調停委員の存在は当事者にとっても大切

調停委員による調停に不満がある人は多く、いくら言ってもわかってもらえない、不平等だ、個人的に好かないなどの声が聞かれます。もっとも、調停のように最初からトラブル状態で行う場では、イライラした気持ちが助長されやすいのも確かでしょう。

ところで、一般に「お役所仕事」などと、公務員の仕事が悪い意味で使われることがあります。融通が効かず、規則に決められたこと以外は全く受け付けない、こちらが急いでいてもマイペースで進める仕事にイライラした場合などに用いられます。

これは、公務員が行う公務が、公共性から業務を公平に行わなければならず、公務は規則に縛られるので融通が効かないのはやむを得ません。しかし、調停委員は非常勤の裁判所職員で、国家公務員扱いを受けても、調停に柔軟性を与える存在です。

調停が裁判官主体なら?

調停において、主体になって進めるのが調停委員ではなく、裁判官だとしたらどうでしょう。裁判官も1人の人間ですし、生活があるので調停委員と同じように調停ができると思うでしょうか。

法律でも裁判官だけの調停が認められていますが、裁判官は法に照らし合わせた判断をするのが職務です。裁判官がイエスと言えば、それは適法だと捉えられ、ノーと言えば違法だと捉えられる存在です。

調停で争うトラブルは、法的な判断だけを必要とするのではなく、結果がその後の当事者の人生にもたらす影響までを考えて、総合的に判断されるべき性質を持っており、特に家事調停においてはその傾向が強くみられます。

そこで、より当事者に近い存在として、民間から選ばれた調停委員を間に置き、裁判官と調停委員で調停委員会を組織して、当事者の事情に配慮した解決方法を見いだすのであって、調停委員の存在はむしろ当事者にとって大切です。

裁判官の法的判断を必要とするなら、訴訟で解決すれば良く調停は意味が無いでしょう。何も合意せずに調停を不成立にすることで、訴訟に移行するだけです。融通の効く調停だからこそ、当事者で実現できる合意もある点を忘れてはなりません。

そして調停委員の提言は裁判官が下した判決ではないのですから、当事者はいつでも調停委員の意見をはねのけることができ、調停委員が何を言っても動じることなく調停を進めていきましょう。

調停における裁判官の役割

調停が調停委員会で行われるときの裁判官は、調停委員会を指揮して当事者の合意を職権によって決定事項として言い渡し、法的な効力を持つ調停調書として残すことを許可する役割を持ちます。

そのため、調停が成立するまでの間、ほとんど調停の場に姿を見せないことすらあり得ます。もちろん、調停委員会の一員として、調停委員との評議の際には正しい判断がされるように、法律の専門家として意見を述べることはあります。

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