年金分割の割合は原則50%で考えられている

年金分割の合意分割においては、年金分割のための情報通知書によって得られる、按分割合(分割割合)の下限から上限(50%)までの間で、当事者の合意により自由に決めることが可能です。

しかしながら、協議が整わず家庭裁判所で調停、審判、判決によって決められる場合、ほとんどの事例で按分割合は上限の50%(0.5)になります。事案によっては50%にならないこともありますが、家庭裁判所の基本的な運用は50%です。

年金分割と財産分与は根本的に異なる扱い

離婚した当事者にとっては、離婚原因への有責性が離婚条件の決定に大きな比重を占めます。財産分与においては、以前まで女性(特に専業主婦)に対する割合は低いものでしたが、時代の流れによって徐々に均衡が進み、現在では基本的に相互に50%です。

ただし、財産形成に対する夫婦の貢献度が著しく乖離していれば、財産形成への寄与分を認め、夫婦が不平等になることは良くあります。元々財産分与は、当事者の協議で自由に分与割合を変えられるものですし、夫婦の一切の事情を考慮して行われますから、不平等に分与することには法的な制限はありません。

また、扶養的財産分与や慰謝料的財産分与の存在が認められているように、離婚後の所得保障や離婚の有責性への賠償といった用途で、50%を超えた財産分与をしても、贈与にみられるほど過度でなければ何も問題は起こりません。

年金分割は清算的性質が高い

ところが年金分割では、そもそもの性質が財産分与とは異なり、社会保障的性質・機能だということもあって、特段の事情が無ければ按分割合を0.5(50%)とされます。

法律上も、それぞれの納付実績による按分割合を下限とし、上限の50%までの範囲に制限されています。50%を超えて年金分割をすることは、社会保障制度に基づく年金を奪ってしまうので許されないのです。

離婚に有責性があったとしても、賠償するとしたら対象は慰謝料や財産分与で行われるのが相当であり、按分割合を同等としない事情にはあたらないとされています。

また、夫婦に別居期間があった事例でも、別居中の夫婦が一方または双方の収入で生活費を分担する義務があるように、老後の所得保障も夫婦で形成されるべきという判断から、按分割合は50%で判決が出されました。

つまり、年金保険料の納付実績(標準報酬総額)も、夫婦で形成されたと考え、離婚時に年金分割でその清算をするようなものであり、基本的には夫婦が平等であるべきとして、年金分割は50%に裁定されることが多くなっています。

年金分割調停は審判になりやすい

言うまでもなく、年金分割調停を申し立てるのは厚生年金や共済年金の納付実績が少なく、将来受給できる年金が少ない側なので、その要求は上限の50%が多くなります。

そして前述の通り、家庭裁判所は年金分割について原則50%での運用をしていることから、申立人に重大な非が無ければ、50%になるように話し合いを進めます。

これは、ある意味で申立人の後ろ盾として調停が存在するように思えますが、年金という社会保障制度を考えれば、按分割合を同等とすることは仕方が無いでしょう。

年金分割調停では、争点がはっきりしており、その範囲も年金分割のための情報通知書から明確です。離婚調停に付随して申し立てられていれば、他の条件での調整もあり得ますが、単独の申立てでは譲歩の余地がそれほどありません。

よって簡単には合意形成に至らず、調停が不成立となって審判に移行し、審判で50%の按分割合とされる可能性が高くなります。もっとも、調停の段階で調停委員から年金分割は50%が原則と聞かされて、渋々納得して調停成立も当然あるでしょう。

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