弁護士の探し方と選び方のポイントを解説

一生の中で、弁護士に依頼しなければ解決できないトラブルに巻き込まれることは、平穏に生きていればそれほど数多くありません。

しかし、調停をしなければならない状況は、もはや当事者同士での解決が難しいことを意味していますから、中には弁護士に依頼しようと思う人もいるでしょう。

調停自体は難しい手続ではなく、法的な知識がなくても問題ないのですが、訴訟を前提としている場合、調停の段階で弁護士に依頼することも必要だと思われます。

そこで、弁護士はどうやって探したら良いのか、どうやって選んだら良いのか、一度も頼んだことのない人向けに解説していきます。

弁護士は紹介してもらうのがベスト

一番手軽で簡単な方法は、親族や知人に弁護士を紹介してもらう方法です。もしくは、勤務先に顧問弁護士がいれば頼んでみるのも1つの手です。

ただし、勤務先の顧問弁護士は、民事(商事)分野となるので、離婚のような家事事件は経験が少ないと思われます。その場合はおススメできません。

また、親族や知人に紹介してもらう場合でも、単に弁護士を知っているだけではダメで、実際に付き合いがあり、できれば依頼したことのある弁護士が理想です。

その理由は、顔見知り程度の弁護士を紹介してもらうと、紹介者の手前断りにくく、弁護士にとってもそれは同じだからです。お互いに乗り気ではないのに、紹介者との付き合いから仕方なく依頼する・引き受けるのでは良くないですよね。

法律相談を利用しよう

法テラス、弁護士会、自治体など法律相談を行っている窓口は多くあります。弁護士会での相談は有料の場合もありますが、無料相談できるケースも増えてきました。

法律相談を受けて弁護士を斡旋してもらうのも有効な方法で、特に法テラスは法律扶助制度の窓口でもあり、一度は訪れてみるべきでしょう。

法律扶助制度とは

法律扶助制度は、資力がなくて裁判を受けられない人のために、法テラスが弁護士費用等を立て替えて分割払い(原則3年以内)で返す制度です。

日本国憲法第32条で保障された、裁判を受ける権利の実現を目的としており、一定以下の収入・財産であれば利用できます。

法律相談を受けるメリットは、相談員が話を聞くことで、ある程度は解決の見込み・勝訴の見込みがわかってくる点にもあります。

あまりにも無謀な相談は、話を聞いた時点で「それは無理だ」とわかりますし、請求が相場とかけ離れている場合にも相談することで教えてもらえるでしょう。

例えば、配偶者の浮気をどうしても許すことができず、離婚して慰謝料を5,000万円欲しいという相談は、せいぜい数百万円の相場からは考えられない請求です。

裏を返せば、法律相談を受けることで、自分の請求が妥当かつ可能であるか知る機会にもなり、これは相談者にとっても大きいはずです。

法律サポートも考えてみよう

どうしても弁護士が見つからず困ったときは、全国から法律事務所を案内してくれる法律サポートサービスの利用も考えたいところです。

前述のとおり、親族や知人の顔見知り程度なら、知らない弁護士に依頼するのとあまり変わりないですし、そもそも弁護士に依頼するようなトラブルを人に知られたくない事情もありますよね。

また、特殊な案件(例えば国際離婚など)になると、全ての弁護士が対応できるとは限らないので、いきなり弁護士探しから難儀するでしょう。

法律事務所の案内を受けても費用はかかりません。最終的に依頼するかどうかは自分で決めることなので、対応できる弁護士探しには役に立ちます。

法律全般サポート(日本法規情報)

飛び込みを避けたほうが良い理由

どの街でも法律事務所は目に付くと思いますし、裁判所の近くにも法律事務所はあります。ですが、インターネットやタウンページなどで調べた、もしくは近くにあるからという理由で、いきなり訪れて依頼するのは無理があります。

というのも、素姓のわからない人にいきなり相談をぶつけられては、弁護士としても困ってしまうからです。話を聞くくらいはしてもらえるかもしれませんが、引き受けてもらえるかというと、断られる場合が多くなるでしょう。

あなたは、突然玄関のチャイムが鳴ってドアを開けたら、素性の知れないセールスマンが立っていたとき、真剣に話を聞こうと思うでしょうか。そのくらい、飛び込みは敬遠される面があり、最低でも事前連絡はしてから訪れたいものです。

弁護士に得意分野はあるが専門分野はない

弁護士は誰もが司法試験を通過し、一定期間(新旧司法試験の違いで1年~2年)の司法修習と呼ばれる実務訓練を受けています。これは、裁判官でも検察官でも弁護士でも同じなので、ひと通りの法律実務はこなせるようになっています。

しかしながら、全ての弁護士がどの分野も同様に扱ってきたかというと、そうとも言えないのは間違いありません。1人の人間が、一生のうちに修練を積み重ねていくことができる領域は、弁護士に限らずそれほど広くないはずです。

また、所属事務所の意向で特定分野に偏っていくこともあり得るでしょう。

例えば民事だけ考えても、金銭トラブル、労働トラブル、事故トラブル、家庭トラブル、企業トラブルなど、細分化すれば分野はいくらでも出てきます。さらに渉外(国際)トラブルになると、ほぼ専門に扱う弁護士が存在します。

弁護士資格に分野はなく、極めて専門性の高い案件を除き、どの弁護士でも引き受けられるのですが、経験豊富な分野のほうが依頼する側も安心できます。

「できない」のではなく「やらない」弁護士もいる

弁護士の意向で、特定の分野を引き受けていないケースがあります。

例えば、ある弁護士は消費者金融・闇金トラブルを扱わず、ある弁護士は家庭トラブルを扱わず、ある弁護士は労働トラブルを扱わないといった具合です。

逆に特定分野をアピールして、「○○専門弁護士」などと謳っているケースも良く見かけます。だからといって、その分野しかできないということではありません。

なお、一般には「○○専門」と聞くと、他の分野はできないイメージを持たれてしまうことから、弁護士は特定の分野をアピールしないことも多いです。

どの分野が得意か聞いてみよう

依頼する側としては、同じような案件をこれまで数多く解決してきた弁護士ほど、やはり信頼度は高くなりますよね。ですから、どの分野が得意か聞いてみたいところですが、聞き方にもひと工夫必要です。

というのは、単純に「専門分野は?」と聞かれたら、専門分野以外はできないと思われたくないので答えにくいですし、「得意分野は?」と聞かれたら、得意分野以外は不得意と思われたくないので答えにくいからです。

何でもひと通りできると答えたいところですが、そうすると今度は、依頼者が特定分野の弁護士を探しているときに依頼へと繋がりにくくなります。

弁護士はこういった事情を持っているので、どの分野が専門・得意と聞くのではなく、どの分野の案件が多かったか聞いてみてはどうでしょうか。経験の多い分野は、自然と得意分野になっていくものですし、得意ではなくてもこなせるからです。

経験の多い分野が自分の依頼と一致していればそれで良く、一致していなくても依頼しようとしている分野について何かしら聞けるでしょう。

年齢もある程度は考慮したい

どんなに優秀な人でも、絶対に時間をかけないと得られないもの。それが経験です。人間は失敗する生き物なので、誰もが経験を積み重ねて成長していきます。

大きな弁護士事務所に所属し、若くして案件数をこなした弁護士がいる一方、独立してポツポツとしか仕事をしていない弁護士もいます。年齢イコール経験となりませんが、年齢が高いほど経験豊富な可能性はあるでしょう。

実務経験だけではなく、人生経験の豊かさも弁護士にとっては大きな武器です。

金銭トラブルのように、証拠があれば容赦なく法的手段に訴えることができる事件と異なり、家庭トラブルの場合は、当事者間の対立を激しくさせて訴訟にするよりも、調停レベルで解決できたほうが依頼者にとっても良いはずです。

そうなると、人間の心理を経験上良く理解して交渉能力に長け、道徳観・倫理観が養われるだけの人生を過ごしてきた、人間的に豊かな弁護士が適任となるわけです。

つまり、依頼する案件内容によっても変わってくるということですね。

どのような仕事でも、10年続けて一人前と呼ぶ風潮もありますから、40代前後、つまり一般の仕事で働き盛りと呼ばれる年代は、弁護士でも同じだということです。

ハードルを下げて5年以上だとしても、弁護士になるためには大学卒業後に法科大学院を2年~3年で修了し、1年の司法修習を行う必要があります。5年以上の経験を持つ弁護士は、ほぼ確実に30歳よりも上です。

しかも、難しい試験を経由しているので、何度か落ちていればそれだけ遅れます。30歳で新米弁護士ということも全く珍しくないので注意しましょう。

ちなみに、日本弁護士連合会の資料では、2015年3月31日時点で、最も多い弁護士の年齢層は男女ともに30代です(男性31.6%、女性45.1%)。

人柄は非常に重要

言い方は非常に悪いと思うのですが、いわゆる「頭でっかち」の人が、人としてどこか欠けていることも多いのは、弁護士だからといって例外ではありません。

弁護士ではなくても、日本で指折りの頭脳優秀な知事ですら、法的に問題がない政治資金の使用方法をことごとく不適切と批判され、なぜ批判されているのか理解に苦しんでいた姿は記憶に新しいところです。

同じように法的に問題がなければ、何をしても許されると思っているような人が弁護士では、使命である社会正義は果たされないでしょう。その一方で、弁護士は法が許す範囲において、最高の利益を依頼人にもたらさなくてはなりません。

このように、弁護士に求められる資質は、ある場面では正義感であり、ある場面では非情なまでに相手方を攻撃して利益追求する姿勢なのです。

弁護士の二面性を理解しておきたい

弁護士の言動を、そのまま弁護士の人格に結び付けてしまうと、あなたの望む結果を出してくれる弁護士は限られてしまうかもしれません。多くの人は「先生」と呼ばれる弁護士に対して、人格者であることを求めがちです。

弁護士は依頼者に報いるためなら、モラルのないこともします(しない弁護士もいます)。わざと相手方を怒らせるようなこともします(しない弁護士もいます)。

だからといって、弁護士自身の人格を疑うかというと、依頼者の利益を守るために嫌なこともしてくれる弁護士を、あなたはどのように思うでしょうか。

あるいは、労働トラブルを扱いながら、他方では企業顧問として活動する弁護士をどのように思うでしょうか。相反するどちらの立場でも必要とされるのなら、それはその弁護士が有能だという証拠で、モラルがないと切り捨てるのは早計です。

なぜなら、相反する分野の両方で活躍できる弁護士は、相手方の手の内も知り尽くしており戦略に強いからです。

性格ではなく人柄と相性

弁護士と一生の付き合いをしていくのでなければ、依頼者が弁護士の性格まで気にする必要はないでしょう。どのような人間なのか知ることは難しいですし、重要なのは高い弁護士報酬に対する結果です。

弁護士を信頼して戦っていくためには、弁護士の人柄が良く、自分との相性が良いことも非常に大切です。人柄は他人からしか評価されないので、人柄が良いと感じる人は、対人スキルの高さも期待できます。

また、お互いに表面的な部分しか見ていないのかもしれませんが、何となく合う・合わないは肌で感じ取ることができるはずです。何度か顔を合わせる機会の度に、不安感や不信感を覚えるようなら早めに断ってしまいましょう。

まとめ

  • 信用できる人物・機関に紹介してもらう
  • 飛び込みでの依頼は断られやすい
  • 弁護士に専門分野はなく、得意分野はあっても答えにくい
  • 特定分野を受けない弁護士もいる
  • 弁護士としての経験、人間としての経験も1つの要素
  • 話してみて人柄と相性を判断

調停から弁護士に依頼するのは、不成立があるので費用対効果を考えるとあまり勧められませんが、相手と顔も合わせたくない、忙しくて対応できないなど、少なからず弁護士に依頼するケースも考えられます。

それなりに経験を積んだ弁護士なら、高飛車・傲慢・横柄など態度が悪い弁護士を除くと、分野を問わず依頼する候補にはなるでしょう。実際に話してみて、信頼できそうな弁護士を肌で感じ取りながら選ぶことです。

逆に、人格者としての弁護士を選ぶつもりなら、それは過度の期待かもしれないと知っておけば、少しは弁護士選びが楽になるかもしれません。

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