家事調停委員会

家庭裁判所で組織され、家事事件の調停を運営するのが家事調停委員会です。裁判官と2人以上の家事調停委員から構成された家事調停委員会は、必要であれば評議を行った上で調停の方針を決定し、紛争解決への糸口を模索します。

家庭裁判所ならびに家事調停委員会が担う役割は大きく、家庭内・親族内トラブルは訴訟に馴染まない争いも含まれますが、当事者にとってはその後の人生に大きく影響を与える争いもあり決して軽視できません。

家事調停委員会はどのような機能を持っているのか整理します。

家事調停委員会が担う2つの機能

家事事件が民事事件と大きく違うのは、当事者間の人間関係が事件の主因になっている背景、つまり感情トラブルが根本にある点です。

よって、家事事件の多くは法的な判断だけを求めるのではなく、当事者で解決できない、感情のもつれを原因としたトラブルの解決までも求められています。

このような事件を処理していく家事調停委員会は、法的判断を示す(調停なので当事者に法的なアドバイスをする)機能に加え、事件関係者の人間関係の修復、ひいては人生を導いていくに等しい機能も担っているのです。

家事調停委員会の司法的機能

家事調停委員会の司法的機能については説明するまでもなく、調停前置主義により、訴訟の前手続としても利用されますし、法的知識に欠ける当事者には、事件解決に向けた法的アドバイスをすることでも明らかでしょう。

調停が成立すると、調停調書が確定判決(別表第2事件は確定審判)と同一の効力を持って終局するのも、調停が訴訟の補完手続ではない事を表しています。

また、民法では家庭や親族の問題において、当事者間の協議で解決できない場合に、家庭裁判所が定めるとした規定が数多くあります(例えば民法第766条、離婚後の子の監護に必要な事項)。

家庭裁判所は、法律で家事事件の解決を委任されており、実務上、家事事件の多くは調停を経て解決されますから、調停を行う家事調停委員会は、司法的機能を有していると考えられています。

調停はあくまでも当事者の合意形成を目指す手続ですが、家事調停委員会に司法的機能がなければ、法律の枠を飛び越えた合意まで許してしまうことになり、そのような合意が到底許されるはずもありません。

家事調停委員会の後見的機能

家事事件で真の解決を図るには、法的判断だけではなく、事件の当事者の感情面に配慮し、合意の上で調停を成立させる必要があります。

しかし、感情の対立が激しく、どうしようもない状態で持ち込まれる事も多い家事事件では、当事者が納得する解決案も、なかなか出てこないのが普通でしょう。

それでも事件の当事者が、家庭裁判所を解決の拠りどころとしている以上、家事調停委員会は可能な限り当事者の期待に応えなくてはなりません。

事件関係者の権利・義務や福祉に配慮し、後見的な立場から問題解決のための選択肢を提供する役割も果たします。

家事調停委員会が、解決案を押し付けるのではなく、当事者に解決の道を示し選択させるのも、事件終了後の良好な人間関係を目指す後見的機能なのです。

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