4,500万円+500万円÷2=4,750万円(59.375%)、妻は3,000万円+250万円=3,250万円(40.625%)になります。

年金分割のための情報通知書では、第1号改定者は夫、第2号改定者は妻、按分割合の範囲は「40.625%を超え50%以下」と記載されています。

按分割合は45%なので、夫が55%になるためには、4,750万円から350万円を妻に移します。その結果、夫の標準報酬総額は4,400万円(55%)、妻の標準報酬総額は3,600万円(45%)になって、3号分割が含まれない場合と同じです。

合意分割の前には必ず情報通知書で確認

3号分割の期間が含まれているとき、年金分割のための情報通知書には3号分割をした結果を仮定して、第1号改定者と第2号改定者、按分割合の範囲が記載されています。

この点は、実質的にどちらの年金の方が多くなるのか確認する上で非常に重要です。標準報酬総額の計算は複雑ですし、ましてや3号分割を踏まえた結果、どちらの年金額が多くなるのかまで正確に知るのは困難だからです。

唯一、按分割合を50%にする合意分割だけは、自分が多い側でも少ない側でも50%で年金分割されるため、事前に考えなくても済みます。しかし、自分が少ないときだけ年金分割したいのなら、年金分割のための情報通知書で確認することは必須でしょう。

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