年金分割できるかどうか確認する

年金分割の按分割合(分割割合)を決めるための夫婦の協議は、将来における年金額を、多い方から少ない方に分け与えるのと同じ効果なので、しばしば争いになります。

しかし、元々争う必要が無いのに争っているケースも考えられ、協議する以前に、年金分割制度に対する理解度が低いという現状もあるからです。年金分割は全ての夫婦が可能な制度ではないですし、3号分割のように協議が不要な制度もあります。

年金分割の協議を始める以前に、年金分割ができるのかどうか、協議が必要か(合意分割の対象か)どうかを確認してから話し合いを始めましょう。

1.婚姻中の夫婦の働き方を再確認

年金分割するためには、不可欠な大前提となる条件があります。それは、「婚姻中に夫婦のどちらかが厚生年金または共済年金に加入していた」という条件です。

  • 婚姻中に夫婦のどちらかが会社員
  • 婚姻中に夫婦のどちらかが公務員等

いずれかの状態なら、厚生年金または共済年金に加入している可能性は非常に高いのですが、会社員の場合は社会保険に未加入の事業者はたくさんあり、会社員なら必ず厚生年金に加入しているとは限りません。

特に、肉体労働の業種(建設業など)や、小規模な事業者にその傾向が見られますので、厚生年金への加入は勤務先に確認、もしくは給与明細等で確認が必要です。

公務員等となっているのは、共済組合がある勤務先には、公務員の他にも私立学校の教職員や農林漁業の団体職員などを含むからです。こちらについては、共済組合があるので、共済年金に加入していると考えて問題ありません。

なお、年金記録については、日本年金機構が照会サービス「ねんきんネット」を提供しているので、利用者登録をして一度確認することをおススメします。

ねんきんネット
※別ウィンドウまたは別タブで開きます。

2.合意分割か3号分割か確認する

3号分割が可能なのは、夫婦の一方が厚生年金または共済年金に加入しており、もう一方が扶養されていた期間のうち、平成20年4月1日以降の期間です。

3号分割が可能な期間に限って言えば、夫婦で年金分割を協議する必要はなく、扶養されていた側(第3号被保険者)から年金分割できます。3号分割をしても自分の年金が少なく、他にも夫婦で厚生年金または共済年金の納付実績があるなら、合意分割を検討すると良いでしょう。

しかし、それでは3号分割と合意分割で二度手間になるため、年金分割のための情報通知書を取得すれば、3号分割をしたと仮定した結果を確認できます。

つまり、年金分割のための情報通知書には、婚姻期間中の夫婦の年金記録を、3号分割を踏まえた合意分割を前提として、夫婦のどちらの年金記録(標準報酬総額)が多いか確認できる利便性があるので、合意分割が必要か判断するには最適です。

また、年金分割のための情報通知書は、離婚前なら夫婦の一方だけが取得できるので、年金を調べていることが相手に知られないのもメリットです。

夫婦で年金分割を協議する前に

離婚前の夫婦は、何事も冷静な話し合いが難しく、年金分割の按分割合を協議できずに、年金分割調停に持ち込まれることも少なくありません。

ところが、そもそも年金分割の対象にならない国民年金を分割しようとしていたり、3号分割なのに協議しようとしていたりと、ただでさえ争いが多い離婚時に、余計な争いの火種を増やしている可能性も多くあります。

年金分割の協議を持ちかけるとしたら、ほとんどは年金額の少ない側でしょうから、自分が少ない側で、なおかつ合意分割が必要な場合だけ協議すれば良く、もし自分が多い側なら、年金分割を相手に知らせないのも1つの戦略でしょう。

年金分割は離婚で自動的に行われず、離婚から2年の請求時効があるので、知らないで2年を迎えれば自分の年金を減らさないで済むからです。

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