離婚届を勝手に出されそうなときの対策を3つ

離婚届が真正でも偽造でも、離婚届が提出されて受理されたときは、戸籍上で離婚が成立します。ですから、離婚の意思が無いときは、すぐにでも手を打たなくてはなりません。

ぐずぐずしていると離婚届を出されてしまい、一旦成立した離婚は、協議離婚無効確認調停を申し立てるしか離婚を無効にできなくなります。

方法としては3つありますが、どれであっても相手が離婚届を出す前が期限です。また、全てに共通するのは、自分に離婚意思が無いことを、何らかの形で表明する(残す)点で、公的な方法と私的な方法に分かれます。

なお、裁判離婚(調停、審判、判決、和解、請求の認諾)の離婚届は、離婚届で離婚が成立するのではなく、家庭裁判所手続で離婚が成立していますから、離婚届を阻止する方法はないですし、阻止する意味もありません。

以降、このページにおける離婚届とは、協議離婚届のことです。

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1.本籍地の役所に離婚届の不受理申出をする

離婚届の不受理申出とは、申出をした本人以外からの離婚届を、役所に受理させないための方法です。勝手に出される離婚届で離婚されてしまうのを阻止する最も確実な方法で、なおかつ簡単な方法です。

不受理申出では、役所に不受理申出書を出すのですが、郵送は原則的に許されない(方法はあるが余計に手間がかかる)ので、自らが役所に出向かなくてはなりません。

不受理申出に郵送が許されないのは、本人からの申出を絶対条件としているためです。

しかし、本籍地以外の役所でも申出はできますし、用意するのは本人確認書類と印鑑だけなので、できるだけ早く不受理申出をしましょう。

以前まで不受理申出の有効期間は6ヶ月でしたが、現在は無期限になり、不受理申出の取下書を提出するまで生涯有効です。そして、離婚届の受理を阻止する方法は、不受理申出以外にありません

不受理申出と離婚届の提出は、受理までのスピード勝負です。

離婚届の提出に遅れないよう、勝手に離婚届を出されてしまう危険を感じたときは当然のこと、今は大丈夫と思っていても、予防的措置として不受理申出をしておくのが無難です。

不受理申出という便利な制度があるのに、不受理申出以外の方法を使う必要はあるのでしょうか?

郵送が原則として許されない不受理申出は、役所の時間外も基本的に受け付けていないので、平日の昼間に時間のある人しか申出できない欠点があります。

不受理申出がどうしてもできない場合は、代替策として以下を検討してください。

2.内容証明郵便で離婚しないと通知する

離婚届を出される前に、相手に離婚の意思が無いことを伝えるだけで、協議離婚は無効になります。その理由は、協議離婚が離婚届の提出時に夫婦双方の離婚意思を必要とするためです。

たとえ、離婚意思があって離婚届を書いても、その離婚届が出される時点で離婚意思がなければ、離婚が成立しても無効です。これはあまり知られていないかもしれませんね。

例えば、夫婦喧嘩の際に「もう一度何かあったら離婚」と約束して、誓約書代わりの離婚届を書き、タンスにしまっておいたとしましょう。

いざ、その離婚届を出すときになって、夫婦の一方が離婚しないと言い出したら、本人が自署した離婚届でも「有効に」離婚を成立させることはできません。

しかし、相手に離婚しないと言っただけでは、後から言った言わないの争いになるのが目に見えているので、内容証明+配達証明(または本人限定受取)で離婚意思がない旨を郵送します。

内容証明は、文書内容の真偽(この場合は離婚意思がないこと)を証明するのではなく、その文書が差出人から宛先に対して送られたと証明するものなので、誤解しないようにしましょう。

一方の配達証明は、郵便物の配達を証明するものです。送った事実と配達された事実を証明してもらい、相手への確かな(離婚しない)意思表示を残すために使います。

ただし、差出人の住所を記載しなくてはならないので、内容証明郵便は相手に住所を知られたくないときは向きません。この点はうっかりしやすいので要注意です。

離婚意思がないと通知しても離婚を防ぐことはできない

内容証明郵便で離婚意思がないことを相手に通知しても、役所へ離婚届が出されると、離婚届は受理されて無効であるはずの離婚が成立してしまいます。

それでも、離婚意思がないと通知した文書を、内容証明で残しておくことで、届出時点での離婚意思が不存在という、協議離婚の成立要件を欠く証明が容易にできます。

協議離婚無効確認調停で争うのは、まさに離婚が無効かどうかなので、事前の内容証明で離婚意思がなかったのは明白ですから、調停では争いにもならないでしょう。

3.公証人に確定日付を付与してもらう

確定日付とは、公証役場で公証人に日付入りの印を押してもらい、文書が存在した日付を証明してもらうことです。

離婚の意思が無いと記した文書に、確定日付をもらっておけば、もし確定日付以降に離婚届が出されても、文書の存在が離婚の無効を訴える際の根拠となります。

ただ、確定日付を付与してもらっても、離婚の意思が無かったことの証明をしてもらうのではなく、離婚の意思がないと記された文書が、確定日付の日に存在した証明である点を誤解しないようにしましょう。

同じように思えますが、確定日付は文書の存在を証明するのであって、その文書内容の真偽は証明されません。

離婚意思がないことを単に文書で残しておくだけでは、その日付を偽装することは簡単ですから、確定日付をもらうことで文書の存在した日付が揺るがなくなるというわけです。

確定日付は代理人でも請求できる

確定日付を使う方法では、相手が離婚届を出してしまう可能性を認識しながら、離婚意思がないことを相手へ伝えないので、離婚は有効とされる(離婚を容認していたとみなされる)可能性があります。

しかし、相手の住所がわからない、電話に出てくれないなど、離婚意思がないことを伝えられない事情があるときは、確定日付を使う余地が出てきます。

協議離婚無効確認調停・訴訟で、離婚意思の欠如を主張するには、何らかの証拠を用意しておくことが大切です。確定日付はその証拠になるでしょう。

なお、公証役場も土日祝日は開いていないので、確定日付を利用するくらいなら、不受理申出をする方が費用もかからず簡単で確実です。

ただし、確定日付は文書が存在した日付を証明するに過ぎないので、本人からの申出を条件とする不受理申出と異なり、代理人でも使者でも請求可能な点で異なります。

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初めての調停
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